モウラと罰則とスポンジ勇者
モウラとフィーナの一戦から5日後。
罰則で労働させられているモウラ達ビキニアーマーの休息日。
昼から民間プールで大はしゃぎの声が聞こえてくる。
「よろしいのですか?」
カッツェが俺に聞いてくる。
ちなみにモウラはまた正座させられている。
「休んで遊ばないと、心も体も長続きしないしな」
俺の言葉にモウラが顔を綻ばせるが、カッツェが睨むので、そっぽを向いた。
「優しい魔王様ですね。ノブでしたら即切腹を命じますよ」
知らん言葉だが、モウラが冷や汗をかいてるところを見ると、相当やばい刑罰なのだろう。
「ダメよ。切腹はダメ。腕と違って生えてこないから」
ヴェルが変なこと言ってるな。
腕も生えないからな!?君に再生力は知らんけど。
「ヴェルはしってるのか?」
「帝国のっていうか、魔王ノブの好きな処刑法よ」
「処刑されるの?」
「腹を自分で掻っ捌く」
思った以上に物騒なの出てきた。
モウラが涙目で俺に何か訴えてくる。
「ねぇ 魔王様私イイカラダシテマスワヨ」
うむ、怖い。
「カッツェ、モウラはなんで俺に訴えるんだ」
「それはセト様次第ですから。モウラは外交問題を起こしましたし」
「それは労働で返してるのでは?」
モウラがうなづいている。
「あれは他のもの達への罰です。指揮官は責任を取らされます」
モウラが突っ伏した。
「前例はあるの?」
「義弟アークラー様は首をさらされました」
身内でそれか、魔王ノブ気性荒いなぁ。
それに招待されてるってのは気が重い。
モウラの肩からストラップがずり落ちそうになっているが、直す余裕もなく俺を見上げる。
「魔王様、私……今日だけはスポンジと呼ばれても構いません!」
なんかとんでもないことを言ってる。
「安心なさい。私も責任をとって切腹します」
「じゃぁ あなただけが責任取りなさいよ!」
当事者のくせに、カッツェになすりつけようとしてやがる。
「お前、美で認められた勇者だろ?」
「そうよ!だから美しい私のことスポンジって呼んでいいから許して」
ダメだ。頭が痛い。
「カッツェ」
「はい」
「こいつだけ切腹」
「ダメよーーーー。あれちょーーー痛いわよ。絶対いやーー」
実際は、別に問題にする気もないが、モウラの態度が気に食わない。
しばらく反省させておこう。
スポンジってどういうことかね?
「お風呂で洗ってくれるってことよ。自分を使って」
ヴェルが耳元で囁いてくる。
「そんな駆け引きで俺が動じると思ってるのかね」
「動じるでしょ」
「否定はできない。けど、あの態度はダメだな」
「ダメね。とはいえ切腹させないんでしょ?」
「流石にな」
「なら早く止めないと、カッツェが二人分準備してるわよ」
視線を向けると、カッツェがすでに二本の短刀を磨いていた。
「カッツェストップ!ノーモア切腹」
「寛大なお心に感謝します。……私もスポンジになる覚悟はできております」
真顔で言うな。
いらんわそんな覚悟。