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11話 ぜったい成功☆世紀の大配信!! ―国民を狙う全国同時多発ライブー

 『私からもお願い』


 私は、斑鳩さんにお願いしていた。


 『うん、まぁ、もちろんいいけど・・・・・・』


 『あ、2人ともなんの話しとん?』


 私たちは藍を交換するために技術者がたくさんいる部屋に集まっていた。そこで、私は斑鳩さんにお願いをしていた。


 それは、こっちの世界の藍を助けてあげるって話。一応、斑鳩さんの考えとしては記憶をリセットするから問題ないとのことだけど、仮想現実の住人である私は、辛そうなこっちの藍を見捨てることは出来なかった。


 助けてあげるっていうのは、具体的に言うとことが終わった後、記憶がリセットされるまでの間だれかが付き添ってあげるように手配してあげること。


 『ふぅーん、お兄さんのことしか考えてへんかったあんたが、まさか他人の心配するなんてな』


 『別に、そんなんじゃないし。前も言ったでしょ? デジャブの話、もしかすると私たちの記憶って、本来経験してないリセットされた記憶からも作られてるんじゃないかって思って。だとしたら、この嫌な思い出はいい思い出で上書きしてあげないと、少しかわいそう。私も仮想世界の人間だから、余計にね』


 『ふふ、私がついてあげてもいいけど』


 首を出してきたのは喜楽里だった。


 『藍を甘やかしてあげるのも楽しそうだしね、悦楽に溺れさせて・・・・・・』


 『うるさい喜楽里』


 『ははは、うちと同じ扱いやな。カースト最下層やで』


 『準備出来ました! では体の交換を行いますよ!』


 ちなみに、私と喜楽里の体は既に取り替えてある。別に元の体って言うほど長いことこの姿だったわけでもないけど、おにいちゃんがデザインした姿だから、少しおにいちゃんを感じられて嬉しい。


 そして、藍は特殊な機械に入った。


 一瞬で入れ替わって出てくる。初めて会う人だけど、その変わりぶりに入れ替わったことは一目瞭然だった。


 『はじめましてっ! 藍ですっ! わー! ここがVスタジオ!? すごーい! あれ? クリスちゃんもいるの?』


 クリスっていうのは喜楽里のVTuberの名前、そっか、姿は現実世界のVTuberなんだっけ。


 『う、うん・・・・・・。はじめまして・・・・・・』


 本物相手だと全然本調子じゃないんだな、チキンめ。


 『準備は出来ましたわね! あとはこっちの世界のトラッキング装置を使ってふれあちゃんの姿でライブ! 目指せ1億人ですわ!』


 ライブは明々後日、そのための準備を各々進めていく。


 技術者の声。


 『私たちは記憶領域のサルベージプログラムの最終調整に入ります。作戦がうまくいってもここでミスしたら全部パアですからね』


 黒部ランの声。


 『広報活動ですよー! 秋葉原でやればきっと話題になります! ビラ1万枚配ったら褒めてくださいねー! あれ? あ、いやコンカフェのお誘いじゃないです! このVTuberのライブ配信をみてほしんですー! え? 可愛い? そ、そんなぁー!!』


 COSMO;GARAXの声。


 『ツツツー! みんなにはナイショだけど、多分失敗するんじゃないCan,tなー。こっちの世界のVTuberへの関心はμっつー。でも、出来ると思わせないとダメー! きゅるるーのためー! ぶへらばー!!!』


 リーフィの声。


 『ふふふ、一度は来てみたかったのよ、ラムネ温泉。あぁー気持ちいいわ、建築もおしゃれで雰囲気もいいし』


 藍(現実)の声。


 『すごいや、おんなじ体だから思うように歌える! あ、このトラッキング装置、トレンドVTuberになる前まで使ってたのとおんなじだ。・・・・・・そうだよね、確か、お母さんのお下がりだったんだよね、ちょうど、この時代のやつだったんだ。みんなのおかげでここまでこれたんだもん、伝説残して、レジェンドVTuberになるぞー!』


 藍(仮想)の声。


 『・・・・・・』


 律帆の声。


 『まさか、私が藍のカウンセラーになるなんてね。前に斑鳩にカウンセラーになるのが夢だって宣言したのを覚えていたのかしら。さて、何から話すか・・・・・・。そうね、まずは一緒にクラゲでも見にいきましょうか』


 斑鳩の声。


 『よし、これでようやく全て終わる・・・・・・』


 かりんの声。


 『その通りですわね、お兄様が残した因縁に決着がつきますわ。さて、お兄様がもどってきたらどんなことを言ってやりましょう。・・・・・・まずはおかえり、ですわね』


 五百井の声。


 『もしこれが成功したら、うちらの世界がそうやったように、仮想世界の住人がたくさん消えるってことやんな。・・・・・・でも、うちにはスケールがでかすぎる話やし、第一、命の価値を天秤にかけるなんて無理な話や・・・・・・』


