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201話 妹とみんなで宴会・3

 30分後……


 凛ちゃんと真白ちゃんのコンビから、なんとか逃げることに成功した。

 逃げるまでの30分の間、何があったのか……

 それについては、黙秘権を行使させてもらう。


 というか、思い出したくない……

 俺、汚れちゃったよ……


「はぁ、疲れた」


 部屋の端に避難して、ドリンクで喉を潤す。

 冷たいドリンクが、スーッと体に行き渡るみたいで、疲労が少し消えた。


「そーーーうーーーいーーーちっ!!!」

「うおぅ!?」


 ぎゅう、っと抱きつかれた。


 見ると、酔いで頬を染めた明日香の顔が間近に。

 何が楽しいのか、笑顔で猫のようにスリスリしてくる。


「んーーーっ、宗一の匂いだ。あはははははっ!」

「今、笑いのポイントあったか?」

「そーゆー理屈っぽいことばかり言ってたら、ダメよ? 人間、笑いたい時に笑えるようにならないといけないの。だから、あたしは笑うの! あはっ、あははは!」

「ダメだコイツ! 話が通じねえっ」


 わかっていたけどね!

 酔っぱらい相手に話が通じることはないって、わかっていたけどね!


「ほーらほら、宗一。笑いなさいっ、あんたも笑いなさい!」

「おもしろいこともないのに笑えるかっ」

「なーにっ、あたしの笑いが受け取れないっていうの?」

「俺の酒が飲めないか、みたいな言い方やめろ」

「あはははははっ!」

「突然笑いだした!?」

「もうっ、最高! 宗一の顔、いつ見てもおもしろいわーっ」

「帰っていいかな……?」


 明日香の口撃。

 クリティカルヒット!

 俺の心に999のダメージ!


「にーいーさーん……」


 気がつくと、ジト目の結衣がすぐそこに。


 い、いつの間に……?

 っていうか、なぜか不機嫌でいらっしゃる。どうして?


「私というものがありながらーっ、明日香さんを抱きしめるなんてどういうことですかーっ!?」


 ああ、うん。

 それは怒るよね。


 ついつい、結衣の言い分に納得してしまう。


「兄さんはっ、私だけを見ていないといけないんですよ?」

「えっと……ごめん」

「私だけなんですからねっ。他の人も、物も、見たらいけません! そういう、いけないことをした場合は、罰です! 目にデスソースを流し込みますからねっ」

「ひどすぎないか!?」

「そんなことありませんよぉ。最上級の罰は、針金ですからねっ」

「意味はわからないけど、とにかく怖い!?」


 針金をどんな風に使うつもりなんだよ!?

 まだ何も聞いてないけど、目が痛くなってきた!


「ちょっとぉ、結衣ちゃーん?」

「んんんぅー、なんですかぁ?」

「宗一はー、今ー、あたしとにゃんにゃんしているのー」


 にゃんにゃん、って……

 これまた表現が古いな。

 お前はいつの生まれだ?


「だーかーらー、横から邪魔しちゃダメよー」

「むぅー」


 ぷくー、と結衣が頬を膨らませる。

 酔っているせいか、普段よりも子供っぽく見える。


「ダメですーっ! 兄さんとにゃんにゃんわんわんするのは、妹である私なんですーっ!」


 おっと、わんわんが加わったぞ。

 さらに古臭い感じになったな。


「結衣ちゃんは、普段、いつも宗一と一緒なんだから、ちょっとくらい譲ってくれてもいいんじゃない?」

「それはそれ、これはこれです!」

「うーん、そう言われるとねえ……」

「ですよね!? ですよね!?」

「でも、アレがあるじゃない? だから、私にもワンチャンあると思うわけよ」

「そうですねー……アレを持ち出されると、コレですねー……むぅん」


 二人が何を話しているのか、さっぱり意味がわからない。


 会話が成立していないようで、二人の間では成立している。

 酔っぱらい同士、共感するものがあるんだろうか?


「よーしっ、わかった! こうしましょうっ」


 がしっ、と明日香が俺の左腕に抱きつく。


「わかりました! そうするんですねっ」


 がしっ、と結衣が俺の右腕に抱きつく。


「勝負よっ、結衣ちゃん!」

「はいっ、負けませんからね!」

「あのー……盛り上がってるところ悪いが、何をするつもりなんだ?」

「簡単よー」


 明日香が笑いながら、とんでもないことを告げる。


「結衣ちゃんと引っ張りあってー、宗一をゲットした方が勝ち!」

「わかりやすくてシンプルなルールですねっ」

「確かにわかりやすくてシンプルだけど、そんなものは認められないからな!? 裂けるっ、裂けるから!」

「大丈夫よー」

「やたら楽観的に言ってるが、その根拠は?」

「……大丈夫よー」

「根拠を言えっ、大丈夫だっていう根拠は!?」

「兄さん……もしもの時は、私がくっつけてあげますからねっ」

「すげぇなっ、そんなことできるのか!? って、できるかぁーーーーーっ!!!」

「いざ、尋常にっ」

「勝負ですっ」

「しないで!!!?」


 俺の必死の訴えも虚しく、二人はぐいぐいと全力で俺を引っ張るのだった。

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