見えているもの 無言の圧力
「それで…そのメイドは何者なんだい?」
貴族たちの集まりが終わったあと、セラにメイドの事を尋ねたら逆に質問された。
「お前が知らないものを俺が知るわけあるか」
「そうは言うけどね。私はそのメイドを見てないんだよ」
「最前列で見てたぞ」
「鎧の貴族の泣き顔見たくて注目してた」
「あんなのどうでもいいだろ」
「だってさぁ。自信満々に嫌がらせしてきた相手だよ。みたいじゃん絶望の瞬間」
セラの性格の悪さは置いておこう。
「ただ今回は、それなりに友好関係がある人間を集めたんだよ」
「鎧のもか?」
「あれは、勝手に絡んできた。まぁ確かに知らない貴族もいたが、紹介だろう」
「でそのメイドはわからないと」
「わからないねぇ」
ルナの入れた紅茶を飲みながら、適当な返事をしてくる。
売る相手の吟味でもしてるんだろう。
「人外二人ってことはレンの正体もバレてるんだろ」
「そうだな」
「つまりそいつも人外なんじゃないかな」
適当に聞いてるようで、それなりの答えを持ってきたな。侮れん。
「レンは見覚え無いのかい?」
セラはレンに尋ねるが、レンは首を振るだけだ。
そもそもレンはあのメイドを見たのかも謎だ。
「誰だかわからないけど、モナより強い気がした」
モナが言うが、モナより強いって相当だぞ。
「髪の長い方はよくわからない」
確かにボブの方がヤンチャには見えた。ただ両方強いと思って良いだろ。
ボブに注意してたしな。
「すぐさま襲ってくることもないだろ」
「どうしてそう思う?」
「襲う相手に挨拶みたいな真似はしないよ変態さん」
確かに、闇討ちでもするならわざわざ接触しないか。
「変態はお互い様だ」
セラは何が良かったんだか笑っている。
とは言えレンの正体がバレてる。あまり呑気にもしてられない。
「人外でしかもそれなりに知性がある相手なら、教会の方が詳しいよ」
「モナの件もあるし教会は行きたくないなぁ」
「教会行かなくても、もう一人当てがあるだろ」
「あっちも危険度は変わらないきがする」
ほらルナが首がもげくらいイヤイヤしてるぞ。
大丈夫だ。俺たちの問題だからな。
もちろん連れていくぞ。
あと、まだその胸元開いたメイド服着てるのね。
じっと見てたら、口元に指2本添えて微笑んでくる。
それ知ってる。
お前の目を潰します!だ!
ごめんなさい。