表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/300

34話 妹と旅行・3

 山に面した街は、温泉だけではなくて、他にいくつもの観光地がある。

 そのうちの一つ……全長50メートルを超える、巨大な滝を見ることにした。


「おおおっ」

「うわあああー」


 橋の上から滝を見る。


 ドドドドドッ、と大きな音を立てて滝が流れていた。

 清流が岩肌を駆け抜けて、激しい水飛沫が舞い上がる。

 見ているだけで心が震えてしまいそうな、圧巻の一言に尽きる、とんでもない光景だ。


「すごいですね……写真とかテレビで、こういう光景は見たことありましたが……生で見ると、ぜんぜん迫力が違いますね」

「だな。スケールが大きいっていうか、心に訴えかけてくるようなものがあるっていうか……とにかく、すごいな!」

「兄さん。語彙が貧弱ですよ」

「うっさい。そういう結衣はどうなんだ?」

「とても素敵な光景です……この一言で十分だと思いませんか?」

「まあ、そうかもしれないが……なんかずるいな、それ」

「ふふっ、ずるいのは妹の特権ですよ」


 結衣が携帯を取り出した。


「兄さん。写真を撮りましょう?」

「いいぞ。携帯、貸してくれ」

「もうっ……私一人で映ってどうするんですか。兄さんと一緒じゃないと、意味がないじゃないですか……ばか」

「うん?」

「兄さん、一緒に撮りましょう?」

「え? でも……」

「ほら、早く」


 少々強引に、結衣に腕を抱かれる。

 肩と肩がぴったりとくっついて……顔の距離が近い。


「と、撮りますよ?」


 結衣が赤い顔をしながら、携帯のレンズを俺たちの方に向けた。


「もしかして、照れてる?」

「そ、そんなわけないでしょう? どうして、私が照れないといけないんですか? ただ単に、一緒に写真を撮るだけですよ? ただの記念撮影ですよ? 照れる要素なんて、1ミリもありませんからねっ」

「お、おう」


 怒らせてしまった……

 やっぱり、年頃の女の子の思考はよくわからん。


 まあいいや。

 今は、写真を撮ることに集中して……


「はい、兄さん。笑ってください」

「こうか?」

「ちょっとかわいらしさに欠けますね……」

「うるさい、ほっとけ」

「ふふっ、その顔、いただきです!」


 カシャッ。




――――――――――


<結衣視点>



 滝を見た後は、そのまま山沿いを歩いて、今度は神社にやってきました。


「「わあああっ」」


 兄妹、揃って同じリアクションをします。

 兄さんと同じリアクション……えへ♪


「すごいですね。とても大きくて、荘厳としていて……見ているだけで、心が落ち着くような感じになりますね」

「言葉もないって、こういうことを言うんだな……ホント、すごいな、この神社は」


 兄さんと一緒になって、ついつい、ぼーっと神社を眺めてしまいます。

 それくらいに、とても素晴らしい神社です。


 ……いつか、こういう神社で兄さんと♪

 ドレスを着たいという思いもありますが、神前式も捨てがたいです。

 厳かな雰囲気の中、兄さんと永遠の愛を誓って……そのまま、私たちは結ばれて……きゃあきゃあ!


「結衣? なんか、すごい顔してるが……どうしたんだ?」

「なにを言っているんですか? すごい顔って、なんのことですか?」

「あれ? 戻った……気のせいだったのかな」

「それよりも、せっかくだからお参りをしていきましょう」

「そうだな」


 兄さんと一緒に参道を歩いて、途中にある案内を見ます。


「えっと、この神社は……健康祈願と恋愛成就。それと、学業もあるんだな」


 恋愛!

 恋愛成就っ!!!


 これは、なんという巡り合わせでしょうか。まさか、そのような素敵なご利益があるなんて……ふふっ、当然、私は兄さんと……えへ♪


「兄さん、早く行きましょう? ほーらっ、早く早く早く!」

「な、なんで急にすごいやる気に!? わかった、わかったから押さないでくれっ」


 待ちきれず、駆けるような勢いで参拝をします。


 神さま、境内を駆けてしまい、すみません。

 でも、私の恋の炎は、例え神さまといえど消すことはできないのです! 消化不可能なほどに燃え上がり、絶賛、炎上中なのです!


 ……自分でもびっくりするくらい、テンションが上がってしまいました。反省。


「んー、賽銭は……奮発して、五百円にしとくか」

「私は、五円で」


 恋愛成就が目的なので、やはり、『縁』が欲しいところです。


 私と兄さんは、それぞれ硬貨を賽銭箱に入れて、パンパンと手を叩いて目をつむります。


 兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……兄さんが私のことを好きになりますように……


 あとあと……


 兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……兄さんと幸せな家庭を築けますように……


 それと……


(兄さんと、ずっと一緒にいられますように)

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

最後に、欲望垂れ流しの妹の姿が。

どうかな、と思いつつも、これはこれでアリか!

と書いてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