表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/300

97話 妹はカップケーキを作ります

<結衣視点>


 私は、選択授業で家庭科を選んでいます。

 女の子として、色々とできるようになっておきたいですからね。

 その方が、兄さんに喜んでもらえそうですし……

 褒められたりなんかして……えへ♪


 まあ、学校の授業なので、そこまで本格的な内容ではありませんが……

 それでも、色々と勉強になります。


 そして……

 今日の授業の内容は、調理実習でした。


「よろしくね、結衣」

「はい、よろしくお願いします」


 同じく、家庭科を選択している凛ちゃんと一緒の班になりました。

 凛ちゃんは、なんでもできるイメージがあるので頼もしいです。


「はーい、今日はお菓子を作るわよ」


 壇上で、先生がレシピを黒板に書いていきます。


「クッキーとカップケーキね。どちらも手間はかからないけど、ちょっとしたことで大きく味が変わってしまうから、注意してね? 丁寧に、しっかりと作ることが大事よ。わからないことがあったら、遠慮なく聞いてちょうだい」

「クッキーとカップケーキ……担当を分けましょうか。結衣は、どっちがいい?」

「そうですね……」


 ぽん、と兄さんのことが思い浮かびました。


 作ったものは自分で食べていいので、誰かにあげることも可能です。

 もちろん、私は兄さんにあげます。


 兄さんは、どっちが好きでしょうか?

 クッキー……カップケーキ……


「じゃあ、私はカップケーキでいいですか?」

「ええ、構わないわ。なら、私はクッキーね」

「がんばって、おいしいものを作りましょうね」

「そうね。結衣は、先輩にあげるから、特にがんばらないといけないわね」

「な、なんでわかったんですか?」

「むしろ、わからない方がおかしいわよ。そんな顔をして」


 私、どんな顔をしてるんでしょうか?

 兄さんのことを考えていたから、笑っていたのかもしれません。


「よし、がんばりましょう!」


 真白ちゃんは、お菓子が作れる妹はポイントが高い、と言っていました。


 日頃のごはんは、兄さんが担当していますが……

 ここでおいしいカップケーキを作り、私もできるということを兄さんに教えてあげましょう。


 目指せ、妹ポイントアップ、です!


「えっと……まずは、材料を混ぜる……」


 黒板に書かれたレシピを見ながら、各種材料をボールに入れて、ぐるぐると混ぜます。


 ただ混ぜるだけの作業。

 でも、想いを込めて、ぐるぐると混ぜます。

 兄さんのことを想いながら、ひたすらに混ぜます。


 兄さん、喜んでくれるでしょうか?

 笑ってくれるでしょうか?


 兄さんの笑顔は、とても好きです♪

 見ているだけで、胸がぽかぽかしてしまいます。

 あの笑顔を向けられた時なんかは、もう、どうなってしまうか……

 えへへ、兄さん♪

 がんばって作りますからね。


「結衣、結衣」

「え? あ、はい。なんですか」

「それ、かき混ぜすぎじゃない? 材料が均等に混ざるくらいでいいのよ?」

「そうなんですか?」


 言われて、手を止めました。

 混ぜすぎたみたいですが……まあ、見た目は特に問題ありませんし、平気でしょう。


 えっと、次の行程は……塩をひとつまみ?


 カップケーキなのに、塩を入れるなんて不思議ですね?

 あっ、もしかして、隠し味というやつでしょうか?

 塩を入れることで……まあ、色々あっておいしくなるんでしょう。うん。


「……塩だけ、というのは寂しいですね。せっかくだから、胡椒と……あと、七味も入れてみましょう」


 隠し味はたくさんあった方が、きっとおいしくなりますよね。


「結衣……あなた、今、なにを入れて……?」

「隠し味ですよ?」

「……まあ、いいか。私が食べるわけじゃないし」

「どうしたんですか?」

「いえ、なんでもないわ。それより、そろそろ焼いたら?」

「そうですね」


 仕上げにドライフルーツを入れて……

 ……あと、ナッツとチョコチップ、バナナも入れて、賑やかにしましょう。


 それから、できあがった生地をカップに流し込んで、オーブンへ……


「えっと……」


 設定温度は、200度ですか。


 んー……凛ちゃんもクッキーを焼かないといけないから、早く終わらせた方がいいですよね。

 なら、250度にしておきましょう。

 設定し直して……これでよし、っと。


「結衣、できた?」

「はい。あとは、焼きあがるのを待つだけです」


 私が作ったカップケーキ、早く兄さんに食べてもらいたいです♪


 おいしいよ、なんて言ってもらえたりして……

 結衣はお菓子が作れるなんて、女の子らしいなとか言われたりして……

 頭を撫でてもらったりして、褒めてくれたり……


 えへ♪ えへへ♪


 ダメですよ、兄さん。

 そんなに言われたら照れてしまいます。

 でもまあ、うれしいことなので、もっともっと褒めてください♪


「って、目的が変わってしまってますね」


 あくまでも、『妹らしさ』をアピールすることが一番の目的です。

 そこは間違えないようにしないといけませんね。


 ……でもでも、あわよくば、という感じで褒めてもらいたいです。

 好きな人の褒め言葉は、とても胸にくるものですからね。きゅんきゅんしてしまいます♪


「結衣」

「はい、なんですか?」

「えっと……ニヤニヤしてる場合じゃないと思うんだけど」

「え?」

「オーブンの中、大変なことになっているわよ」

「あぁ!?」


 焦げ臭い匂いがして……

 慌ててオーブンを見ると、そこには、黒い塊になったカップケーキが……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