191話 妹と幼馴染の想いを受けて……
<宗一視点>
「やー、良い買い物をしたわ♪」
「そうですね♪」
帰り道。
明日香と結衣はにこにこ笑顔で上機嫌だった。
一方の俺は、げっそりしてた。
あれから、二人は、やっぱり他のものも気になると、何度も何度も水着を取り替えて……
それだけじゃなくて、ちょっとした小物も探し始めて……
気がついたら、買い物だけで3時間が経っていた。
女の子の買い物、恐るべし!
「……」
「どうしたんですか、兄さん?」
「疲れちゃった? だらしないわねー」
「んー、そういうわけじゃないんだけどな」
「なら、どういうわけよ?」
「ちょっと思うところがあって」
「宗一に、物思いに耽る繊細な心なんてあるわけ?」
「オイ」
「言い過ぎですよ、明日香さん。兄さんだって……えっと、ほら……そこはかとなく繊細なんですよ!」
「フォローになってないからな?」
まったく……
この妹と幼馴染は、俺のことをなんだと思っているのか。
まあ、今までまったく二人の好意に気が付かなかったから、あれこれ言われても仕方ない気はするが。
「怒った?」
「別に」
「そっけないしー」
「いつもこんな感じだ」
「まったく、宗一は素直になれない子なのねー。仕方ないから、お姉さんがサービスしてあげる」
「サービスって……お、おい!?」
明日香が抱きついてきた。
俺の腕に自分の腕を絡めて、体を押し付けてくる。
「な、なにしてんだ!?」
「サービス♪」
「こんなこと……」
「あれあれー? 動揺してる? 宗一、かわいいところあるわね」
「あ、あのなっ」
「むぅ」
結衣がふくれっ面に。
あっ、この後の展開が読めてきたぞ?
「に、兄さん!」
「なんでしょう……?」
「明日香さん相手だからといって、デレデレしすぎです! えっと、その……兄さんは、もっと私のことを見ないとダメなんですからね! えいっ」
張り合うような感じで、空いている腕に、結衣が勢いよく抱きついてきた。
ふにゅりと、柔らかい感触。
意識したらいけないと思うものの、そう思えば思うほど、気がそちらにいってしまう。
……やっぱり、結衣は大きいな。
って、俺は変態か!?
妹の胸に興奮してどうする!?
でも……
結衣は、『妹』じゃなくて、『女の子』として見てほしいって思ってるんだよな。
「両手に花ね。宗一、うれしい?」
「ハイハイ、うれしいよ」
「兄さん、返事が適当です……もっとうれしそうにしてください」
「んなこと言われても……」
「ほらほら、もっと押し付けてあげよっか? その方がうれしいでしょ?」
「あっ、明日香さん、ずるいです! そういうことなら、私も……」
妹と幼馴染の感触に挟まれる。
柔らかくて、温かくて、弾力があって……
ある意味幸せなんだけど、ある意味気まずい。
「あー……二人共、恥ずかしくないのか?」
「別に?」
「は、恥ずかしくなんてありませんっ」
明日香は平然と。
結衣は顔を赤くしながら。
それぞれ返事をして、俺から離れようとしない。
二人の行動は、俺に対する想いを表しているようでもあった。
俺の思い込みかもしれないけど……
これだけ好きなんだぞ。
って、アピールしてるみたいだ。
「……」
考える。
二人に対して、どう向き合えばいいか、考える。
いつまでも答えを先延ばしにするわけにはいかない。
なるべく早いうちに、俺の気持ちをハッキリさせないと。
そうなると……
「……ちょうどいい機会か」
「ん? なんのこと?」
「なんでもない」
「怪しいですね……」
「ただの独り言だから、気にしないでくれ」
今度の旅行は、これ以上ないくらいのチャンスだ。
旅行の間に、自分の気持ちと向き合い、答えを出して……
二人に告白の返事をしよう。
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