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3話 小女ミルク

 五百井と情報共有した結果、大して新しい情報は見つからなかった。やっぱり、さだこに話を聞かないとダメみたい。


 『さっき五百井を見つけた時はSNSで爪楊枝を頭に刺した変な人って検索したんだよ、じゃあ、あのクラゲ女もクラゲで検索したら出るかも!』


 『どうやろか・・・・・・。って、誰が変な人や! あんたがこの格好を選んだんやろが! この爪楊枝抜けへんし・・・・・・。ほんま悪日やで・・・・・・』


 というわけで、例のごとくクラゲ 被り物 変な人 で検索するも、全く出てこない。


 『ねぇ、何の話?』


 きゅー子さんがクッキーと紅茶を持って話しかけてくる。


 『あともう1人の知り合いに会わないとだめなの。でも、どこにいるかさっぱりで』


 『そのお友達が行きそうなところは?』


 『クラゲが好きそうやったな』


 『あと、ずっとお風呂に入ってた』


 『そやそや! それじゃお風呂屋さんにおるかもしれへんで!』


 『うん! それじゃ探そう! おにいちゃんのために!』


 そういうわけで、私たちはきゅー子さんに教えてもらった近場の温泉を訪ねた。


 『きゅー子は来なくてもいいのに・・・・・・』


 『そういうわけにもいかないでしょ! 幼女を1人にして、いつ変な人に捕まるか分からないじゃない!』


 というわけで、きゅー子さんも同行することになった。


 『えっとね、その知り合いは24時間お風呂に入ってそうだから、きっと24時間営業のお風呂だよ!』


 『24時間営業って、そんなんあるんかいな』


 『あるわよ! ほら、ここのスーパー銭湯は24時間営業なの!』


 『よし! それじゃ突撃―!』


 『お姉さん、その、お金とか大丈夫なん? うちら急にお世話になってもとるけど』


 『幼女への投資は惜しまないのよ!』


 そういうわけで、3人でお風呂に入る。


 でも、見覚えのあるアイツの姿はなかった。けどすぐに出るのも勿体ない、せっかくだからとゆっくり浸かることにした。


 『・・・・・・お姉さんね、いつも悩んでるんだけど、聞いてもらえる?』


 やけに神妙な面持ちで、きゅー子さんが私たちに話しかけてくる。


 『な、なんですか?』


 『私、言うまでもなくちっちゃい女の子が好きなんだけど、こういうお風呂屋さんで幼女を見ちゃって大丈夫なのかなって、すごく心配になるのっ! だって、小さい女の子って、その、性的な意味でやばい存在だから・・・・・・。ちょっと見ただけでやばっ、ていうか・・・・・・! あぁーもう! エロいのよ! だってすべすべしてて、ムダ毛も生えてなくって、ちっちゃいのよ!? そんな子の裸体なんて見ていいのっ!? 正直、チラチラとは見ちゃうのよ、でも、いつこの視線にバレて捕まったらと思うと・・・・・・うぅ・・・・・・!』


 『なんやそれ・・・・・・』


 『わっ、分かるっ!!』


 『あっ、あなたもロリコンなの!?』


 『いや、そういうわけじゃなくって、私もおにいちゃんが大好きなんだけど、もう一緒にお風呂に入ることも出来ない歳になっちゃって・・・・・・。いつもお風呂に入る前のおにいちゃんをちらちら見ちゃうの。でも、どうしても、その、下腹部のあたりを見ることが出来なくって、あそこはどうなってるんだろって、いっつも思うのっ! きっと、おにいちゃんにとって私は妹でしかないはずだから、見ても特におかしくは無いと思うんだけど、でも、やっぱり・・・・・・っ!』


