196話 妹はみんなでお風呂へ・2
<結衣視点>
「ふにゃあああああぁ……」
「はふぅ……」
「んんんーーーーーっ!」
「にゃうううぅんっ」
「ふぅ」
みんなでお湯に浸かり、旅の疲れを癒やします。
私も、凛ちゃんも、明日香さんも、真白ちゃんも、小鳥遊先輩も。
みんな、気持ちよさそうにしています。
猫のように目を細くして、手足を伸ばしてゆったりして……
思う存分にお風呂を満喫します。
「これ、最高ですね……ふぁ」
「ホント、気持ちいいわ……」
凛ちゃんと並んで、温泉の心地よさに浸ります。
ちょうどいい感じに温かくて。
抱きしめられているみたいに気持ちよくて。
おまけに、景色は最高です。
文句のつけようのないシチュエーションに、とろけそうになってしまいそうです。
「あー、これいいわ……ホント最高♪」
「……」
「ん? どしたの、結衣ちゃん?」
「あ、いえ……明日香さんって、こうして見ると、スタイルいいなぁ……って」
出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる、無駄のない体。
スラリと長い手足。
同性だけど、ついつい見惚れてしまうくらいに、魅力的な体です。
そして何よりも……
「おっぱいって、浮くんですね……」
明日香さんは胸に凶器を持っていました。
ふよふよしてて、とても大きいです。
それがお湯に浮いていて……
……ちなみに、私は浮きません。
くすん。
「どうしたら、そんなに大きくなるんですか?」
「どう、って言われても……気がついたらこうなってたから」
「天然物ですか! 人工的な力が加わっていないんですね……自然調味料だけでそんな風になるなんて、恐るべし!」
「いやいや、ラーメンじゃないんだから、自然調味料って……っていうか、結衣ちゃんだって大きいでしょ?」
「私は、もうちょっと欲しいです……そのために、大きくなるコツを!」
「それ、私も興味あるわ」
凛ちゃんが乗っかってきました。
凛ちゃんは、なんていうか……
すとーん、という感じです。
「おいこら。今、哀れみの目で見ただろ?」
「み、見てませんよ!? 気のせいです、被害妄想です」
「結衣はそれだけあるから余裕ね」
普段は冷静な凛ちゃんが、今は必死に……
怖いです。
おっぱいは人を変えるんですね。
「明日香先輩、教えてください。バストアップの秘訣を、ぜひ、私に伝授してください!」
「んなこと言われても……」
明日香さんは困ったように、真白ちゃんと小鳥遊さんの方を見ました。
……二人は泳いでいました。
他にお客さんがいないとはいえ……
二人とも、フリーダムですね。
というか、小鳥遊先輩、意外とおちゃめな人なんですね。びっくりですよ。
「うーん、そうね……」
助けが得られないとわかると、渋々という感じで、明日香さんはおっぱいを大きくする方法を考え始めました。
凛ちゃんが前に出ます。
私も前に出ます。
期待です。
期待、大です!
「定番だけど、牛乳をたくさん飲む……とか?」
「明日香先輩」
「うん?」
「……それは、ただの都市伝説ですよ」
凛ちゃんが、哀愁たっぷりの顔でそう言いました。
……たぶん、すでに試したんでしょうね。
で、今に至るんでしょうね。
あ、涙が……
「結衣? だから、そういう目をしないようにって……」
「ご、ごめんなさいっ!」
凛ちゃん、怖いです……
今、ヤルという目をしてました。
「牛乳がダメなら……好きな人に揉んでもらう、とか?」
「揉んで……」
「もらう……」
その言葉の意味を理解して、私は顔が赤くなります。
も、ももも、揉んでもらうなんて……!
そんなのえっちです! まだ早いです!
ダメですよ、兄さんっ!
いくらなんでも、妹の胸を揉むなんて……
あっ、でもでも、ちょっとだけなら……
「結衣」
「ふぇ?」
「落ち着いて。さっきから、とんでもないことを口にしているわ」
「ま、まままさか私、口にして……!?」
凛ちゃんがコクリと頷いて……
私は恥ずかしさのあまり、ぶくぶくぶく……とお湯の中に沈みました。
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