もちろん我が家にヤツがいる
聖騎士問題も片付いた?片付いたのだろう。
ゴーレムを倒したのは誰かとか、ゾンビが湧いた謎とか、そのへんは全部フィーナに丸投げして、俺たちは一時帰宅ということになった。
ルナはぶつぶつ文句を言っている。入信でもする気だろうか?
やめとけ、あのキャラのルナが誕生したら怖い。
「あれ帰るの?」
ダンジョンを出たあたりで、モナが起きたようだ。
俺の背中で目をさます。
「色々あってな解決しそうだから戻る」
「そっか、ゴーレム残念だった」
帰れることより。腕試しの中断を残念がるあたり、モナらしい。
……てか、お前起きたならそろそろ降りてくれ。匂いはいいけど、鎧が地味に痛いんだわ。
レンはニコニコしながら前を歩いて、ふっと振り向く。
……うむ、かわいい。うちのレンが最強。
家に戻ると、当然のようにセラがいた。
「で、聖騎士様もハーレム入りなのかい?」
開口一番、それかよ。
「なんでそうなる」
「彼女、でかいだろ」
「何が」
「ナニが? いや勘違いしないでくれたまえ。器の話だ。人としての大きさ」
あーはいはい。
絶対わざとだよな。勘違いさせるような言い回しで、下ネタに巻き込もうとしてるなコイツ。
「……まあ、モナの件は不問にしてくれそうな雰囲気だったけどな」
「だろうね」
セラが俺の耳元で囁く。
「教会の人間が納得するかはわからないが――確かに、モナを民衆の前に出しても白虎とは思うまい」
声をひそめたのはモナへの配慮だろうが、不意打ちの囁きに俺の心臓が跳ねる。
「いい反応だ。私の囁きも、捨てたもんじゃないだろ?」
「お前……いやもういい。で、教会関係はこれで終了ってことでいいのか?」
「しばらくはね」
ルナが出したお茶をすすりながら、セラはくつろぎモード全開。
ここはお前のセカンドハウスか。
「まあ、聖騎士様戻り次第だ。 しばらくはおとなしくしていたまえ」
「それと――東の方から、壊れた刀剣を仕入れた。修復依頼だ」
そう言って、セラは足元に置いていた袋をテーブルにドサリと置く。
中から出てきたのは、見たことのない形の剣だった。
刃は半分だけ、真っ直ぐではなく、うっすらと反りがある。両手剣だが、重さはバスターソードほどではない。
そのうちの一本は状態が良いが、残りの二本はぽっきり折れていた。
「この一本は?」
「見本だよ。一応、状態がいいのを持ってきた。参考になるだろ」
レンが興味を示して手に取ると、両手で構えて軽く素振りを始めた。
妙に様になっている。
なるほど、柄のデザインが、レンが普段大事にしているあの“柄だけの剣”と似ている気がする。
「これ、買い取ったらいくらだ?」
「おっ。興味が出たかい?」
「俺じゃなくて、レンがな」
レンは黙って何度も素振りを続けている。目が真剣だ。
おい、危ないからそれ、外でやりなさい。
刀は日本刀のつもりですが、名称はあえて書かずに行きます。
そのうちイラストも出します。それではまた。