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208話 妹の大胆なアピール

 水着のお披露目会が終わり、みんな、海で遊び始めた。


 明日香と小鳥遊さんは、ライバル意識のようなものを得たらしく、遠泳で勝負を始める。

 いきなり遠泳なんて……飛ばしすぎじゃないか?

 まあ、ちゃんと準備運動をしたみたいだから、たぶん大丈夫だろう。


 凛ちゃんと真白ちゃんは、波打ち際で貝を探しているみたいだ。

 これでもない、あれでもないと、夢中になって探している。

 微笑ましい。


 で、結衣は……


「ねえねえ、兄さん」


 なぜか遊びに行かず、俺のところに戻る。


「どうしたんだ? 泳がないのか?」

「泳ぎますよ。ただ……」


 ほんのりと、結衣の頬が赤くなる。


「えっと、その……」

「うん?」

「実は、サンオイルを塗り忘れてしまって……背中、塗ってくれませんか?」

「えっ」

「お、お願いしますねっ!」


 俺の答えを聞くよりも先に、結衣はレジャーシートの上に寝そべる。

 そして、上の水着の紐を外してしまい……


「ど、どうぞ……」


 俺に向けて、白い背中を露出させた。


「ゆ、結衣? 俺はまだ、やるなんて……」

「ここまでさせておいて、い、今更なし、とか言うんですか? 兄さん、ヘタレですね。略して、ヘタ兄です」

「略すな。っていうか、水着まで脱がなくても……」

「ぬ、脱いでませんよっ。ただ、紐を解いただけで……」


 結衣の背中は、陶器のように綺麗だ。

 腰から肩まで、身につけているものは何もない。


 これ……横から見たら、すごいことになってるのでは?

 結衣の胸がレジャーシートに潰れて……


 って、何を考えてるんだ俺は!?

 落ち着け、落ち着くんだ。

 こんなところでエロ妄想を働かせるなんて、ヘタしたら捕まるぞ。


「兄さん……お、お願いします」

「わ、わかったよ」


 こうなったら、早いところ終わらせた方がいい。

 そう判断して、サンオイルを手に取る。


 手の平に適量……適量なんてわからないから、かなり適当だが……を垂らし、両手に広げる。

 そして……そっと、結衣の背中に触れる。


「ひゃっ!?」


 ぴくんっ、と結衣の肩が跳ねた。


「な、なんだ!?」

「いえ、その……思っていた以上に冷たくて、びっくりしました……」

「そ、そっか……何かやらかしたのかって、不安になったよ」

「大丈夫ですよ。えっと、兄さんに触られるのはイヤじゃないですから……」

「え?」

「え?」


 お互いにきょとんとして……

 すぐに、結衣の顔が赤くなる。


「あっ、いえ、その!? 今のは触ってほしいとか、そういうわけじゃなくて、違うんですよ!? 違いますからね!? 変な勘違いしたら、怒りますからね! 兄さん、えっちですっ」

「わ、わかったから、落ち着いてくれ。そんなに動いたら、その……見えそうだ」

「ひゃあっ!?」


 結衣は慌てて体を伏せた。


「……やっぱり、えっちです」

「俺のせいか!?」

「兄さんのせいです」


 きっぱりと断言されてしまった。


「えっと……イヤならやめておくか?」

「……続けてください」

「いいのか?」

「いいから、続けてくださいっ。兄さんがサンオイルを塗ってくれないと、せっかくの海なのに遊ぶことができないじゃないですか」

「わ、わかった。じゃあ……続けるぞ?」

「は、はい」


 揃って緊張しながら、再開する。


 もう一度、結衣の綺麗な背中に触れる。

 結衣は小さな声を漏らして、わずかに震えた。

 それでも、さっきのような大きな反応は見せないで、我慢する。


「えっと……大丈夫か?」

「はい……そのまましてください」

「わ、わかった」


 結衣の許可を得られたので、サンオイルを塗り拡げる。

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