表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/300

82話 妹とみんなで遊園地に行こう!・2

 翌日、土曜日。


 天気は快晴。

 まさに行楽日和だ。


 遊園地なんて、いつ以来だろうか? 小学生の遠足の時が最後のような気がする。

 久しぶりで楽しみだ。

 楽しみなんだけど……


「あの幼馴染は、なにをしてるんだよっ!?」


 駅前に9時に集合。

 そう約束したはずなのに……

 未だ、明日香の姿はない。


 ちなみに、今は9時20分だ。


「くそっ、明日香のヤツ……いきなり遅刻してくれやがって。この落とし前、どうつけてくれようか?」

「先輩、落ち着いてください。どうどう」

「俺は馬じゃないぞ」

「おすわり」

「犬でもないからな!?」

「凛ちゃん、兄さんで遊ぶのはやめてくださいね? それは、妹だけの特権ですよ」


 いや、妹だからといって、そんな特権ないからな?

 俺の立場が、どんどんおかしな方向に突き進んでいく。


「兄さん、電話をかけてみたらどうですか?」

「もう試したよ。でも、繋がらないんだ」

「では、メッセージを送るのはどうでしょうか?」

「それもやった。おもいきり既読スルーされたよ」


 ったく……

 『絶対に遅刻しないように!』って言ったのは明日香のくせに。

 本人が遅刻するなんて、どうしようもないヤツだな。


 ……いや、待てよ?

 明日香は適当な性格をしてるが、遊ぶことに関しては全力だ。

 そんな幼馴染が、遊園地に行くという一大イベントで、遅刻なんてするだろうか?

 もしかして、なにかあったんじゃあ……


「おまたせーっ! いやー、ごめんごめん。目覚ましが仕事をしなくてさー」


 特に何事もなく明日香が現れた。

 普通の遅刻だったらしい。

 俺の心配を返せ!


「おはようございます、明日香さん」

「天道先輩、おはようございます」

「うん。二人とも、おはよ。宗一もおはよ」

「はいはい、おはようさん」

「なによー、素っ気ない返事ね。遅刻したこと怒ってるの?」

「怒るを通り越して呆れたよ。もうちょっと、申し訳なさそうな顔をしろや」

「てへぺろ」

「うわー、イラつくな」

「ごめんってば。ホント、反省してるから! ほら、このとーりっ」


 パン、と手を合わせて、頭を下げる明日香。


「はあ……まあ、なにもなかったならいいけどな」

「ん? なになに。もしかして、あたしのこと心配してくれてたの?」

「連絡が取れないから、なにかあったんじゃないか、って思い始めてたところだ。まあ、なにもないみたいでよかったよ」

「そ、そうなんだ……宗一が、あたしの心配を……」


 赤くなる明日香。


 おい、やめろ。

 そんな風に照れるのは反則だ。

 そんな反応をされたら……どうしたらいいか、わからないじゃないか。


「……兄さん……」

「な、なんだっ?」

「明日香さんのことをじーっと見つめて、どうしたんですか? アレですか? 幼馴染の魅力にやられたんですか? 妹のことはどうでもいいんですか?」


 頬を膨らませる結衣。

 連鎖反応で、ややこしいことに。


「いや、俺はただ、普通に心配をしてただけで、他意はなくて……」

「ふーん」


 妹のジト目が痛い。


「そうですよね。明日香さんは、大事な幼馴染ですからね。心配しますよね。妹よりも、彼女よりも大事ですよね」

「我が親友ながら、めんどくさい子ですね、結衣は……」


 ぽつりと凛ちゃんがつぶやいていたが、聞かなかったフリをしておく。


「明日香の方が大事とか、そんなことは……っていうか、そういう話じゃないだろ? 結衣も明日香も大事だから、比べられないって」

「むぅ……同じランクですか」

「拗ねないでくれよ」

「す、拗ねてなんかいません! 放っておかれたみたいで寂しいとか? そ、そそそ、そんなことは思っていませんからね!? ホントですよ!」


 結衣が赤くなって慌てた。

 そこまで慌てる理由がよくわからないが……


 子供扱いされたと、怒っているのかもしれない。

 なんとかして、機嫌をとらないと。


「これが明日香じゃなくて、結衣だとしても、俺は同じように心配してたよ。ひょっとしたら、待ちきれずに探しに行ってたかもな」

「そ、そこまでしてくれるんですか?」

「もちろん。結衣は大事な妹……で、あと、彼女だからな」

「兄さん……あーもう、そんなことを言われたら、これ以上、なにも言えないじゃないですか……そんなに私のことを考えてくれて、想ってくれているなんて……えへ、えへへへ」

「あー……宗一? 結衣ちゃん?」


 振り返ると、今度は幼馴染のジト目が。


「二人だけの世界に浸ってないで、あたしも混ぜてくれない?」

「そんなことは……って、混ぜてほしいのかよ」

「そんなことはありませんよっ!? 兄さんと二人だけの世界に浸っているなんて、そんな素敵なこと……じゃなくて、そんな幸せなこと……でもなくて、えっとえっと、とにかく、違いますからね!? 兄さんがいやらしい目で、じーっと妹を視姦して、私はそれに耐えていただけですから!」


 そこまでイヤな思いをしてたのか……?

 やばい、凹んできた。


「はいはい、漫才はそれまでにしましょう。嫉妬と照れ隠しもそれまでにしましょう」


 パンパンと手を叩いて、凛ちゃんが場を納めた。


「結衣も天道先輩も、先輩のことが気になるのは仕方ないと思いますが、少し控えてください。目の前でイチャラブコメディを見せつけられる独り身の私の気持ち、わかりますか? 正直、爆発してしまえ、と思いますよ?」

「「「すいません」」」


 俺たちは一斉に頭を下げた。


「まあ、三人の関係は理解してるつもりですからね。文句は言いませんよ。ただ……今日は、テストの打ち上げの第二弾。ひとまずは、楽しく遊ぶことに全力投球しましょう」

「そうですね……せっかくの機会ですから、楽しまないと損ですよね」

「そういうこと」

「よしっ」


 気持ちを切り替える。

 結衣と明日香も平常運転に戻る。


「じゃあ、いくか!」

「「おーっ!」」

「あっ、先輩。まだ切符を買っていませんよ?」


 ……色々な意味で締まらなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