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四匹のドラゴン  作者: はやぶさ
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第8話

その時だった。洞窟の奥から、ものすごいけたたましい音が響いてきたのだ。


バタバタッ、バタバタッ、バタバタッ


何かの羽音のような音が、突然聞こえたと思った次の瞬間には、何千匹のカラスが、としゆきと、まなみめがけて、飛びかかってきたのだ。


「きゃあああ! やめてよ。痛い、痛い いたたっ!」


「このカラスめ! いたたっ、いたたっ。ああ! やめろよ、このカラス」


まなみは悲鳴をあげながら、頭を抱えて座りこんだ。としゆきはとしゆきで、リュックを、振り回しながら、襲ってくるカラスを、退治しようとした。


カラスは、まなみや、としゆきの体を傷つけてきた。手の甲や、靴下からでている肌は、傷つけられ、血が滲み始めていた。


『どうしよう、わたしこのままカラスに殺されちゃうのかな』


恐怖と、痛さで気を失いそうになった時、肩にのってたラビネとグリラスが、口から炎を吹き、反撃した。何匹かのカラスは、丸こげになって下へと落ちていったが、数が多くて、カラス全部に攻撃を加えることができない。同じくとしゆきの肩にのってるドルダとダークも、口から炎を吹き、反撃している。


「おまえらの魔法でなんとかなんないのか?!」


としゆきは必死にリュックで追い払っていたが、いまいましげにドルダとダークに叫んだ。


「すまない。さっきの瞬間移動の魔法で力を使い切ってしまって今は無理なのだ」


申し訳なさそうにドルダが頭を下げると


「やっぱりこわっぱに助けてもらうなんて無理だろ、はじめっからこんなんじゃ先が知れてる」


ダークは、嫌なものでも見るようにとしゆきを睨みつけた。


「なんだって?!」


としゆきは怒ると、ダークをつまみあげて放り投げようとした。ダークはするりとその手から逃れると、すかさず炎をとしゆきの手に向かって吹いた。


「あちちちっ! なにするんだ、こいつ! ぼくを殺す気か?!」


「ふん。おまえのような力のない奴、カラスに殺られてくたばっちまえ!」


「二人ともいいかげんにしないかっ!」


さすがのドルダも怒って、二人の間に割って入ろうとした。と、その時一匹のカラスが、としゆきの目をめがけて、つついてこようとした。


「わっ!」


あともうちょっとというところで、何かが、飛びこんできた。


ビュッ


見ると、黄金の幅広の剣が目の前を横切り、そのカラスを、くし刺しにした。


「ギャッ」


カラスの、断末魔の声とともに、いっせいに暗闇の洞窟内が、ぱあっと明るくなった。それはたくさんの松明の明かりだった。松明を掲げているのは、としゆきよりも背の低いずんぐりした、ヒゲを生やしたいかつい小男たちだった。その小男たちは、剣や斧で次々とカラスたちを倒していった。気がつけば、カラスの死体が山のように洞窟内の地面を埋め尽くしていた。


「ドワーフか」


ドルダは、その小男たちに目を向けるとつぶやいた。


「洞窟内が騒がしいと思ったら、人間が二人とドラゴンが四匹か」


ドワーフの中の頭領らしい男が、としゆきの前までやってくると、じろりと、としゆきとドルダを見くらべた。


「ここは、我らが住まう場所だ。よそ者がうろつく場所ではない。とっとと出て行ってもらいたいところだが、人間なんぞにここで死んでもらっては困る。人間よ、こっちへ来い」


まなみは、ドワーフに、ぎろりと睨みつけられ、すくみあがったが、肩にのっているラビネが、こっそりといってくれた。


「大丈夫。ドワーフはそんな悪い奴らじゃない」


「わたしたちを食べたりしない?」


「ふん、だれがそんなことするか。おまらなんか食べても、うまそうじゃないしなあ」


どうやら耳はいいらしく、ドワーフの頭領は首を振りながら、こう言った。


「つべこべ言わず、いいからついてこい」


としゆきとまなみとドラゴンたちは、ドワーフに挟まれながら、洞窟内を歩き出した。洞窟内は複雑な迷路になっていて、たくさんの洞窟へとつながっていた。水がしたたり落ちているところなどは、鍾乳洞がつらなり、不気味な光景をかもしだしていた。


「ぴちょん、ぴちょん」


と落ちてくる水てきが首すじに当たり、


「きゃああ」


という悲鳴をまなみがあげると、ドワーフの頭領は、うさんくさそうな目でまなみを見た。


「そんなに、騒ぐなら、ほんとに食っちまうぞ!」


すごみを、きかせた声にまなみは、出そうだった涙もひっこんでしまった。としゆきは不安そうな顔をしていたが、まなみのことばや行動に、はらはらしっぱなしだった。


ぼくらの態度次第で、どうなるかわかったもんじゃないぞ。まなみの奴、泣き出さなきゃいいけど……。としゆきが、そんなことを考えている中、まなみはまなみで、しっかりしなきゃと思っていた。そうこうしているうちに、ドワーフたちが住んでいる洞窟にたどり着いた。


入り組んだせまい洞窟を通りぬけたその先は、ぽっかりと空いた大きな空洞へとつながっており、その空洞の中に城のようなものがそびえ建っていた。アーチ形の木の大きな門と両わきには円柱形の塔が二つあり、頑丈な石で城壁がつくられていた。

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