第6話
「泣くと我々を探している魔法使いにみつかってしまうおそれがあるのです。涙は奴の好物ですからな」
「好物? 涙を食べるの」
「涙を流すと人間の心は弱くなる。魔法使いはそこにつけこんで、その人間をあやつろうとしてくる。ですからなるべく泣くのはやめてほしい」
ドルダにそういわれ、まなみは怖くなった。もしあやつられたら、どうしよう。それもあるけど、心が弱くなるってどういうことなんだろう。分からないけど、泣かないでいよう。
「わかった。泣かないね」
まなみが素直に頷くと、ドラゴンたちは、ほっとした様子でまなみを見た。
「それに兄弟けんかはよくないよ」
水色のドラゴンはウィンクをひとつしながらそういった。としゆきとまなみが気まずそうに肩をすくめると、黒いドラゴンがいった。
「へっ、よくいうぜ。おれらだってよく兄弟けんかするのに」
「それはダークがわたしたちと違う意見だからだよ」
水色のドラゴンが穏やかにそういうと、ダークをたしなめた。
「兄弟って君たち兄弟なのかい」
どう見てもちがう種類のドラゴンが集まっているようにしか見えないので、としゆきは不思議そうな顔をして訊いた。
「その通り、今は、姿形はちがうが、我々は兄弟だ。自己紹介がまだだったな。わたしの名前はドルダ。水色のドラゴンがラビネ。黒色のドラゴンがダーク。そして緑色のドラゴンがグリラスだ」
それぞれのドラゴンが人間のようにお辞儀をすると、としゆきとまなみも慌ててお辞儀をした。
「ぼくら家に帰れますか」
不安な気持ちを押し出すかのように、としゆきはドルダに訊いた。
「すぐというわけにはいかない。君たちの世界と異世界の行き来ができる場所まで、たどり着くのにしばらくかかるはずだ。その間、我々と君らは一緒に旅をすることになる」
旅と聞いて、まなみの心は少し明るくなった。それってまるでファンタジーの本の中の冒険みたいじゃない。でもそんな怖い目にはあいたくはないけれど。思わずそんなことを考えたまなみだったが、としゆきとまなみは四匹のドラゴンたちと旅をすることになった。




