表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/300

49話 妹は親友を頼ります

<結衣視点>



「というわけで、知恵をお借りしたいのですが」

「そんなことを言われても……」


 夜。

 ごはんを食べて、お風呂に入り……

 自分の部屋に戻った私は、凛ちゃんに電話をかけて、相談を持ちかけました。


 内容は、もちろん、兄さんのことです。

 兄さんと一緒に勉強をしても、ちゃんと集中できる方法はありませんか?

 そう尋ねたんですけど……


「無茶振りをしないで」

「無茶振りでしょうか?」

「おもいきり。結衣のことをよく知る親友の立場から言わせてもらうと、その二つが両立することはないわ」

「そ、そうですか……」


 ハッキリと言われてしまい、ガクリときてしまいます。

 うぅ……兄さんと別々に勉強をした方がいいんでしょうか?


「我慢我慢って言っているけれど、そもそも、他の時間は?」

「他の時間といいますと?」

「四六時中、勉強をしてるわけじゃないでしょう? なら、ごはんを食べている時とか、そういう時間に先輩とコミュニケーションをとればいいじゃない。それで、我慢している文の鬱憤を晴らしたら?」

「私は、四六時中兄さんとイチャイチャしたいんです」

「そこまでハッキリ言われると、返す言葉がないというか……」


 はあ、とため息が聞こえてきました。

 どうしてでしょう?

 私は、ごく普通のことを言っただけですが……

 兄さんといつでもどこでもイチャイチャしたいなんて、全世界の妹が当たり前に考えていることですよね?


「そうね……なら、適度に距離を置いて適度に休憩を挟んで、ガス抜きというか、合間に先輩に甘えてみたら?」

「それはもうやりました」

「やったのね……」

「その時は満足できるんですが……勉強を再開すると、我慢できなくなって……ついつい、兄さんのことばかり考えてしまいます。ああもう、兄さんが格好いいのがいけないんですよ。そう思いません?」

「私に言われても……というか薄々感じていたんだけど、結衣って先輩が絡むと、ちょっとあほの子になるわね」

「あほの子!?」


 がーん、とショックを受けます。

 まさか、親友からそんな目で見られていたなんて……


 仮にも優等生である私が、あほの子なんて……


 ……でも、兄さんが原因なら仕方ないですね。

 妹を惑わしてしまう、魔性の兄さんなんですから。

 兄さんのことばかり考えてしまうのは、全部全部、兄さんがいけないんです!


「また変なこと考えていない?」

「そんなことは……ありませんよ?」


 はあ、と本日二度目のため息が聞こえてきました。


「いっそのこと、逆に、おもいきり甘えるとか。そうね……先輩の膝の上に座って勉強したら?」

「兄さんの膝の上……!」


 想像してみます。


 体勢からして、きっと、兄さんの温もりを全身で味わうことができるでしょう。

 それは、まるで、兄さんに包み込まれているみたいで……


 最高ですね!

 凛ちゃんは、天才ではないでしょうか?


「とても魅力的な案ですが……それだと、勉強に集中できないだけじゃなくて、色々と大変なことになりそうです」


 たぶん、顔を真っ赤にして、あたふたと慌てて……

 とてもじゃないけれど、勉強をすることなんてできないでしょう。

 下手したら、兄さんに対する本当の気持ちもバレてしまって……


 ……それは、イヤです。

 この想いは、まだ、胸の内に……


「結衣?」

「あ、すいません。ちょっと考え事をしていました」

「話を戻すけど、パッと思いつくのはそれくらいね。もうちょっと考えたら、なにか出てくるかもしれないけど……」

「そうですか……なかなか難しいですね」

「……一つ確認なんだけど、先輩のことを考えてしまい、手が進まないのよね?」

「はい、そうですね」

「結衣としては、先輩と一緒に勉強をしたい。でも、一緒にいると集中できない。でもでも、離れたくない……そういうことなのよね?」

「そういうことなのです」

「ふむ……なら、やりようはあるかもね」

「本当ですか!?」


 凛ちゃんの言葉に、おもいきり食いついてしまいます。

 そんな夢のような方法が、本当にあるなんて……

 やっぱり、凛ちゃんは天才でしょうか!?


「公私を……って、公私っていう単語が適当か微妙だけど……とにかく、公私の区別をきっちりとつければいいのよ。勉強をする時は勉強をする。イチャイチャしたい時はイチャイチャをする。それらを、交互に積み重ねていけばいいんじゃない?」

「それがうまくできないから、凛ちゃんに相談をしているんですが……」

「うまくいかないのは、二人きりで勉強をしているからじゃない? 管理……そう、二人を管理する人がいないから、うまくいかない。ついつい、ハメを外してしまう。先輩のことばかり考えてしまう……違う?」

「そう……かもしれません」


 兄さんと二人きりというシチュエーションは最高ですが……

 それ故に、兄さんのことばかり考えてしまいます。


「勉強、私も付き合ってあげましょうか?」

「えっ、凛ちゃんが?」

「私が一緒にいれば、結衣も、多少は自制心を保てるでしょう? 二人きりにはなれないけど、先輩と一緒に勉強という目的は達成できる……どう?」

「えっと……」


 兄さんと二人きりになれないのは残念ですが、今は勉強をしないといけませんし……

 凛ちゃんが一緒なら、とても心強いです。

 人の目があることで、私も自制心がある程度は働くでしょうし……

 兄さんと一緒に勉強を続けるためには、これが最適な案なのでは?


「お願いしてもいいですか?」

「はい、お願いされました」

「ありがとうございます、凛ちゃん。このお礼は、必ずしますからね」

「私も、誰かと一緒に勉強をしたいって思っていたところだから、ちょうどいいのよ。だから、お礼なんて気にしないで。どうしても、っていうなら、駅前のアイスクリームで」

「はい、了解です」


 くすくすと、お互いに笑い声がこぼれました。


 兄さんと凛ちゃんと、みんなで勉強……

 それはそれで、とても楽しそうですね。

 なんだか、やる気が出てきました。


「それにしても意外ね」

「なにがですか?」

「先輩のことが気になって仕方ないなんて……結衣がそんな悩みを抱くことよ」

「そんなに意外ですか?」

「意外よ。だって……昔の結衣は、先輩のことが苦手だったでしょう?」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

今回は、ちょっと話を先に進める展開に。

イチャイチャもさせたいですが、キャラを掘り下げることで、

より愛着を持ってもらえるかな、と思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