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211話 妹とみんなで海の家へ・1

 昼時になり、みんなと合流して海の家に向かう。


「やっぱり、海水浴といえば海の家だよな」

「そうですね。ぱさぱさの焼きそばに、具のないラーメン。粉っぽいカレーなどは、ある意味で最高でしょう」

「凛ちゃん、なかなかの通だな」

「先輩こそ」


 凛ちゃんと笑みを交わす。

 こんなところで、同士に出会えるなんて……なかなかできる経験じゃない。


「兄さんと凛ちゃん、おかしなところで通じ合っているんですね……」

「変わり者同士、気が合うんじゃない」


 そんなことを話している間に、海の家に到着。

 混んでいたものの、ちょうどいいタイミングで席が空いたらしく、奥へ。


 俺の右隣に結衣。

 左側は明日香。

 対面に、凛ちゃん、真白ちゃん、小鳥遊さんが座る。


 こうしてみると……

 水着姿の美少女たちに囲まれて、ちょっとしたハーレムになっているな。

 両手に花どころか、花畑に潜り込んだ、というところか。


 まあ、一部の花は棘だらけなんだけどな。


「宗一。あんた今、変なことを考えなかった?」


 幼馴染は鋭いから困る。




――――――――――




 注文した料理が届いて、昼を食べる。


 俺と結衣はラーメン。

 明日香と凛ちゃんはカレー。

 真白ちゃんと小鳥遊さんは焼きそばと、見事にバラけた。


「兄さん。このラーメン、ネギとノリしかありませんよ……?」

「それが海の家クオリティだ」

「よくわかりません……」


 渋い表情を作りながらも、結衣はラーメンをずるずるとすする。

 具以外に文句をつけないところから、味はそれなりに気に入ってるのかもしれない。


 このラーメン、海の家にしては、なかなかうまいからな。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

「うん?」

「この焼きそば、ぱさぱさじゃないよ! もちもちだよ!」

「なんだと!? それは、本当に焼きそばか!?」

「うん、恐ろしいことに、焼きそばみたいだよ……」

「焼きそばなのだから、ぱさぱさしていない方が良いのではないか? 二人は何を驚いているのだ?」


 不思議そうにする小鳥遊さん。

 どうやら、海の家に対する俺たちの共通認識を理解してもらえないらしい。


「しかし、もちもちの焼きそばか……」


 ソースの香ばしい匂い。

 それと、麺に絡みついたソースのテカテカ具合。

 見るからに美味しそうな焼きそばだ。


「お兄ちゃん、食べたいの?」

「焼きそばにしとけばよかった、なんて思ってるよ」

「なら、一口あげようか?」

「おっ、いいの?」

「うん、もちろん。はい、あーんっ」


 真白ちゃんは、箸で焼きそばをすくい、こちらの口元に差し出してきた。


「えっと……?」

「あーん、だよ」

「あ、あーん……」


 ソースの誘惑に負けて、恥ずかしいながらも、ぱくりと焼きそばを食べる。


「おぉ……うまいな、これ」

「でしょう?」

「……兄さん、真白ちゃんにまで」

「……このロリコン」


 左右から呪詛を吐くような言葉が飛んできた。

 俺が悪いのか……?


「……ねえ、宗一」

「うん?」

「このカレー、けっこうイケるわよ。スパイスが効いてて、辛いだけじゃなくて味に奥行きがあるの」

「へぇー、おいしそうだな。カレーもうまいなんて、ここの海の家は当たりなのかもな」

「そうじゃなくて……食べる?」

「へ? いいのか? 明日香のことだから、うまいものは独り占めするかと……」

「あたしのことをなんだと思ってるのよ。まあ、宗一がどうしても、っていうなら食べさせてあげないこともないわよ?」

「ならいいや」

「そこまで言われたら仕方ないわね。一口、食べさせてあげる」

「俺何も言ってないよな!?」

「ほら、口を開けなさい」


 こちらの言うことを無視して、明日香はカレーをすくったスプーンを差し出してきた。

 せっかくだから、いただいてしまおう。

 ぱくり、とカレーを食べる。


「んっ……おぉ、けっこう辛いな。でも、辛いだけじゃなくて……うん、うまいうまい」

「でしょ?」

「いいな、このカレー。海の家でこれだけのものが作れるなんて、普通にすごい」

「ねえ、宗一」

「うん?」

「間接キスね♪」


 突然の一撃に、思わずむせてしまう。


「おまっ……いきなり、何を……」

「そんなに慌てなくてもいいじゃない。こういうところ、初心なんだから」

「お兄ちゃん、顔真っ赤だねー」

「ふむ。宗一先輩も、かわいらしいところがあるのだな」

「そういえば、私の場合も間接キスになりますね」


 ここぞとばかりに、他のみんなも会話に参加してきた。

 俺をいじめて楽しいのか、こんちくしょう。


「むぅううう……」


 右隣で、結衣が膨れていた。

 ものすごい顔をして、こちらを睨んでいる。


 怒っている……というよりは、拗ねているという感じだ。

 なんとなく、考えていることはわかる。

 たぶん、この後の展開は……


「兄さんっ!」

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