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四匹のドラゴン  作者: はやぶさ
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第21話

「まあ! ノアはいいわね。わたしには羽があるから空を飛んでいいはずなのに、いつも城にいなくちゃいけないし、どこまでも飛んで行ける自由がないの」


また泣きそうな顔でノアを見る王女に、ノアは本当に気の毒そうな表情をすると、


「お気の毒に」


と、一言いった。


「ならば、今日という日を存分に楽しみましょう、王女様」


 横からラビネが口を挟むと、王女は大きく頷いた。


「ええ、ええ、それがいいわね」


 それからノアは、長テーブルに小さなティーカップを人数分並べると、テーブルに合う小さな椅子をセットした。そうして小屋の中に戻ると、今度は山盛りのケーキの大皿と、それを取り分ける小皿をテーブルの上に並べた。王女やドルダやラビネ達が、それぞれの小さな椅子に座ると、ノアはいれたての紅茶が入った大きめのポットを持ってきた。それを見ていたとしゆきが、むっとした調子で言った。


「なんだよ。おまえら小さな者達だけでお茶会かよ。僕達は飲めないなんて不公平だ」


 それはまなみも、ちょっと思ったことだった。お茶会の用意の様子は、まるでドールハウスで遊んでいるような気分で、面白かったが、あんなに小さなティーカップでは自分は実際は飲めないし、ケーキだって食べた気がしないだろう。そうおもうとのけ者にされた気がして寂しかった。


「あら、あなた達が大きすぎるだけじゃない。だったら小さくなったらいいのよ」


 王女は、さも当然のようにいった。


「小さくなることなんてできないよ」


 としゆきは不満そうに怒鳴った。


「あら、そんなことないわよ」


「そんなことないってどういう意味」


 王女の言葉にまなみがびっくりして訊き返すと、王女は椅子から立ち上がると、としゆきとまなみの前までやってきた。それから指で宙に円を描くと、まなみ達の聞いたこともない言葉を唱え、その後大きな声でこう叫んだ。


「わたしと同じ大きさになあれ!」


 するととたんに、としゆきとまなみの身体が、ぐんぐん小さくなっていった。としゆきとまなみは、一瞬めまいがして、立っていられなくなって座りこんだ。あれよ、あれよというまに、二人の身体のサイズは妖精の王女と同じぐらいになっていて、気がつくと、周りの木々が恐ろしく巨大で、見上げた空はあまりにも高すぎて、首が痛いぐらいだった。


「いたたっ」


思わず座り込んだお尻が痛くて、まなみが声をあげると、そばにラビネがやってきて


「大丈夫ですか、まなみ様」


と心配そうに上からまなみを見下ろした。まなみは、いつもは肩にのってるラビネが自分の背丈よりも大きいことに驚いて口をぱくぱくさせた。ドルダ達も同様で、としゆきよりも頭一つ分大きいぐらいだった。


「妖精って魔法も使えるんだなあ」


としゆきもびっくりした様子で辺りを見回して、どういうことか、もう一度確認した。


「そうよ。あなた達人間を驚かしたり、いたずらするのに、魔法は必須なのよ。でも魔法っていっても、攻撃魔法とかは使えないわ」


得意げに王女は頭を反らした。


「それよりあなた達の大きさもちょうどよくなったわけだし、早くお茶にしましょう」


「そうね、そうしよう!」


まなみも満面の笑みを浮かべて、うっとりとした。大皿にのっているケーキは、いろとりどりだった。生クリームたっぷりのショートケーキもあれば、全部イチゴでつくっているのか、すべてが真っ赤なケーキだったり、オレンジのような柑橘系の果物が材料なのか、黄色だったり、橙色だったりするものあった。それらはたっぷり数があって、いくらでも食べても平気そうだった。


としゆきとまなみは、大いに食べるぞとばかりに腕まくりをして長テーブルの席に着いた。ノアは皆のティーカップに特別な紅茶を注いで回った。


紅茶のかぐわしい香りが、辺り一面漂い、皆なんだかとってもいい気分になってきた。まなみは鼻いっぱいにその香りを吸い込んでから、その紅茶を一口飲んだ。するとどうしたことか、今まで森の入り口のノアの小屋の前にいたのに、気がつくと、真っ青な空と、大きな海が目の前に広がっていた。その海の中から、たくさんの小魚が、ぱしっぱしっと音をたてて、跳びはねながら泳いでいるのが見えた。もっと遠くをみると、大きな鯨が気持ちよさそうに泳いでいる。空には海鳥が飛んでいて、隙あれば、泳いでいる小魚を捕ろうとしているようだった。そんな中ふと海面を見ると、豆粒ぐらいの小さな小舟がゆらゆら揺れていた。そこにはノアにそっくりな小人が乗っていて、必死になって小舟を操っている姿が見えた。


あっと思って、まなみがその小人に声をかけようと思った瞬間には、お茶会の長テーブルの席に座っていた。


今のはなんだったのだろうと、まなみが不思議そうな顔をしていると、隣に座っているラビネが声をかけてきた。


「まなみ様も見ましたか? 海を」


「えっ。じゃあ、ラビネも見たの?!」


「はいはい、見ましたよ」


ラビネはうれしそうに答えた。


「皆さんが見られたのは、私の先祖の想いです」


「ノアの先祖の想い?」

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