 夏芽の声。


 『もし、おにいちゃんを取り戻せたらどこの世界で住むことになるんだろう? 現実世界に余ってる体がないわけだし、このVスタジオで暮らすことになるの? そうか、現実世界のおにいちゃんが記憶を取り戻したら、2人のおにいちゃんが世界にいるわけでしょ? つまり、現実世界のおにいちゃんが私とおにいちゃんの体をVスタジオに作ってくれたらいいわけだ! そしたら完璧にハッピーエンド! しかも、この世界なら1ヶ月ごとにリセットされる、ということは、ずぅーっとおにいちゃんと一緒に暮らせる! おにいちゃんが家を出ることもないし、1ヶ月程度なら彼女を作ることもない! 桃源郷だー!!』


 白野ワールの声。


 『私の出番が少ないですね・・・・・・。放置プレイってやつですかぁ? ふふふ、それもそれでいいかもしれません! ランばっかり構ってもらってるのを目の前で見せつけられて、焦らされて・・・・・・。あれ? 連絡が。・・・・・・広報活動を大阪でやってほしい? なるほど、大阪のオタロードですねぇ! ふふふ、汚いオタクに視姦されるのは今まで体験してなかったです、楽しみです・・・・・・!』


 小林の声。


 「かりんさんにVスタジオに招待されました」


 佐藤の声。


 「すっごいですー! Vスタジオなんて初耳ですよ! トップ・シークレットなところってことですよね? ついに、ぷちジャン8期生が公式にも認められたってことです!」


 七海の声。


 「コネはもっておくべきですねー。でも、そのかわりこうほうかつどーってのをやらないといけないらしいです、おしごといやですー・・・・・・」


 カペルの声。


 『ここがVスタジオか。外の世界と時間の流れが違うらしいけど、どうなってるんだろう。僕が招待されてからこの世界に来るまで実際はかなり時間がかかっているはずなのに、問題なく予定通りの時間に移動出来てる。確か、こっちの世界は現実より早く進んでいるんだよね、明らかに時間が遡行しているような。とはいっても、学者でもない僕が考えるだけ無駄か。とにかく、僕の愛しの晴人くんを助けるために、一肌脱がないと』


 咲也の声。


 「今度こそ成功させる。僕は、みんなのためになることを、正しいことを成し遂げるんだ。兄さん、今助けるからね」


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 そして、ライブ当日。


 私は五百井と一緒に渋谷で広報活動をしていた。


 『今からライブが始まりまーす! ながら見でもいいので見てくださーい!』


 『なぁ、確かあの交差点のおっきいモニターでも放送するんやんな? すごいなぁ』


 『うん、テレビ全局で同時放送だって、現実世界じゃテレビは廃れてるらしくてアイデアにもなかったらしいよ、私たちがいてよかったよね』


 『せやな、田舎の人らもテレビやったら見るかもやし』


 『だとしても、1億人って、達成出来るの? あと5分で始まるけど・・・・・・』


 『分からん、それに1億人ってのはあくまで見立てやろ? 1億人見なくても目的達成出来るかもやし、やってみーひんと分からん』


 人はせわしなく交差点を歩く。


 『現代人って、忙しいもんね、ライブを見る余裕なんてないんじゃないかな』


 『せやな、昔でいうとマイケル・ジャクソンのライブとかが伝説になっとるけど、最近じゃそーいう伝説のライブみたいなん聞かへんよな』


 私は、引き続き看板をたてて広報を続ける。仮想現実だというのに、こんな地味な方法しか出来ないのに無力感を感じる。でも、このVスタジオはVTuberバトル以外で干渉することが出来ないようにプロテクト? っていうのをされてるらしい。リーフィもプログラムの書き換えができないように制限がかかっちゃったし。


 『でも、そないに上手いわけでもない藍の歌に、みんな熱中するんやろか・・・・・・』


 『同じことを斑鳩さんに言ったんだよ、そしたらさ、こう答えてた。『僕らの世界で一番最初にVTuberを始めたのはアイっていうAITuberなんだ。意外でしょ? AIのVTuberが最初のVTuberだったんだ。そして、一番人気だったのもアイ。じゃあ、さぞかし高性能なAIなんだろうって思うでしょ、でも、そうじゃないんだ。逆に欠点だらけだったんだよ、読み上げ機能は読み間違えばかりで、ちょっとポンコツ。でも、その欠点こそが彼女の人気を後押ししたんだ、欠点があったからこそ、彼女は愛されたんだよ』だって』


 『いや、そないな長文なんで覚えれるんや、内容より先にそっちのほうが気になるわ』


 『いやー、おにいちゃんの言葉を少しでも多く覚えようとトレーニングしてたら、人の言ったことは一言一句覚えられるようになってさ』


 『初耳やわ! すごいな!』


 『まぁ、わざわざ教えるほどの相手じゃないしね、五百井は』


 『急にドライ!?』


 『あ、もう始まる』


 『って、同接10万人!? いや、めっちゃ凄いんやけど、1億人は無理やろこれ!! 目標の1000分の1やで!?』


 『そりゃあ、こっちの世界じゃ全くの無名なんだから、10万人なら上々でしょ』


 『テレビとかもあるしな、もう祈るしかあらへん! 頼むで!』


 こうして、20人の命を賭けたライブが、今始まった。


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