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2話 CROSS✝DIMENSION

 目が覚める。布団から出て、大きなあくびをする。


 あれ、確かさっきまで突飛な夢を見てたような・・・・・・。


 おにいちゃんが宇宙人みたいな奴らに攫われて・・・・・・。それから私も変身して、空を飛んだんだっけ。


 ・・・・・・・・・・・・。


 『はーはっはっはっは! 変な夢!!』


 私はあまりの力作に笑いながら、布団を出る。


 しかし、布団を出たところで違和感があった。なんだか妙に肌寒い、それに、目線がいつもより低い。


 『まっ、まさかさかさまのまさか!?!?』


 自分の姿を見る。


 こ、これは、夢の中でおにいちゃんがデザインしたスク水少女っ!?


 じゃ、じゃあこれって!! 夢の続き!? あれは、現実の出来事ってこと!?


 良く見たら、この部屋も自分の部屋じゃない!?!?


 どうしよう、とにかく私は下の階に降りることにした。


 『あらぁー!! 起きてきたのーっ!?』


 そこにいたのは、26歳くらい? のお姉さんだった。


 『大丈夫っ!? 怪我はなかった!? 本当は看病してあげたかったんだけどね? 前に警察に捕まったことがあって、怖いのよー!!』


 『あ、あの、誰ですか? 私、なんにも覚えてなくて』


 『その前にっ、これは同意の上ですってサインして!!』


 そう言うと、なにやら誓約書を手渡された。一瞬怪しいものかと思ったけど、とにかくサインする。


 『ぐ、ぐへへへへへへっ!! ありがとー!!!!!』


 そう言うと、私のことを苦しいくらいにぎゅーっと抱きしめる。


 『ぐへへへ!! 水々しいーっ!!!』


 『ちょ、ちょっと! 話を聞いてくださいっ!!』


 『なぁに?』


 『ですから、ここに至るまで何があったのかを説明してほしいんです!!』


 『それより! なんで旧スク着てるの? それじゃ寒いでしょ!? こっちのもこもこした可愛い感じの服が良い!? それとも、こっちのゆめかわなもこもこ!? きゃーっ! この服の下にスク水を着てるってギャップが! 事実がすっごく良いー!!』


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 無駄な話が多かったので、要約すると。


 私は、道端に倒れていたので、保護しようと自分の家に連れ帰った。ということらしい。


 これだけを説明するのに10分くらいかかった、勘弁してほしいよね。


 でも、この姿、その状況。多分だけど、空に向かって飛んで、たどり着いたのがこの場所みたい。でも、五百井とさだことははぐれちゃったのか、2人は大丈夫かな。


 それより、この世界は現実なの? でも、それを確認する方法はないし・・・・・・。あ、仮に現実なんだったら、現実で動かすための体が必要だよね。と、いうことはこれは仮想空間なのかも。


 『お姉さん、名前は?』


 『私は地垂木九子!』


 『じゃあ地垂木さんで・・・・・・』


 『きゅー子って呼んで!!』


 『じゃ、じゃあ九子さんで・・・・・・』


 『だめ!! きゅー子!! 上目つかいで、きゅーこー! って感じで、幼さをアピールするような感じでお願いっ!』


 めんどくさい人だなー!!!!


