第26話
まなみは、としゆきの前に立ちはだかった。
「なんでおまえが止めるんだよ」
としゆきが面白くなさそうに、まなみを睨んだ。
「だってわたしがいけないんだもん。わたしのせいでグリラスが連れて行かれちゃった」
泣きそうになるまなみに、としゆきがさらに怒った。
「こんな時に泣くな」
「申し訳ないとしゆき様。我らに魔法の力がまだ戻ってないせいで」
「としゆき様。まなみ様を怒らないでください。ほんとにわたしたちがいけないのですから」
ラビネが心配そうに、としゆきの顔をのぞきこんだ。
「ふん。なんだよ。ドラゴンのくせに兄弟愛があるなんておまえら変だぜ」
馬鹿にしたようにいうとしゆきに、まなみは首を強く振った。
「なんだよ、まなみ。おまえだってそう思うだろ」
「ちがうよ。お兄ちゃん。ドルダたちは前は人間だったんだよ」
「はっ? おまえ何いってるの」
としゆきが、とがった口調できくのと同時にドルダが驚いた。
「なぜそれを知っている」
金色の目を大きく見開き、まなみにつめ寄った。それからラビネの方に顔を向けたが、ラビネはあわてて首を振った。
「わたしはいってないですよ」
「おれだっていってないぜ」
ダークは、ふてくされた様子でしっぽをまいた。
「おいおい、どういうことだよ」
のけ者にされたのが、おもしろくないのか、としゆきはいらだってまなみを見た。そこでまなみはグリラスが話してくれた話を、彼らに話した。
「けっ、あいつ、いつもは無口なくせに、よくもまあ話したな」
ダークは、嫌みたっぷりにそういった。
「話すこともないので、わたしたちのことを話したのでしょうね。グリラスは」
うなだれたようにラビネが話すと、としゆきが口を挟んだ。
「じゃあ、今まなみが話したようにおまえらは、元人間ってわけか。しかも前は騎士だって?」
「うむ、そういうことだ」
ドルダは険しい表情を浮かべながら答えた。
「それでおまえら、剣の使い方の良し悪しがわかるっていってたんだな。そういうことは早くいえよ」
謎がとけたとばかりに、としゆきは自分の剣を振った。
「じゃあ、おまえらが、おれの剣術を鍛えればいいわけだろ」
「まあ、確かにそうですね」
ラビネはとしゆきに、黙っていたことを申し訳なく思っているのか神妙な声で答えた。
「じゃあ、それで決まりな」
「決まりとは?」
ドルダが訝しげに、としゆきに質問すると
「グリラスを助けに行くってことだよ」
「お兄ちゃん!」
気持ちが沈んでいたまなみは、驚いたように顔をあげた。
「なんだよ」
「ほんとに助けに行くの」
「当たり前だ。人間だなんて聞いたら、よけい行かないわけいかないだろ」
「ありがとうございます。としゆき様」
ドルダとラビネは、深々と頭をさげて、感謝の念を表した。それに対して、ダーク一匹だけが、すねたように、夜空を見上げていた。




