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289話 妹と喫茶店

 そして、放課後。

 結衣と凛ちゃんと一緒に、おいしいかき氷があるという喫茶店にやってきた。


 俺と結衣が隣に並び、凛ちゃんが対面に座るという構図だ。

 本当は、結衣と凛ちゃんが隣に並んだ方がいいと思うんだけど……

 そんなことはとんでもない、と二人揃って反対されてしまった。


 気を使いすぎているのだろうか?


「はふぅ……中は快適ですね……冷房、最高です……」

「結衣、ちょっとはシャキっとしような? 人様に見せられない顔をしているぞ?」


 今日も猛暑で、外は唸るような暑さだ。

 その反対に、喫茶店は冷房が効いていて、天国のように涼しい。


 結衣の気持ちもわからないでもないけど……

 もうちょっと、しっかりとしてほしい。


 まあ、これはこれで、普段とのギャップがあって、かわいいと思うけどな。


「……」

「どうかした、凛ちゃん?」

「はいはい、ノロケノロケ」

「俺、何も言ってないんだけど……」

「先輩の顔に、結衣がかわいい、とか書いてありましたよ」


 鋭い。


「じゃ、何を頼もうか」

「もちろん、私はかき氷一択です」

「私も、食べてみたいです」

「俺も」


 というわけで、かき氷を三つ。

 それと、アイスティーを二つ、アイスコーヒーを一つ、注文した。


 待つこと少し。

 店員さんが飲み物とかき氷を運んでくれる。


「おーっ、これはすごいですね」


 山盛りの氷の上に、真っ赤ないちごシロップ。

 果肉を使用しているらしく、色が濃くて、香りも良い。

 シロップだけじゃなくて、いちごやメロン、オレンジなどのフルーツが盛り付けられていた。

 パフェのように豪華で、見た目が良い。


「これが、インスタばえするというやつですね」

「結衣、写真を撮るわよ」

「そうですね!」


 二人共テンションが高い。

 まあ、女の子だからな。

 おいしそうなスイーツを目の前にしたら、テンションも高くなるだろう。


「では、さっそく」

「いただきます」


 みんな、揃ってかき氷にスプーンを伸ばした。

 サクリ、とまずは一口。


「んんんぅーーー、おいしいです♪ 幸せですぅ♪」

「これはいいですね。フルーツの甘さが活かされていて、なんていうか、自然な甘さです。くどくなくて、いくらでも食べられそうですね」

「凛ちゃん、テレビのコメンテーターみたいだね」


 とはいえ、その感想には賛成だ。

 くどくない甘さで、すごくおいしい。


 この暑さだからな。

 いくらでも食べられそうだ。


「じーっ」

「うん?」


 おいしくかき氷を食べていると、凛ちゃんの視線が突き刺さる。


「どうかした?」

「先輩と結衣は、いつもみたいに、あーん、ってやらないんですか?」

「ごふっ」


 むせた。


「いつもって、どういうこと……?」

「二人のことだから、てっきり、人目もはばからずイチャついているものかと」

「そんなことはないって。なあ、結衣?」

「そうですよ、凛ちゃん。私達は、ちゃんとTPOをわきまえていますからね」

「本音は?」

「すごくしたいですけど、兄さんがつれないんです……」


 裏切られた!?


「と、結衣は言っていますが?」

「いや、しかしな……」

「兄さん……私とイチャイチャしたくないんですか?」

「お前、いつの間にそんなにたくましくなった? ついこの前は、恥ずかしがっていたじゃないか」

「それはそれ、これはこれ、というやつです。女の子は、日々、成長していくものなんですよ」

「嫌な方向に成長しているような……」


 俺だって、結衣とイチャイチャしたいと思う。

 時に、色々な妄想をしてしまうほどだ。


 でも、人前でそんなことをしたら、バカップルに成り下がってしまう。

 それだけは勘弁してほしいんだけど……


「兄さんは……イヤなんですか?」


 寂しそうに言う結衣に勝てるわけがなかった。

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