 『同じ同じ! 私もそうなのよっ!』


 『私たち、好きなものは違えど、悩みは同じっ!』


 私ときゅー子、同志を見つけてテンションが上がっちゃって、きゃっきゃきゃっきゃとはしゃぐ。


 『目的を忘れとるやないか・・・・・・』


 『なにチラチラ見てんのよ五百井』


 『みっ、見てへんわっ! 大体あんたらの言っとう意味なんて全然分からんわ!』


 なんで怒るんだよ・・・・・・。


 それから、きゅー子さんは新しくお風呂に入ってきた小さな子をチラリチラリと見やりながら顔を蕩けさせていた。


 『私は女だもの、許されるはずよね・・・・・・』


 『なんていうか、普通小さい子に対しては可愛いとしか思わへんけど、そこで性的やとか思てまうんがきゅー子さんなんやな。まぁ、うちも・・・・・・』


 五百井が少し顔を曇らせる、らしくないな。


 私たちはクラゲ女そっちのけでお風呂を堪能した後、お風呂の出口のあたりで牛乳を飲んでいた。


 『ぷっはー! 風呂上がりの牛乳おいしー!』


 『そうねー!』


 『やっぱ、フルーツ牛乳に限るわ・・・・・・』


 『にしても、お知り合いの人はいなかったわね。でも、この辺の24時間営業なお風呂屋さんはここにしか無いわよ?』


 『多分、五百井がこの辺にいたってことはそう遠いところには行ってないと思うんだけど・・・・・・』


 『そもそも、あのクラゲみたいなかっこになってからはお風呂から出とったし、お風呂に入っとるわけじゃないんちゃうか?』


 『五百井! そういうことは先に言えー!』


 『いや! あくまで考察やって! どっちみちお風呂は確認したほうがええやろ!?』


 『ほんっと五百井は役に立たないなあ!』


 『ひどすぎるやろ・・・・・・』


 『じゃあ、次はどこを探すの? どこでもお姉さんが連れて行ってあげる!』


 『えーっと、クラゲがいる水族館かなぁ・・・・・・』


 『水族館なら、昨日行ったショッピングモールの横にあるわ! そこに行きましょ!』


 きゅー子さんが私たちの手を引いて、歩いて昨日来たショッピングモールまでやってきた。


 そういえば、クラゲ女の居場所もそうだけど、昨日のVTuberバトルっていうのも気になる。


 『きゅー子さん、VTuberバトルって知ってる?』


 『ごめんなさいね、幼女と話を合わせるために流行はチェックしてる私だけど・・・・・・。うーん、分からない。流行りのゲームかなにかなの?』


 あんな派手なイベント、みんな知ってなきゃおかしい。やっぱり、この世界はゲームの中なんだ、私たちより上の次元の人達がここを会場にして遊んでるに違いない。


 そのバトルの存在を認識できるのは、クラゲ女に姿を変えられた私たちだけ。


 しばらく歩くと、ようやく水族館に着いた。


 『子供2人、大人1人です』


 『かしこまりました』


 『あの・・・・・・カップル割とかあります?』


 『ありませんけど・・・・・・』


 『残念っ!』


 きゅー子さんが私たちにチケットを1枚ずつ配る。


 『ありがとう! きゅー子!』


 『ほんま、お世話になりっぱなしや・・・・・・』


 『もうっ! 若い時にお世話になるのは当たり前っ! 大きくなった時はお姉さんみたいに小さい子を助けてあげられるようになるのよっ!』


 『『はーい』』


 きゅー子さん、優しくていい人だ。


 そういうわけで、水族館に入る。


 『水族館もいいわよね・・・・・・。チンアナゴを見て喜ぶ幼女、タッチプールにはしゃぐ幼女、ペンギンのぬいぐるみを抱きしめる幼女・・・・・・。幼女パラダイス!!』


 前言撤回、この人、どこでも幼女に結びつけて考える変態。


 『いるとしたら、クラゲのエリアだよね。どこかなっ』


 『くらげみたいにひらひらしたお洋服もいいわねー! フリルのついた服を可愛らしく着こなす幼女も、ほんっとうに最高! 髪型はどんなのがいいかな・・・・・・長いのもいいけどサイドテールもちょんまげも! おでこ出しなんてまさ』


 突然、きゅー子さんが消えた。


 『こっ! これってまさかっ!?』


 『あれや! あれが来るで!!』


 予感のとおりだった、間もなく聞き覚えのある声でアナウンスが流れる。


 『今日の試合はすごいっすよー!!』


 『おおー! なんでー?』


 『今日はエキシビジョンマッチっす! 夢のドリームチーム爆誕っす!』


 『と、いうわけでー本日はゲリラ試合! 事務所の壁を超えたチーム戦でーっす!』


 『盛り上がるっすー!!』


 アナウンスが流れ始めると私たちは焦って顔を見合わせる。


 『やばいで! 見つかったらなにされるか分からん! 隠れるんや!』


 『隠れるってどこに!?』


 『トイレや! ほらあれ!』


 五百井が指差す方を見ると、トイレへの案内標識があった。


 しかし、私の目に入ったのは、その横のクラゲ展示の案内。


 『はよ! 行くで!』


 『その前にっ、あのクラゲ女がいるかもしれないクラゲ展示に行こう!』


 『なっ、なんでぇな!!』


 『だって! もしクラゲ女がいたらどっちみち危ないでしょ! 一緒に隠れないと! おにいちゃんへの手がかりがなくなるかも! あいつ、高次元の存在だからって、攻撃されないとは限らないんだし!!』


