05話 妹に告白をされました
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
※ジャンル別日刊ランキングで、20位になりました! 応援していただき、ありがとうございます。楽しんでいただけるように、これからもがんばります。
<結衣視点>
「ふう」
中庭を後にしたところで、私は、ついついため息をこぼしてしまいました。
今日も告白されました。昨日も告白されました。一昨日も、その前の日も……以下略。
ほぼ毎日、告白をされています。
好意を持ってくれることは、嬉しいですが……返事は一つです。『お断りします』以外にありません。
私は、兄さん以外の男の人に興味はありません。
兄さんなら、歓迎なんですが……いえ、歓迎どころか大歓迎ですね!
兄さんの愛ならば、一秒と迷うことなく受け入れて、私も愛を捧げるでしょう! 迷いなんてありません!
そして一つになり……兄さん、大胆です……あっ、いきなりそんなことを……でもでも、兄さんになら、私……
「って、いけません!」
また、妄想に耽ってしまいました。
それよりも、今は告白の問題です。
自分で言うのもなんですが、私は異性に好意を持たれることが多いです。それも、かなりの勢いで。故に、毎日告白されてしまいます。
贅沢な悩みかもしれませんが、さすがにうんざりしてしまいます。相手を傷つけないように断ることは大変ですし、中には、なかなか納得してくれない人もいますし……
告白をされるということは、面倒なのです。
兄さんならば、大歓迎なのですが……
もしも兄さんが……って、話がループしてしまうので、やめておきましょう。
それはそうと。
うーん、どうすればいいんでしょうか? どうにかして、この状況を改善したいと思います。でないと、ゆっくりと穏やかな学生生活を送ることができません。私は、平穏が好きなのです。
男に興味はない、とアピールしたら?
……兄さんに勘違いされたらイヤなので、やめておきましょう。
メイクをやめて、髪や肌の手入れをおろそかにして、外見を悪くしたら?
……兄さんにかわいくないと思われたくないので、やめておきましょう。
近寄りがたい不良になってしまうのは?
……兄さんに心配をかけたくないので、やめておきましょう。
うーん、なかなか良いアイディアが出てきませんね。困ったものです。
他には……
そうですね……彼氏がいれば、告白を回避できるのでは? 彼氏持ちに告白するような人は、普通に考えて、そうそういないでしょうし……高校生なら尚更です。
しかし、兄さん以外の彼氏なんて考えられませんし……
「……あれ? 彼氏?」
その時、私は素晴らしいアイディアを閃きました。
――――――――――
<宗一視点>
ショートホームルームが終わり、放課後になる。
「宗一、ゲーセンでも行かない? ぼっこぼこにしてやんよ」
「そんな誘い文句で行くわけないだろうが」
明日香に誘われるが、断る。
今日は特売日で、卵と肉がすごく安い。俺の中の優先度は、そちらの方が上なのだ。明日香が聞いたら怒るだろうから、口にはしないけれど。
「ちぇっ、付き合い悪いしー」
「悪いな。また今度な」
手早く帰る準備をして、教室を後に……
「兄さん」
「結衣?」
教室を後にしようとしたところで、結衣が現れた。
どうして、上級生の教室に? 約束は……していないよな。
「どうしたんだ?」
「えっと……兄さんに話があって」
俺に?
ざっと考えてみるけれど、心当たりがまったくない。どういうことだろう?
もしかして……「兄さん、うざいです」とか「今日から、洗濯は別々にしてください」とか「加齢臭がするので消臭剤をお願いします」とか、そ、そんなことが……!?
「その、あの……とても大事な話なんですが!」
「やっぱり、別々に洗濯を……? それとも消臭剤か!?」
「洗濯? 消臭剤? なんのことですか?」
「あ、違うんだ」
よかった。
って、安心するのはまだ早い。肝心の『大事な話』を聞いていないからな。想像よりも、もっとひどい展開になることも……
「兄さん」
「な、なんだ?」
「えっと、ですね……その……!」
「う、うん」
「私の彼氏になってください!!!」
結衣の口から飛び出したセリフは、予想の遥か斜め上を行くものだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この回で、1話にちょっと繋がる、という感じになります。
次回は、どうして告白をしたのか、という話になるので、ぜひぜひ見て入れだければ。
これからも、よろしくおねがいします。




