61話 妹はジャンルを変えてみる模様です・3
「……小悪魔な妹は、こ、このような感じですね。ど、どうでじゃ……どうでしたか?」
さすがに、結衣も恥ずかしかったらしい。
動揺を隠せない様子で、噛んでいた。
そこまで恥ずかしいなら、やらなければいいのに。
……いや。
それくらい、恋人らしく見せようとすることに、真剣に取り組んでいるということか。
そこまで真剣にならなくてもいいような気はするが……
まあ、結衣は真面目だからな。
手の抜き方を知らないんだろう。
「……悪くはないと思う」
「わ、悪くないんですか……兄さん、えっちですね」
「えっ、俺のせいなの?」
「だって……」
「ま、まあ、でも……もうちょっとおしとやかな方がいいかもな」
色々な意味で心臓に悪いし、落ち着かない。
「じゃあ、最後は『甘えん坊な妹』を試してみますね」
結衣は目を閉じて、スイッチを切り替えるように、『不思議系な妹』を演じる。
「えへへ、兄さん」
「うん、なんだ?」
「隣に座ってもいいですか?」
「ああ、もちろん」
「おじゃましまーす」
結衣が隣に座り、そのまま俺の肩に頭を預けた。
「んっ。兄さん、温かいですね♪」
「えっと……そんなにくっつかれると、ちょっと……」
「え……イヤ、なんですか?」
うるっと、結衣の瞳に涙が。
演技なんだろうけど、罪悪感が半端ない。
「そ、そんなことないから! 大丈夫、イヤじゃないぞ。どんどん寄りかかってくれ!」
「わーい♪ やっぱり、兄さんは優しいですね、えへへ」
スリスリと頬を寄せてくる。
「んっ。兄さん、兄さん♪ ずっとこうしていたいですね」
「そ、そうか?」
「ねえ、兄さん。頭を撫でてほしいです」
「えっ」
「ねえねえ、兄さん。ほら、撫でて。私の頭を撫でてください?」
「えっと……よしよし」
「はふぅ」
「いい子いい子」
「ふわぁ」
結衣の目尻がとろけるくらいに垂れ下がる。
とても気持ちよさそうだ。
なんか……ドキドキするな。
いつもツンツンしている結衣が、こんなに甘えてきて……
しかも、ふわっと無防備な顔を見せて……
これ、やばいな。
今まで以上に新鮮な感じがして、結衣が結衣じゃないように見える。
って、俺はなにを言っているんだ?
「んー、兄さん♪ もっとくっついてもいいですか? ぎゅー、ってしたいんです♪」
「えっ、それは、さすがに……」
「ダメ……ですか?」
「……いいよ」
うるうると見つめられたら、ノーなんて言えない。
「よいしょ、っと」
結衣が俺の膝の間に座る。
すっぽりと、ちょうどいい感じだ。
そのまま、猫が甘えるような感じで、こちらに寄りかかり、体をスリスリする。
「えへへ♪ 兄さんがこんなに近くにいて……んっ、兄さんに包まれているみたいです」
「ま、満足した?」
「んー……まだです」
「まだなのか……」
「この状態で、また頭を撫でてください♪」
「えっと……よしよし」
「にゃあ♪」
本当の猫みたいだ。
結衣の尻尾がふりふりと、うれしそうに揺れている……ような気がした。
こんな錯覚まで見えてしまうなんて……
『甘えん坊の妹』、恐るべし!
「ねえねえ、兄さん」
「うん?」
「今日は、兄さんと一緒に寝たいです♪」
「えっ!? そ、それは……」
「一緒のお布団で、横に並んで、一緒に寝たいです♪ ダメですか?」
「さすがに、まずいだろう」
「大丈夫ですよ。私は気にしないですよ?」
「俺が気にするんだよ」
「いいじゃないですかー。私、兄さんとずっとずっと一緒にいたいんです。起きてる時だけじゃなくて、寝てる時も一緒にいたいんです。ね、いいでしょう?」
上目遣いでこちらを見る結衣。
うっ、それは反則だ。
そんな風に見つめられたら、なんでも許したくなってしまう。
「ま、また今度な」
「ぶー、ケチですね、兄さんは」
なんとか、納得してくれたらしい。
「じゃあ、代わりに、私のことをぎゅーってしてください?」
「えっ!?」
「ほらほら、早く。してくれないとダメですよ? 許しませんからね? ほら、ぎゅー……って♪」
え、ええいっ! こうなったら、ヤケだ!
「ほ、ほら……ぎゅう」
「あふぅ♪」
「ど、どうだ?」
「兄さんが温かくて……すごくうれしいです♪ んっ、兄さん♪ えへへ」
『甘えん坊の妹』は、とんでもない破壊力を秘めている。
こいつは、とんでもないな……
ドキドキして、頭がショートしてしまいそうで……俺は、必死に自制するのだった。
間違えて、夜の分を昼に投稿してしまいました……
してしまったものは仕方ないので、慌ててもう1話書きました。
最新話を見ると、話が微妙に繋がっていないので、
昼の分を見てない方は一つ前からお願いします。
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