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救い方

作者: 高森
掲載日:2019/04/19

大きな事故が起きて、目の前で1人の女性が瓦礫の下敷きになっていた。

下半身は完全に潰されていて、両腕も歪な角度で曲がっている。

しかし大事な臓器は無事なのか、彼女はハッキリとした意識を保って生きていた。

これならば即死してしまったほうが幸せだっただろう。

そう思わせるほどに、悲惨な光景だった。


殺して。私を殺してください。


女は男にそう懇願した。


男は考える。

確かにこのまま死を待つより、早く死んでしまいたいと思う気持ちは理解出来る。

仮に生き残ったのだとしても、この身体ではまともな生活は送れないだろう。素人目にもそれは分かる。

けれど、こんな状態でも生きている人を殺すなんて僕には出来ない。

そう考えて考えて考えて、考えている間にも彼女は苦しんでいるのだと理解した。

そして護身用に持っていた拳銃を取り出し、銃口を女に向ける。


本当に良いんですね。


男は女に問う。


はい。ツラい役目を押し付けてしまってすみません。


男は引き金に指をかけ、力を入れようとする。

けれど、どうしても最後の一押しの踏ん切りがつかない。

そんな中、女は切れ切れの声で言葉を続けた。


あなたがいてくれて良かった、ありがとうございます。


その言葉を聞いた男は、救いの声に応えるために引き金を引いた。


バンッ! という音が響き渡り、女は息を引き取った。


男はフラフラと立ち上がり、おぼつかない足取りで歩き出す。


僕は彼女を救ったのだろうか。それとも殺したのだろうか。


いつまでも同じことを考えながら、いつまでも拳銃を片手に歩いていた。

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