 そんなこんなで、謎の旅1日めはくだらない会話で終わってしまった。


 とにかく、この世界を理解するには、やっぱり高次元の人を探すしかないんだ。明日からは、ネットを使ったりして、なんとか上位存在とコンタクトしないと。


 『ねぇ、夏芽ちゃんにはお兄ちゃんいる?』


 『な、なんで知ってるんですか?』


 『そりゃあ! 幼女の立ち振舞を見れば分かるわよ! とはいっても、見た目と違ってなんとなく中身は高校生みたいだけど・・・・・・。大人びた幼女もアリ!』


 この人怖い。


 『私、おにいちゃんを探してるんです。突然いなくなっちゃって・・・・・・。大好きな、おにいちゃんなのに・・・・・・』


 思わず、涙を流すと、お姉さん、きゅー子が私を慰めてくれた。


 『そうなの・・・・・・。だったら、私も手伝ってあげるわ。夏芽ちゃんのお兄ちゃん探し』


 『役に立てますか? すごく、遠いところに行ってしまったらしいんですけど』


 『だいじょうぶっ! 幼女のためなら、私は地獄にだって落ちるから!! 任せて! でも、そのかわり、毎晩一緒に寝ようねー! 誓約書にも書いたもんねー!』


 この人、変な人だけど悪い人では無いみたいだ・・・・・・。


 ・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・。


 次の日。


 『よーし! おにいちゃん探すぞー!!』


 私は声を大きくあげて、早速家を出た。


 『でも!! 一体なにをすればいいのっ!?』


 早速つまづいた。


 『なんだかこの世界、おにいちゃんの匂いがしないよぉ・・・・・・。この世界にはいないってことなの・・・・・・?』


 おにいちゃんおにいちゃん・・・・・・。修学旅行で3日間会わなかっただけで最終日は顔が真っ青になって五百井に心配されてたりしたのに、それとは比にならない、どうすればいいんだっ!!


 『だったらお姉さんに任せて!』


 胸をばんと叩くと、きゅー子がスマホを取り出す。


 『えーっと、お兄ちゃんの探し方は・・・・・・』


 そんなこと調べて出るわけない・・・・・・。


 ・・・・・・! 待ってよ、まず必要なのは上位存在の人に会うことだ。だったら、おにいちゃんを攫った人達みたいに、空を飛んだりっていう目撃情報があるかもしれない!!


 『お姉さん! スマホ貸して!』


 『もちろんいいわよっ! 幼女の手垢とほんのりミルクっぽい匂いをスマホに染み付かせてねっ!』


 私はスマホを開くと、大手SNSアプリを開いてワード検索をする。


 空 浮遊 人


 調べて最新順に並べ替える、しかし、全然情報が出てこない。


 一応、わたしはもう一度飛べないか試してみたけど飛べなかったんだよね。この世界じゃ飛べないのかな。


 それじゃ、次は見た目で検索してみようかな。


 爪楊枝 頭 変な人


 するとちょうど10秒前の投稿にこんなものがあった。


 “爪楊枝を頭に刺してる変な人がいた!!”


 こっ、これは!? こんな変人、あいつしかいないでしょっ!!


 目撃情報は東京の池袋のショッピングモール付近!


 『お姉さん! 私を池袋に連れてって!』


 『やだねぇ、ここが池袋よっ!』


 『そんなに離れてなかったんだ・・・・・・! じゃ、じゃあ! ここ行きたい!!』


 『あらあらースクイーズでも買いに行くの? じゃ! 早速行きましょうか!!』


 お姉さんは私をママチャリの後ろに乗せてくれた。走ること18分、目的のショッピングモールに付いた。


 『わ、割と疲れるけど、幼女からエネルギー吸収してたから、逆に若返った気分ね!』


 目撃情報があったのはこの辺、もう一回SNSを確認するも、もう目撃情報はなかった。


 『五百井―・・・・・・。一体どこ行ったの・・・・・・!!』


 なんだか怒りの感情が湧いてくる。


 『きゅー子・・・・・・頭に爪楊枝を刺した人を探してくれる?』


 きゅー子さんの要望通り上目遣いで頼むと、きゅー子さんは鼻息を荒くしてビシッと手を挙げた。


 『ハイル! ロリータ! 幼女のためならなんでもいたしましょう!!』


 そう言うと、明後日の方向に走ってしまった。


 『だめだ、きゅー子はあてに出来ない』


 私は、ショッピングモールを探す。中には、洋服屋さんなんかがあるけど、これといって特徴はない普通の場所だ。


 そんな時だった。


 『というわけで始まります、VTuberバトル! 実況はわたし! くろねこと!』

 

 『しろねこっす!』

 

 『今回のネクステ18期生、なかなかクレイジーですよ?』

 

 『そうっすね、ヒーラーのアイカ、アタッカーのホリィに加えてまさかのハルハルを選出するなんて思ってもいなかったっす』

 

 『草VTuberバトルならアタッカー2枚はたまに見ますけど、まさかトレンド戦で採用する日が来ようとは・・・・・・』

 

 『お相手はぷちジャン8期生、オーソドックスな3点構成っすね』


 謎のアナウンスが響き渡る。それに、気づくと、周りにいた人が一瞬で消えてしまった。そ、そんなことってあり得る!?


