06話 妹は彼氏をゲットしました
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俺の耳は壊れてしまったんだろうか?
あるいは、俺は本当はとんでもないシスコンで、それ故に、幻聴を聞いてしまったんだろうか?
「……結衣。すまん、もう一回頼む」
「聞こえなかったんですか? 兄さんは耳が悪いんですか? それとも、もう老化が? まったく、しっかりしてくださいね。妹に手間をかけさせないでください。それじゃあ、もう一度言いますが……えっと、その……私の彼氏になってください!」
「……」
「兄さん?」
「いやいやいやっ、えええええぇっ!?!?!?」
一瞬の後、結衣の言葉の意味を理解して、思わず叫んでしまう。
だって、仕方ないだろう? あの結衣が、俺と恋人になりたいなんて……これが夢と言われても、俺はすんなりと信じてしまうだろう。
というか、夢かな? 俺はまだ寝ているのかな?
「お、おい。どういうことだ?」」
「今、告白したよな……」
聞こえていたらしく、クラスメイトがザワザワする。
「こ、恋人に……? 結衣ちゃんが……宗一に……?」
明日香も聞いていたらしい。
目を丸く、ぽかんと口を開けて、ハニワみたいになっていた。
「兄さん。えっと、詳しい話を……」
「こ、ここはまずいっ、行くぞ!」
「えっ、兄さん……!? あっ、手を……」
こんなところでするような話じゃない。
俺は結衣の手を引いて、慌てて教室を後にした。
――――――――――
結衣を連れて家に帰った。
「あの、兄さんっ!」
「な、なんだ!?」
「手……手を、いつまで掴んでいるんですかっ!?」
「あっ……す、すまん!」
「まったく、妹の手をいつまでも掴んでいるなんて……本来なら、事案ものですよ? 事件ですよ? 私は心が広いから許してあげますが、今度は気をつけてくださいね? 次はありませんよ? いいですか、次はありませんからね?」
「わかった、もう絶対にしないよ!」
「……そうですか」
誓うように言うと、ものすごい目で見られた。
やっぱり、怒っているんじゃあ……?
「それで、どうして家に?」
「そ、そりゃあ、学校で……しかも、みんながいる教室であんな話、できるわけないだろう? ここなら、俺たちだけだし」
「兄さんと二人きり……まさか、このまま一気にゴールに!? ダメですよ、兄さん。さすがにそれはまだ早いというか……えっと、家は白で、子供は三人ほど……」
「ど、どうした? 俺、なんか変なこと言ったか?」
「はっ!? いえ。なんでもありません。気にしないでください」
結衣って、たまに挙動不審になるんだよな……どうしたんだろう? 俺のことが嫌いなのか、なかなか目も合わせてくれないし……
いや。でも、それなら告白なんてするわけないよな……?
だけど、どうにも好かれているようには思えなくて……あー、ダメだ! わけがわからなくて混乱してきた!
とにかく、この疑問を解決しよう。
「そ、それで……彼氏になってほしい、って……本気、なのか?」
「はい! それは、もちろん。私は、いつでもどこでも全力で本気です!」
「そ、そうか……その、いつから、俺のことを好きに?」
「それはもちろん、ずっと前から想い続けて……いえ。そうではなくて、兄さんは、勘違いをしていませんか? 私、別に兄さんのこと……好きじゃ……なく……うぅ……好きじゃないんですけど!」
「そっか、好きじゃない……え?」
それじゃあ、あの告白はどういうこと……?
「えっと……すいません、話を飛ばしすぎて、誤解させてしまったみたいですね。改めて説明しますね? いいですか。簡単に言うと、兄さんには、私の『彼氏役』をやってもらいたいんです」
「彼氏……役?」
困惑する俺に、結衣は理由を語る。
「実は、最近、色々な人に告白されるようになって……それで、正直、困っているんです。今は、彼氏を作る気はありませんし……まあ、その、好きな人が……とにかく! 恋人を作るつもりはありません。なので、毎回断っているのですが、それも色々と大変で……そこで、思ったんです。彼氏がいれば、告白してくる人もいなくなるのでは……と」
「なるほど、そういう理由か……でも、それならフリじゃなくて、本当に彼氏を作ればいいんじゃあ?」
「告白されたくないから、なんていう理由で彼氏を作るなんて、自分勝手すぎますよ。というか、彼氏はにいさ……いえ、なんでもありません。さっきも言いましたが、彼氏を作る気はありませんし、フリをしてもらうのが一番なんです」
「それもそうか……でも、なんで俺?」
「それは兄さんがいい……ではなくて、えっと……よく知らない人に頼むと、勘違いさせてしまうかもしれませんし、私のわがままに突き合わせてしまうのは申し訳ないですし……その点、兄さんなら何も問題ありませんから。私の役に立てるんですから、光栄に思ってくださいね?」
なるほど。確かに、俺なら勘違いすることはないな。適任かもしれない。
とはいえ、妹の彼氏役か……
「ダメ……ですか?」
甘えるような感じで、結衣は上目遣いで俺を見た。
うっ、そんな目を向けられたら……
……まあ、大事な妹が困っているわけだし。
他の男に『彼氏役』を任せるのは、不安っていうこともあるけど、なんか、納得がいかないというか、放っておけないというか……他人に任せるくらいなら俺が、って思う。
「……わかった。彼氏役、引き受けるよ」
「本当に?」
「結衣のためだからな。俺でよければやるよ」
「ありがとうございます、兄さん! これで、私と兄さんは彼氏彼女の関係ですね?」
「そうだな。まあ、フリだけど」
「フリでも、私は……あぁ、今日はなんて素敵な日なんでしょうか! 神さまに感謝を……」
「結衣?」
「いえ、なんでもありません! これからよろしくお願いしますね?」
「ああ、よろしくな」
こうして、俺と結衣は『恋人』になった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
この回で、1話に繋がる……という感じになります。
ここからは、二人が恋人のフリをするところを、楽しんでもらえたらと。
次もお付き合いいただけたら幸いです。
これからもよろしくお願いします。