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プロローグ

 2001年6月、1人のフランス人の少女の人生が大きく変わった。フランス中部の都市・リヨンで生まれ育った、ごく普通の小学生だった彼女。だがロンドンへバカンスに出かけた際に遭遇した落雷で、脳や身体の仕組みが大きく変化した。その結果、身長は130cm程の3頭身の体型という変わり果てた姿になったものの、彼女は超能力を獲得した。両親を亡くして絶望的な状況の中で、Kという日本人に引き取られた。そして「サンガンピュール(Sangimpur)」という新しい名前で、茨城県土浦市に移住してきたのだった。

 その年の8月、Kはサンガンピュールを正式に養子に迎えた。実の両親を失い、本来ならば見知らぬ者であるはずのKとその親戚とは、もう本物の家族のような付き合いをしていた。


 養子縁組が成立してからしばらく経ったある日のこと。Kは養子に質問を投げかけた。

 「ねぇ、君のおじいちゃん、おばあちゃんは君のことを心配してるのかな?」

 「・・・分かんないよ」

 彼女は考えることもなく、素っ気なく答えた。母方の家系では祖父は早死に、祖母はサン・テティエンヌ(リヨンからは南西へ60km離れている)に住むいとこ家族に引き取られた。一方で父方の祖父母とは疎遠のままだ。死んだ両親の結婚披露宴以来、どこでどのような生活を送っているか、想像がつかなかったのだ。年賀状の代わりとなるクリスマスレターなら見たことがあるが、答えようがなかった。だが、


 「私は、おじいちゃん、おばあちゃんがどんな人なのか、分かんない。でも、おじさんと病院で会った時、何とか私を助けてほしいと思ったの。・・・本当に無我夢中だった。だから今、こうして日本にいるんだし」

 と、彼女から物凄く割り切った答えが出てきた。


 「遠くの親類よりも、近くの他人・・・か」

 Kはそう答えた。

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