 『3!』


 『2!』


 『1!』


 『『VTuberバトル、開始っ!!』』


 な、何が始まったの!? っていうか、VTuberバトルって何!? VTuberって、あのいかがわしい配信をしてるやつだよね!?


 開始の合図と共に、通路の向こう側にハンマーを持った変な人が現れた。


 や、やばい・・・・・・。なにあの武器・・・・・・。もしかして、あれで襲われる!? はっ!? 一般人をターゲットにした狩り、それがVTuberバトルの正体みたいなこと!? やばいよ、見つかったらやばいよ!!


 私は五百井の捜索を一旦中止し、とりあえず近くにあったお店の試着室に隠れる。


 バトルというからには制限時間があるはず、制限時間を耐えれば、きっと生き残れる!!


 しかし、どうやらこの試着室に隠れるという行為が、大いに間違っていた。


  『とうちゃーく、水着屋~』

 

 『わー、色んなかわいいのが並んでるねー』

 

 『と、いうわけでフォロワーのみなさん、スパチャ30万で・・・・・・』


 ・・・・・・。


 う、嘘!? よりによってこの店に来る!? まさか、場所がバレてるの!? そのうえで私を炙り出そうとしているのっ!?


 だめだ、分からない。でも、ここで出たら相手の思うつぼだ、耐えるんだ。耐えるんだっ!!


 『あと18秒、現在279万円でーす、どうなるかなー』

 

 ところどころ聞こえない、一体なんの金額!?

 

 『おぉー、無事残り1秒で目標額たっせーい。世界の変態諸君ありがとー』


 変態諸君!?!? ま、まさか私をアブノーマルな方法で嬲るつもりっ!? そのためのスパチャってこと!? も、もうダメー!!! おにいちゃーん!!


 その時、隣の着替え室に入っていく音が聞こえた。


 ・・・・・・。た、助かった?


 『ちーん、ほくほく・・・・・・』


 それからも、謎の1人言が終わると、2人組っぽい人達は去っていった。


 た、助かった・・・・・・。


 私が試着室から出ると、同じタイミングで隣から出てきた人がいた。


 『いっ、五百井!!』


 『あぁっ! 夏芽! よかったわぁぁ・・・・・・もう、不安で不安でぇ・・・・・・』


 『それはこっちのセリフだっ! 勝手にどっか行っちゃってさー!!』


 ゴツンと頭をぶつ。


 『ひどいぃー。いなくなったんはそっちやろぉ・・・・・・』


 『それより、今ここはどういう状況なわけ!?』


 『うちが聞きたいわ! なんやねんVTuberバトルって!』


 『どうすればいいの!?』


 『せやからうちが聞きたいんやってぇぇ・・・・・・』


 私たちは、その後もずっと試着室に隠れることにした。


 『もう、理由分からないんだけど。じゃあ、ここは異世界ってことなの?』


 『多分そういうことやろな』


 『五百井はあの後、どうしてたの? 私は道で倒れてたところを変な人に拾ってもらったんだけど』


 『うちは1人で逃げてたわ・・・・・・。都会の夜は怖いな、変な若者がうちを追いかけてくるんや・・・・・・。陸上部やってなかったら売り飛ばされていかがわしい店で働かせられとったに違いないわ・・・・・・』


 『大丈夫っ! 需要無いから!』


 私は五百井を元気づけるために決め顔でサムズアップする。


 『それは慰めのつもりなんかっ!?』


 五百井とひたすら試着室の中に隠れていると、突然外の活気が戻った。たくさんの声と足音が聞こえてくる。


 『お、終わったんか!?』


 私たちは外に出ると、そこは普通のショッピングモールだった。


 『い、一体・・・・・・。何が起こっとるんやこの世界で・・・・・・』


 『分からない・・・・・・』


 謎の世界に連れてこられて、不安で仕方ない。


 でも、おにいちゃんを取り戻すため、私は頑張る! ビッグラブの前なら、どんな壁だって試練だって無意味よ! 突き進んでやる!


 『私はこの不条理な世界なんかに屈したりしないからね! 待っててね! おにいちゃん!!』

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