9 天ぷらうどん(4)蜂型アンドロイド・ビー君の活躍
プリンセスは気分がすぐれなかったが、気力を振り絞ってこれまでの経緯を話すと
「レシピがあると思われる場所は今話した通りよ。
モンちゃんはビー君と一緒にその家に行って取り返して欲しいの。本当は私が行かなくちゃいけないんだけど体が動かないので。あのレシピが誰かに売られてしまう前に、お願い。」
「分かりました、お嬢様。私たちにお任せください。」
モンちゃんは蜂型アンドロイドのビー君を呼ぶと、自らも木々の間を飛びながら大急ぎで目的地に向かった。
プリンセスが体を張った魔法で探し当てた建物を見つけると、戸口が少しだけ開いているので二人はそっと中に入った。すると二人のコウモリのような覆面を被った男たちが話をしている。モンちゃんはその様子を録画すると共にそれを電波でプリンセスに送った。
「ふひひひ。このレシピを50万円で買ってくれるっていううどん屋が見つかったぜ。明日会うことになってるぜ。これでしばらくは遊んで暮らせるぜ。」
プリンセスはテレパシーでモンちゃんに指示を出した。モンちゃんが天井に向かって飛び上がり、男たちの気をひいた。すると男たちはモンちゃんを捕まえようとしたが、その時ビーくんが二人を次々に刺した。
「いてて、急に蜂に刺されたぜ。それに何なんだ、このモモンガーは。」
二人が痛がっている間にモンちゃんは隙をみて机上にあったレシピを掴んで舞い上がり、戸口から出ていった。
男たちがレシピが無くなったことに気づいたのはしばらく経ってからだった。
「モンちゃん、ビー君、よくやってくれたわね。ありがとう。これからもよろしくね。」
プリンセスは二人を大いに誉めると、知り合いの探偵が見つけてくれたと言ってレシピを京子に渡した。京子はレシピを見ると泣いて喜んだ。
そして文化祭の日がやってきた。プリンセスは調理部が主催しているうどん屋風の装飾を施してある部屋へ行き、天ぷらうどんを2人前注文した。プリンセスの隣には、何と老人に化けた爺もいたのだ。二人は天ぷらうどんを食べ始めた。
「爺、天ぷらうどんというものを食べるのは初めてだけど、本当に美味しいものなのね。」
「これはうまい。わしはハマってしまいました。我がアルテミス星にも美味しい食べ物は色々ありますが、この惑星にも色々美味しい食べ物があるようですよ。楽しみですな、お嬢様。」
「ほんと、楽しみだわ。」