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88話 妹とみんなで遊園地に行こう!・8

 頬に柔らかい感触が触れた。


「……え?」


 びっくりして、思わず目を開けてしまう。


 結衣は……

 それこそリンゴみたいに、顔を真っ赤にしてた。


「い、今のは……?」

「……」

「えっと、も、もしかして……?」

「兄さん!」

「は、はい!?」

「か、勘違いしないでくださいね!? 私が、き、ききき、キスをしたんじゃないか、って思ってるでしょう!?」


 図星をつかれて、俺も赤くなってしまう。


 っていうか……ち、違うのか?

 今の、どうみても……


「じゃあ、な、なにをしたんだ?」

「それは、その……」


 結衣の顔がさらに赤くなる。

 もう耳まで赤い。

 そのまま、ぼんっと爆発してしまいそうな勢いだ。


「こ、ここは素直になるべきでしょうか……? そして、兄さんと私は……」

「結衣?」

「あ、あのですね……さっき、兄さんにしたのは……その……」

「あ、ああ……」


 なぜか緊張してきた。

 喉が乾く。

 ごくりとツバを飲み込む。


 そして……


「き……いたずらですよっ!!!」

「……え?」

「だ、だから、いたずらですよ! いたずら! ほ、本当に、き、ききき、キスなんてするわけないじゃないですか! そうですよ、するわけありませんとも。私たちはフリの彼氏彼女なんですからね。兄妹ですし……決して、キスじゃありませんからね!」

「じゃあ……?」

「あ、あれは、その……指先で、ぷにって押しただけですよ! それなのに、き、キスと勘違いするなんて、兄さんはえっちですね! はれんちですね! えっちなのはいけないんですよ? それも、妹をそんな風に見てしまうなんて……それはそれでアリですが、もっと……いえ、なんでもありません。とにかく、いたずらですから!」

「あっ……そ、そうなのか」


 そうだよな……冷静に考えればわかることだ。

 恋人のフリを始めて、以前よりは距離は縮まったと思うが……

 だからといって、結衣が俺にキスするなんてありえないよな。


 というか、俺も俺だ。

 いくらシチュエーションがシチュエーションとはいえ、妹にキスされたなんて考えるとは……

 どうかしてたかも。


 俺、欲求不満なんだろうか?

 『兄さん、ふしだらです』って言いながら、結衣に蔑まれる未来が見える……


「兄さん」

「は、はい!」

「……今のは、わ、忘れてください」


 なぜか恥ずかしそうにしながら、なぜかそんなことを言う結衣。


 今の、って……

 いたずらのこと、だよな?

 なんで、忘れてくれなんて……?

 むしろ俺が忘れてほしいくらいなんだけど……


「に、兄さんっ、忘れてくれるんですか? どうなんですか?」

「あ、ああ。わかった、忘れる。うん、もう忘れたぞ」

「そ、そうですか……自分で言い出したこととはいえ、そんなに早く忘れられると複雑な気分になるといいますか……私のこと、もっと考えてくれても……うううぅ」

「ど、どうした?」

「なんでもありませんっ」


 やはり、機嫌が悪い。

 変な勘違いをしたせいで、怒らせてしまっただろうか?




――――――――――


<結衣視点>



 やってしまいました!

 やってしまいました!

 やってしまいました!!!


 キス!

 兄さんにキス!

 ほっぺとはいえ、兄さんにキスしてしまいました!!!


 以前、寝ている兄さんのほっぺにキスしたことはありましたが……

 あの時とは状況が違います! 今回は、兄さんは起きています。

 ということは、私がキスしたことに気づかれて……でもでも、ごまかしたから、なんとかバレてないかも……でもでも、普通はバレていそうな……

 あああああ、本当にやってしまいました!


 こんなつもりじゃなかったんですよ?

 本当は、兄さんと一緒に観覧車に乗って、ちょっとでもいい雰囲気になれば……って思っていたくらいで、キスなんてするつもりじゃなかったんです。


 でもでも、兄さんと一緒にいて……

 兄さんと話をして……

 兄さんと二人きりで……


 胸がぽかぽかして、温かい想いが一気にあふれてしまいました。

 胸がぎゅう、ってなってしまい……

 夏になったみたいに体が熱くなって、頬が染まり……

 我慢できなくなって……


 気がついたら……キス、していました。


「うううぅ」


 恥ずかしいです。

 死ぬほど恥ずかしいです。

 とっさにごまかしたから、なんとかなりましたが……

 もしも、兄さんが目を開けていたら? キスする瞬間を見られていたら?


「ひぁっ!?」

「な、なんだ!?」

「い、いえ……なんでもありません」


 妄想を爆発させてしまう私に、対面に座る兄さんが驚いた顔をします。

 私は顔を隠すように明後日の方向を向きながら、手を横に振りました。


「はふぅ」


 我ながら、なんて大胆なことをしてしまったんでしょう。

 自分で自分が信じられません。


 でも……


 ちょっとは、私の気持ち、兄さんに伝わったでしょうか?

 素直になれなくて、かわいくない妹ですが……

 心の中では、いつも兄さんのことを想っているんですよ……そのことを、いつか、どこかで、理解してくださいね?

 でないと、またキスを……


 って、私はなにを!?

 ま、また、き、ききき、キスをしてしまうなんて……そんなことを自然に考えて……


「あああああ!!!?」

「結衣!? おい、どうした!?」

「な、なんでもありませーーーんっ!!!」


 せっかく、兄さんと二人で観覧車に乗ることができたのに……

 降りるまでの間、私はまともに兄さんの顔を見ることができないのでした。

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