6話 文豪の能力者
~貸出人の家~
貸出人の家で静かになった場所を感じる
ここは、おそらく彼の自室だろう
それ以外ではメイドが出迎えていた節があった
差出人が書籍を開けた
するとそこには人はもういなくなっていた
代わりに貸出人だけが存在していた
貸出人
「本を開けた者は本に閉じられる
だから先ほど差出人に代行で頼んで開けたのだ
悪いな 手当金も差し出せそうにないね」
ラウドは能力者へと攻撃を仕掛けた
しかし小さいそのサイズ補正では勝てるはずもなく
蚊のように叩かれてラウドは即死した
貸出人
「あっけないね
これがエミナ町に来たメイズ能力者か」
能力者はラウドの死を確認してから
自分の執筆活動を再開した
貸出人
「ここまで財を成せたのは私が文豪だからだ
今日の歴史もまた自分のフィクションストーリーの中で
サクセスストーリーとして囁かれるだろう
永遠に私のストーリーの中で続くよ 安心してくれよ」
執筆は数か月と続いていた
そして完成されたそのノートを出版社へと送った
自分が執筆したであろう完成された本を手に取る
しかしそれが開けている最中に異なる本だと気付いた
材質が違っていたのだ
新しい書籍と違って、古い書籍には時間が過ぎる事に触り心地が異なるからだ
他に視線を写すと完成された本があった
しかしもう遅い 自分がノートの上にいる事に気付く
叫んでも誰も来ない
ラウド
「誰も来ねーよ」
誰かの木霊が聞こえる
その声は小さく聞こえた事のある声だ
貸出人
「これは…私が所持したメイズ書籍
ラウドは…死んでいる…
だが、ラウドの生身が今でも普通に存在してるという事は…仮死状態にしているのか…!」
ラウドはそのまま息を吹き返す
ラウド
「死んだふりをする為に
お前の攻撃を受け流してから俺は
自分に真空爆風をして仮死状態まで追い込んだ」
真空圧で心臓を圧迫していたものを動かし始めてラウドは仮死状態から復活した
ラウド
「俺が書籍の中の住人として来ていた期間に
家の間取り図を探っていたんだ
お前が寝ている間に真空操縦風で操った風でノートの後書きを切り取っていた
作者の後書きにはプライベートが記されている事が多い
中でもお前の場合はインドア派だった
だからその中で間取り図を俺の頭の中で妄想して完成されていた」
そして叫んでも誰も来ない事も知っているのだラウドは
ラウド
「メイドが一切来ない時期がある
それは執筆活動に専念する集中している日だ
俺がすっかり死んでしまったと言えるような場面をお前は見た事で
俺に油断してたんだ
そしてお前が俺を殺したサクセスストーリーが頭の中で爆発し続けた
お前は自分の妄想の創作のせいで自分の生命を殺してしまったんだよ」
それがラウドの狙い目だった
ラウドは抜け出す為の伏線を瞬時に考えていたのだった
ラウド
「それじゃあな
俺がメイズ能力者という事が知れ渡っていて狙われていたとなると…
ここにいるのも、そしてお前を活かすのも駄目だって事だけは分かるからな」
ラウドはそのまま彼を殺した
貸出人のオリジナル書籍から抜け出す事に成功する
ラウドは貸出人をノートの上にいるそれを見ていた
ラウド
「よく見えるぞ
誰にも見えるようになっている
メイズ能力が消えた事が確認された
これは良い試験体だな
俺はメイズ協会員だ
だから容赦ってのは無い 殺されたくはない」
そしてラウドはその書籍を焼却した
証拠物件も残らずにラウドはその場を去った