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81話 妹とみんなで遊園地に行こう!・1

<結衣視点>


 夜。

 机に向かい、宿題にとりかかります。

 ノートにペンを走らせて……


「ふぅ」


 区切りのいいところまで進めたところで、ペンを置きました。

 提出は明後日なので、それほど焦る必要はありません。

 もう半分まで進めたので、残りは明日にしましょうか。


 教科書とノートを閉じて……

 それから、兄さんのことを考えます。


 今回の一連の騒動を経て、私は、ちょっとくらいは成長できたような気がします。

 それと同時に、兄さんに対する恋心がますます大きくなりました。

 私が倒れた時、おんぶをしてくれて、優しく看病をしてくれた兄さん……とても素敵でした♪

 胸がキュンキュンしてしまいます。

 あんなところを見せられたら、女の子として惚れないわけにはいきません。


 兄さん、かっこいいです♪


 まさに、至福の時間でした。

 あの幸せを味わうためならば、また倒れてもいいくらいで……

 って、それはいけませんね。

 いくらなんでも、兄さんに心配をかけてしまうのは、心苦しいです。

 あれはアクシデントで……もう、あのようなことはないようにしないといけませんね。


「看病してもらうのは、やめにするとして……デートならいいですよね!」


 テストは終わったので、必要以上に勉強をすることはありません。

 それは、兄さんも同じのはず。


 時間に余裕ができたので、今まで我慢していた分、兄さんと一緒の時間を過ごしたいです。

 兄さんとデート♪

 想像するだけで、胸がドキドキして、心が踊るような気分になりますね。


 でもでも、どうやって兄さんをデートに誘いましょう?

 この前、公園に行った時は、以前できなかったおまじないをしたい、という名目がありましたが……今は、特にありません。

 いっそのこと、ストレートに誘ってみましょうか?

 兄さん、デートしませんか?


「無理です! 無理無理無理っ、そんなこと恥ずかしすぎますっ、あうううっ」


 私から、で、ででで、デートに誘うなんて……

 やっぱり、恥ずかしいですよぉ。

 『恋人のフリ』を始めて、それなりの期間が経ちましたが……兄さんと触れ合うことに関しては、一向に慣れません。

 一つ一つの仕草で兄さんを意識してしまい、内心、ものすごくドキドキしているんです。だから、理由もなくデートに誘うなんて、できません。

 絶対に顔が赤くなって、言葉に詰まってしまいます。

 そうなったら、さすがの兄さんも私の気持ちに気づいたりして……ひゃあああ!?


「だ、ダメですよそれは……! 私の気持ちを知られてしまうなんて……それは、絶対にダメです! 恥ずかしすぎで、どうにかなってしまいそうです……私が、どれだけ兄さんのことを好きか……当の本人に知られるなんて、無理すぎですよ」


 やっぱり、理由もなしにデートに誘うことはできませんね。

 でもでも、兄さんとデートしたいです。

 イチャイチャしたいです。

 たくさん甘えたいです。

 それからそれから……えへへ。


「はっ!? い、いけません……ついつい妄想が」


 兄さんのことを想うと、思考が飛んでしまうのが難点ですね。


「さてと……どうしましょうか?」


 兄さんをデートに誘う理由……


 あれこれと考えて……

 ふと、明日香さんのことが思い浮かびました。


「これ……抜け駆けになるんでしょうか?」


 明日香さんとは、正々堂々と競いたいです。

 それなのに、私が勝手にデートに誘っていいものか……? うーん……とはいえ、明日香さんに、『兄さんをデートに誘っていいですか?』と聞くのもおかしい気がしますし……


「あっ、ひらめきました!」




――――――――――

<宗一視点>



 金曜日の放課後。


 やっと一週間が終わり、授業から解放された。

 週末はなにをして過ごそうか? 家でゴロゴロしてもいいし、遊びに行くのも悪くない。

 ……なんて、土日の予定を考えてたら、思わぬところから声がかかった。


「兄さん。土日の予定はありますか?」


 帰り道、結衣がそう尋ねてきた。


「土日は……」

「特にないですよね? 家でゴロゴロしてるか、ゲーセンに行くくらいですよね?」


 断定するのはやめてくれないかな?

 いや、間違ってはいないんだけどさ……

 『兄さんは無駄な時間を過ごすことしかできないダメ人間ですからね』、って言われてるみたいで辛い。


「みんなで遊びに行きませんか? 明日香さんと凛ちゃんを誘って」

「ん? それはいいけど、急だな?」

「テストの打ち上げ、第二弾です。ファミレスやカラオケとかじゃなくて、もっと楽しいところで遊んで、パーッと楽しい時間を過ごしませんか?」

「そうだな……うん、悪くないな」

「決まりですね」

「ただ、二人の予定は大丈夫かね?」

「聞いてみないことには。ダメなら、来週にしましょう」

「ま、そんなに急ぐことはないか。それで、どこに行く?」

「遊園地なんてどうでしょうか?」

「遊園地か……悪くないけど、軍資金が足りるかどうか」

「それなら問題ありません」


 じゃーん、と言いながら、結衣は鞄からチケットを四枚取り出した。


「フリーパスです。交通費や食費は別になりますが、これがあれば、遊び放題ですよ」

「おお! って、そんなものどこで?」

「この前、新聞の勧誘が来たじゃないですか? その時に交渉をしまして」


 一ヶ月しか契約してないはずなのに、それで、遊園地のフリーパスチケットを四枚も……?

 いったい、どんな交渉をしたのやら……ウチの妹がたくましい。


「じゃあ、遊園地にするか」

「はいっ♪ 私、明日香さんと凛ちゃんに連絡しますね」


 結衣は、るんるん気分で携帯を取り出した。

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