 『本日の舞台は水族館!! お魚いっぱいでおいしそーですが、気をとられないように戦ってくださいねー!』


 『『それでは! バトルスタート!!』』


 バトル開始の合図が始まる。幸い、周りには誰もいない。


 『じゃあ、五百井はトイレに篭ってたらいいよ!』


 『そんなこと言うなや! ついて行くわ!!』


 私たちはダッシュでクラゲ展示のコーナーまで走る。


 すると、そこにいたのは。


 倒れてるクラゲ女だった。


 『ちょっ!? もうやられたんか!?』


 急いで駆け寄ると、なにやら小さな声で呟いているようだった。


 『お風呂・・・・・・2日も入ってない・・・・・・』


 ぽかっ!


 『いったいわね!! なにすんのよっ! って、あなたたちね』


 『言ってる場合か! VTuberバトルっていうのが始まったんだよ! 早くトイレに逃げるよっ!』


 『・・・・・・。私、もう立てない。おぶって』


 『ほんま手間のかかるやっちゃな!!』


 なにやら聞こえてくる足音が近づいている。早く逃げないと。


 私たちは2人がかりでクラゲ女を運んだ。


 『な? 私がおって助かったやろ?』


 『役に立って同然なの! バカ五百井!』


 『だから、なんでそんなに当たり強いねん!!』


 言い争いながらも、なんとかクラゲ女と一緒にトイレの個室に隠れる。


 『ここ3人で入るようなとこちゃうで、ほんま』


 『み、水・・・・・・』


 『あぁっ!? あかんで!? それはトイレの水や! ばっちいで!!』


 文字通り姦しい。姦という感じはトイレの個室にすし詰めになる3人の女の子をイメージして作られたに違いない。


 『ほら、狭いからもうちょっと詰めてよ五百井』


 『これ以上はあかんって! 潰れるわ!』


 五百井の心音がダイレクトに伝わってくる。


 『五百井、こいつ持って走っただけでこんな心臓バクバクしてるの? 陸上部ならもうちょっとガッツ見せなよ!』


 『うぅっ、誰のせいや思てんねん・・・・・・っ』


 そんなこんなでなんとか数十分耐えた。声も出せなかったからしんどかったけど、終わりは突然やってきた。


 『以上! 今回のエキシビションマッチは終了! みんなを強制ログアウトっすー』


 というアナウンスが流れ、すぐに喧騒が取り戻された。


 なんとかトイレから出ると、私たちはクラゲ女を引っ張って外に這い出た。


 『ぴんぽんぱんぽーん、迷子のお知らせです。ただいま、2人の迷子を探している親御様がいらっしゃいました。特徴は・・・・・・。え? スリーサイズが・・・・・・って、そういう特徴じゃなくて、もっと服の種類とかそういう特徴を・・・・・・。可愛い・・・・・・って、そんなアバウトな情報じゃ分かりませんよ!』


 『アイツや』


 『アイツだね』


 私たちは迷わず迷子センターに向かった。そこで待っていたのは予想通りきゅー子さん。


 『よかったぁー!』


 そう言って、私たちに手を広げる。私たちも2人走り出して・・・・・・。


 ドロップキック。


 『ふべあぁっ!?』


 『なんでうちらのスリーサイズ知ってんねん!!』


 『寝てるうちに測ったんだろ!!』


 『だ、だって・・・・・・。お洋服とか買わないと・・・・・・』


 『キッズ用の服にスリーサイズもくそもあるかぁっ! スリーサイズの測定をしていいのはおにいちゃんだけだっ!!』


 『変態さんや! ド変態や!!』


 『あははー、幼女に踏まれて罵倒されてるー・・・・・・』


 一悶着あったけど、なんとか、クラゲ女ゲット! ようやくこの世界のこと、おにいちゃんを助ける方法が分かるかもっ!!

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