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8 天ぷらうどん(3)危険なヴァイオリンの魔法

翌日の放課後、プリンセスは体調が悪いと言って部活を休み、ヴァイオリンを持つと誰にも気づかれないように注意しながら調理室へ向かった。今日は調理部の活動は休みの日で、部屋には誰もいない。


部屋に入るとプリンセスはヴァイオリンを構え、マックスブルッフのコンチェルト第2楽章を弾きはじめた。美しい幻想曲だ。曲を弾きながらプリンセスは目をつぶって唱えた。


「校庭、そしてこの周辺の全ての草木よ、花よ、私に教えておくれ、10日前の午後、ここで盗みをはたらいて逃げていった男が辿った道を、そして今どこにいるのかを。」


曲の後半に差しかかったところでプリンセスの脳裏にある場面が映し出された。そこには校舎から逃げていく男の姿が、まるで防犯カメラの映像を見ているかのようにはっきりと見えた。


そしてそのまま男の姿を追っていくと、1キロほど行ったあたりだろうか、林の中に小さな小屋があり、その中に入っていくのが見えた。


「そうか、そこにあるわけね。ただそのレシピが他に流出して高値で売られたりしていないといいんだけど。あっ、うっ…」プリンセスは急に意識を失ってしまった。


 気がつくとプリンセスは学校の保健室のベッドにいた。すぐそばの机には大切なヴァイオリンが置いてある。起きあがろうとしたが、体に力が入らない。


爺が言っていた通り、あの魔法はかなりの負担を体に強いたようだ。早く何とかしないとあのレシピが世間に出回ってしまう。


いや、こうしている間にもどうなっていることか。すぐにも駆けつけたいが体が動かない。すると天井に何かの気配を感じた。何とそれはモンちゃんで、天井に逆さまに張り付いて彼女をじっと見ている。


「プリンセス、意識が戻りましたか。心配しましたよ。あなたの気性を知っているお爺さまから、私にいつもあなたのそばにいてお守りするように命じられているのです。でもお嬢様がされることをお止めすることはできないのです。そのようにはプログラムされていないので。でも今お嬢様のお役に立つことはできます。何なりとお申し付けください。」

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