04話 妹はモテます
たくさんの人に読んでもらっているみたいで、ありがとうございます!
※いつの間にか、ジャンル別日刊ランキング63位に入っていました。応援、ありがとうございます! これからも楽しんでいただけるように、がんばっていきたいと思います。
学校に登校して、授業を受けて……そして、昼休みが訪れた。
弁当を持って中庭に移動する。
今は春だから、ポカポカしてて外は気持ちいいんだよな。だから最近は、いつも中庭で弁当を食べているんだ。
ただ、一人じゃない。
「さあ、昼よ! ごはんの時間よ!」
クラスメイトで幼馴染の天道明日香は、今日もテンションが高い。
いや。『今日も』というよりは、『昼休み』になるとテンションが高くなる、と言う方が正しいか。
本能と欲望に忠実なヤツだからなあ……こいつの三大欲求は、『食欲』で全て満たされているんじゃないだろうか? 口にすると文字通り殴られるから、言わないけど。
「「いただきます」」
俺は弁当を、明日香は購買で買ったパンを、それぞれパクリと食べた。
「じーっ」
明日香の視線が俺の弁当に突き刺さる。
ものすごく物欲しそうにしていたから、視線からガードするように手前に寄せる。
「やらんぞ」
「い、いらないわよ。あたし、食いしん坊キャラじゃないし。っていうか、それ、宗一が作ったのよね?」
「そうだけど?」
「いつも思うんだけど、すごいわよね。普通に感心しちゃうんだけど。ザ・お弁当っていう感じで、おかずはたくさん、色鮮やか、栄養もたっぷり。よくそんなものが作れるわね」
「まあ、家事は慣れているからな。飯を作るの、それなりに楽しいし」
仕事で家を空ける父さんの代わりに、小さい頃から家の仕事をしてきたから、すっかり家事が得意になってしまったんだ。
最初は面倒だったんだけど……
でも、俺が作った料理を、結衣がおいしいと言って食べてくれるのがうれしくて……もっと笑顔になってほしくて料理の腕を磨いていたら、今くらいの腕になった。
ちなみに、結衣は家事はダメだ。
不器用というわけではなくて、要領も良い方なんだけど……余計なことをしてしまうんだよな。
例えば、料理をさせると、必ずといっていいほどアレンジをしたがる。レシピにない調味料や具材を付け加えたりとか、そういうの。
そのせいで、毎回、とんでもないものが出来上がる。それなのに、その反省を活かすことなく、次回も同じ失敗をして……という感じなので、料理の腕は壊滅的だ。
掃除や洗濯も、自分なりの方法を勝手に編み出して、迷うことなく実行するものだから、色々と大変なことになる。
この前は、洗濯をしようとして、洗剤を一箱丸ごと入れてとんでもないことになった。なんでそんなことをしたのか聞いたら、量が多い方が綺麗になると思った、という答えが返ってきた。
これらの一連のエピソードで、結衣は家事ができないことはわかってもらえたと思う。
だから、俺が家事を担当している。
「宗一って、主夫みたいね」
「それ、微妙に喜べない評価だ」
「じゃあ、女子力高い」
「もっと喜べねえよ。俺は男だ」
「褒めてるのよ? ねえねえ、あたしのところに嫁に来ない?」
「なんで嫁なんだよ。そこは夫だろう」
「優しく、丁寧に、かわいがってあげる♪」
「とことんコキ使われそうだから、イヤだ」
「ちぇ、残念」
本気でコキ使おうとしていたに違いない。
この幼馴染は、こういうヤツなんだ。わがまますぎる。
「あっ、結衣ちゃんだ」
ふと、明日香の視線が遠くを向いた。
その視線を追いかけると、言葉通り、結衣がいた。
ただ、一人じゃない。見知らぬ男子生徒と一緒だ。
二人は向かい合い、なにやら緊張しているように見える。
「なんだ、あれ?」
「んーっ、告白じゃない?」
「えっ? こ、告白?」
「知らないの? 結衣ちゃんって、けっこう人気があるのよ? 二年上の、あたしたち三年のところまで噂が届くくらいだし……ああやって告白されるのも、初めてじゃないと思うけど」
確かに、結衣はかわいいし性格もいいし勉強もできるし……モテない方がおかしい。
とはいえ、告白されたことがあるなんて聞いたことないし、現場を見たこともない。
なんていうか……俺の知らないところで結衣が大人になっていくみたいで、この手から離れていくような感覚がして、すごい複雑な気分だ。
「結衣ちゃん、どうするのかしら?」
ダメだ! 結衣に恋人なんてまだ早い。そういうことは、もっと後で……そう、最低でも大人になってからだ。二十歳になってからだ。
で、まずは俺と面接をしてもらおう。それで合格したのなら、まずは一ヶ月は様子を見て、それから試しに付き合うことを許可して……
「あ、ごめんなさい、ってした。どうやら、断ったみたいね」
思考を暴走させている間に、告白は終わったらしい。
結衣は申し訳なさそうに頭を下げて……
対する男子生徒は、肩を落としてトボトボと歩いて行った。
「撃沈記録が更新されたみたいね」
「記録?」
「結衣ちゃん、すっごいモテるから。それこそ、毎日のように告白されてるらしいわよ」
「ま、毎日……」
「でも、なんでか知らないけど、全部断っているのよねー……なんでかしら? 好きな人でもいるのかしら?」
結衣の好きな人……それは、誰なんだろう?
そのことが、やけに気になって仕方なかった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、新キャラ登場です。幼馴染です。
まあ、メインヒロインではないのですが。
この子がどう絡んでくるのか? 期待していただければ!
これからもがんばって書いていきます。よろしくお願いします。