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251話 妹は兄と一緒にお風呂に入る・2

「そ、それじゃあ、背中を洗いますね」

「あ、ああ」


 背を向けているから、結衣がどんな顔をしているのかわからない。

 ただ、ものすごく赤くなっているんだろうなあ、ということは予想できた。


 なんで見てもいないのにそんなことがわかるかというと……

 俺も真っ赤になっているからだ。


「えっと……よいしょ、よいしょ」


 石鹸を泡立てたタオルで、結衣が俺の背中を洗う。

 ごしごし、ごしごし。

 女の子だから、あまり力は入っていない。

 ただ、それが逆に気持ち良いような気がした。


「ど、どうですか? こんな感じでいいですか?」

「問題ない……と思うよ」

「そうですか……よかったです」

「……」

「……」


 なんともいえない微妙な沈黙が訪れる。


「に、兄さん」

「な、なんだ?」

「黙ってないで、何かしゃべってくださいよ」

「結衣こそ」

「わ、私はいいんです。今は、兄さんに奉仕をしている立場ですから」

「なにその謎理論」

「妹にここまでさせておいて、場の雰囲気まで盛り上げろっていうんですか? 兄さん、鬼畜です」


 俺が頼んだわけじゃないんだけど?

 結衣が勝手に浴室に入ってきたんだよな?


 なんてことを思うが、口論しても、たぶん勝てない。

 男は、女と妹には弱いのだ。


「かゆいところはありませんか?」

「床屋かよ」

「こういう時の定番かなあ、って」


 うちの妹は、どこかズレているな。


「かゆいってのは違うけど、もうちょっと強く擦っても構わないぞ?」

「こ、こうですか?」

「いや、もっと。遠慮しないでいいから」

「わ、わかりました。やってみます」


 もぞもぞと結衣が動く気配。

 たぶん、より強い力をかけられるように、体勢を直しているんだろう。


「んっ……じっとしててくださいね。いきますよ? えいっ」

「おっ」


 ごしごし、と背中が擦られる。

 今までと違い、体重が乗っていて、しっかりと汚れが落とされていく感覚がある。

 心地いいだけじゃなくて、ちょっと気持ちよくもあった。


 ふにっ。


「あっ!?」


 今の柔らかい感触って……

 もしかしてもしかしなくても、結衣の胸だよな!?

 強く擦っているせいで、体が前のめりになっているらしく、柔らかい膨らみが背中に当たる。


 結衣は裸で、身につけているのはタオル一枚のみ。

 よりダイレクトに、ふわふわとしたマシュマロのような感触が伝わってきた……


 やばい。

 これはやばいぞ。


「ゆ、結衣っ、まった! もういいからっ」

「え? まだ始めたばかりですよ?」

「もう十分に綺麗になったから。うん。もう大丈夫大丈夫」

「本当ですか? なんだか、怪しいんですけど……」


 こんな時まで鋭くならないでください!


「その……遠慮なんてしなくていいですからね? 私がこうしたいと思っているだけで、無理矢理やらされているわけじゃないんですから。兄さんのために、その……してあげたいんです」


 俺のためというなら、今すぐ離れてください。


「いや、そういうことじゃなくて……」

「もしかして、私、ヘタですか……? で、でもでも、ヘタなりにがんばって、兄さんを気持ちよくしてあげたいんですっ」


 その台詞、なんか別の意味に感じられるから。

 って、俺は何を考えているんだ!


 アホか!

 妹相手に何を考えている。


 でも、結衣は妹だけど、彼女でもあるんだよな。

 それなら、特に問題のないことじゃあ……


 って、ダメだ。

 慌てているせいか、わけのわからないことを考えてしまう。


「あー……その……もう、素直に言ってしまうが」

「はい?」

「……胸が当たってる」

「へ?」

「だから……さっきから、柔らかい感触が背中に……」

「……っっっーーーーー!!!?!?!?!?」


 結衣が言葉にならない悲鳴をあげた。


「あうっ、あうあうあう……わ、わわわ、私、な、なんてことを……兄さんに、ずっと押しけて……ひゃあああ!?」

「お、落ち着け! 俺はうれしかったから」


 って、どんな慰め方だよ!?


「うううぅ……こ、こんな格好で、そんなことをしてしまうなんて……恥ずかしいです、恥ずかしいです……今すぐ、どこかに埋まって消えてなくなりたいです……」

「大丈夫だから! えっと、その……結衣は、とても立派なものを持っていると思うぞ!?」


 って、俺はセクハラ野郎か!?


 混乱しているせいで、まともな発言が出てこない。


「……兄さんは、うれしいんですか? 大きい方が好きなんですか?」

「ま、まあ」

「そ、そうですか……えへ♪」

「そこで喜ぶのも、どうかと思うんだけど……」

「遠まわしに、兄さんの好きなタイプは私、って言われたみたいで……か、彼女としては、あんな発言でもうれしいんですよ。私は、兄さんの心を私の色で全部埋め尽くしたいんですから」


 顔は見えないけど……

 結衣は頬を染めながら、にっこりと笑っているような気がした。

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