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252話 妹は兄と一緒にお風呂に入る・3

「……」

「……」


 再び気まずい沈黙が訪れる。


 背中は洗ってもらった。

 その後、前も洗おうとした結衣をなんとか思いとどまらせて……

 最後に湯船に浸かり、のんびりすることにした。


 そこで結衣が、


「私も一緒に入っていいですか?」


 なんて言い出したものだから大変だ。


 ウチの風呂は狭くはないが、広くもない。

 二人で一緒に風呂に入れば……こうなる。


「……」

「……」


 背中を合わせるようにして、結衣と一緒に風呂に入る。

 背中を通じて、結衣の体温が伝わってくるみたいだ。


 それだけじゃなくて……


 二人一緒に入ればいっぱいいっぱいなので、ちょっと動いただけで、肩や腕が触れ合う。

 普段はなんとも思わないんだけど……

 互いに、一糸まとわぬ姿になっていると思うと、どうしてもドキドキしてしまう。


「あっ」


 結衣が軽く動いて、肩と肩がぶつかる。


「ご、ごめんなさい」

「いや、こ、こっちこそ」

「……」

「……」


 肩が触れただけなのに、妙に意識してしまう。


 今、妹と……結衣と一緒に風呂に入っている。

 互いに裸だ。

 ちょっとでも後ろを見れば、生まれたままの姿がの結衣が……


「だから何を考えてるんだ俺は!?」

「ど、どうしたんですか、兄さん? いきなり叫んだりして……」

「わ、悪い。ちょっと、煩悩に負けそうになって……」

「……それって、私のことを意識してくれているんですか?」

「……」

「答えてください……意識して、くれているんですか?」

「……してるよ」

「っ」

「こんな状況で、意識しないわけないだろ。すっごいドキドキして、振り向きたい衝動でいっぱいだ」

「だ、だだだ、ダメですからね!? それはダメですよ!? いくらなんでも、兄さんでも、それは早いです!」

「わかってるよ。言ってみただけで、さすがに実行は……ん? 早い?」

「あ」

「早い、っていうことは……えっと……い、いつかはいい、っていうことなのか……?」

「……」

「ゆ、結衣?」

「……兄さんのばか。えっちです」


 当たり前といえば当たり前なんだけど、怒られてしまった。


 ごめんなさい。

 でも、そういう年頃なんです。

 大事な家族であり、最愛の彼女である結衣の裸に興味がないなんて言ったらウソになるじゃないか。

 もう何度、結衣のことを意識したか。


「に、兄さんっ! は、ははは、恥ずかしいことを言わないでください!」

「えっ!? もしかして俺、口にしてた!?」

「おもいきりしてましたよ! 兄さんのえっち! 変態変態変態! 嫌いですっ!!!」


 じたばたと足を振っているらしく、お湯が波打つ。


「わ、悪い。つい本音が……」

「本音とか、ま、また恥ずかしいことを……」

「し、仕方ないだろ? 俺らくらいの男っていうのは、好きな女の子のことをいつでもどこでも考えてるようなものなんだ」

「……えっちなことも?」

「……否定できません」


 ましてや、こんな状況だし。

 どうしても意識してしまう。

 結衣の裸を妄想してしまう。


「……嫌い、って言ったのは撤回します」


 ぽつりと、結衣が言う。


「というか……嫌いなんてこと、絶対にありえません。……大好きです」

「今、そんなことを言われると、やばいんだけど……」

「ドキドキしていますか?」

「……してるよ」

「どれくらい、ドキドキしてますか?」

「卒倒しそうなくらい」

「そうですか……えへ♪」


 なんでうれしそうな声を出すんだよ。

 今の状況、わかっているのか?

 裸で一緒に風呂に入っているんだぞ?

 ちょっとでも振り向いたら……大変なことになるぞ?


「結衣がこんな大胆なことをするなんて、想像もつかなかった」

「妹は兄の想像の及ばないところにいるんですよ」

「それは初耳だ」

「……実は、私もドキドキしています」

「だろうな」

「兄さんと一緒にお風呂なんて……もう、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいです」

「なら、やめればいいのに……」

「それでもやらないといけない、って思ったんですよ……私にドキドキしてほしいから」


 どんな経緯を経て、そんな思考に至ったのか。

 色々と聞きたいところだけど、こんな状況で長話をするわけにはいかない。


「えっと……そろそろ出ないか? これ以上は、のぼせてしまいそうだ」

「そう、ですね……じゃあ、私から」

「……」

「目をつむっていてくださいね? 絶対に見たらダメですよ? 絶対ですからね!?」

「それはアレか? 見ていいよ、っていうフリか?」

「怒りますよ?」

「ごめんなさい」


 すごく惜しいと思いながらも……俺は、言われたとおり目をつむり、結衣が出ていくのを待った。

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