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四匹のドラゴン  作者: はやぶさ
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第4話

としゆきは、さもわかったような返事をしながら、隣に座ってご飯を食べてるまなみを、足で軽く蹴った。どうやらさっきの生き物を連れて、どこかへ行こうとしているらしい。話を合せろということだろうと思ったまなみは、


「おばあちゃん、水筒あるかな」


「おお、おお。もちろんあるよ。まなみちゃんのおかあさんが子供の頃使ったやつがね。あとお菓子も持たせてあげるよ。としゆきと、わけるんだよ」


「ありがとう、おばあちゃん」


まなみは、お礼をいうと、残りのご飯を急いで口いっぱいに頬張った。


 あのさっきの生き物は本当にドラゴンなのだろうか。もし、そうだとしたら……。まなみは絵を描くのも、好きだったが、本を読むのも、好きだった。中でも、妖精や、ドワーフが出てくるような西洋のファンタジーが好きだった。


 もし、ドラゴンがいるならば、彼らだっているにちがいない。そう思うと、まなみは心の中が、希望で満ちあふれ、なんだってできそうな気分になってきた。早いとこ、としゆきといっしょに、あの箱の中身を確認しよう。まなみは、そわそわしながらも、おばあちゃんやおじいちゃんに怪しまれないように、平静を装っていた。


二人はお昼を食べ終わると、おばあちゃんから水筒とお菓子をもらい、探検に行く準備を整えた。としゆきはナイフとマッチ、懐中電灯を自分のリュックの中に入れた。それを見ていたまなみも、自分のリュックの中に小さなスケッチブックと色鉛筆を入れてみた。それから首に水筒をかけると、ハンカチをポケットにしまいこんだ。


としゆきはいそいで二階に行くと、納戸に隠した例の宝箱を自分のハンカチに包んで、そっとリュックの中にしまった。


二人は探検に行く準備ができると、おじいちゃんとおばあちゃんに声をかけた。


「おじいちゃんとおばあちゃん。ぼくたち、ちょっと行ってくるよ」


おじいちゃんは、新聞を読みながら、二人の格好を確認すると


「帽子をかぶっていくんだよ、二人とも。外は暑いからな」


と、それだけいうと、また新聞の方に顔を向けた。おばあちゃんは二人に帽子を渡すと


「気をつけて行ってくるんだよ」


と、にこにこ微笑みながら二人を送り出してくれた。


としゆきとまなみは、玄関を出てしばらくの間は、のんびり歩いていたが、おじいちゃんとおばあちゃんの家が角を曲がって見えなくなると、としゆきは一言いった。


「走るぞ、まなみ」


「うん!」


まなみも気合いを入れて、としゆきといっしょに駆け出した。何軒かの家を通り過ぎて、少し坂を下って行くと、目の前には田んぼが広がっていた。緑の稲は、風が吹くといっせいにさらさらとなり、駆けて行くまなみたちのあとを追ってくるようだった。二人は跳びはねるウサギのように、ぴょこぴょこと走り、浮き立つ気持ちがそのまま表れていた。


走りながらまなみは訊いた。


「どこへ行くの」


「前、おかあさんたちと行った神社に行こうと思う。あそこなら、静かだし、だれも人がいないからな」


としゆきはまなみを連れて、田んぼを少し走って行くと、田んぼのそばに小さな坂がありそこをってのぼって行った。鬱蒼とした木々が立ち並んでいて、途中から石の階段になっている。その階段をのぼって行くと、赤い鳥居があり、鳥居をくぐると、目の前に古ぼけた神社があった。おさい銭箱と鐘が天井からつりさげられている。としゆきは神様に手を合わせると、おさい銭箱の後ろにあるお社の中をそっとのぞいた。中は埃が積もっていて、誰もいる気配はない。としゆきはそれを確認すると、まなみにいった。


「この中でさっきのを確認しよう」


まなみの心臓はどきどき鳴りひびいた。お社の中は扉を閉めると、薄暗く、二人は頭をよせあって息をひそめた。そうしてリュックの中の宝箱を引っ張り出すと、そっと蓋を、再び開けてみた。


「キィーキィーキィー!」


さっきと同じような叫び声が再び聞こえはじめる。ミミズのように小さなそれたちは、怒ったように翼を広げ、小さな炎を口から吹き出した。まるでとしゆきとまなみを威かくしているようだった。としゆきはつぶさに観察し、結論づけた。


「ほら、やっぱりこいつらドラゴンだ」


まなみもじっと見つめると、物語の挿し絵に描かれているような勇ましいドラゴンにそっくりだった。ドラゴンは四匹いた。緑色のドラゴンと黒色のドラゴンには二本の角があり、背中には翼が生えていた。水色のドラゴンは角が一本だけで、そして同じように翼があった。最後の一匹の紫のドラゴンだけは翼を持っていず、頭には角二本を持っていて、どちらかというと、西洋風のドラゴンではなく、中国に起源を持ちそうなくねくねとした胴体を持つ竜という姿をしていた。


「へえ、西洋風のドラゴンが三匹と中国風のドラゴンが一匹か」


としゆきが、おもしろそうに叫ぶのと同時に、腹に響くような声が聞こえた。


「ここはどこなのだ」


さっきまでキィーキィー声がしていたのが、嘘のように消えさり、大人の男の声がした。


「誰だ!」


びっくりしたとしゆきは大きな声で怒鳴った。お社の中を見渡したが、まなみの他、誰もいない。


「おまえなんかいったか」


「ううん……」

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