18話 妹の下着を選びます
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
<結衣視点>
「うぇっ!? ゆ、結衣の下着も……!?」
ひっくり返ったような声を出して、兄さんが驚きました。
もしかして、照れているんでしょうか? ふふふ、かわいいですね。
その照れ顔、写真に撮ってもいいですか? 携帯の待ち受けにしたいです。
そうしたら、私は、いつでも兄さんと一緒です♪
いつでも一緒……なんて素敵な言葉でしょうか。心が躍ります。ふわふわです。
兄さん♪
「その、本当に選ばないとダメか?」
「はい、ダメです。凛ちゃんの下着は選んで、私の下着は選んでくれないんですか?」
「あれは、その、成り行きで……」
「なら、私も成り行きで選んでください。まあ、じっくり吟味してくれても構いませんが……いえっ、なんでもありません」
兄さんに下着を選んでもらうまで、絶対に離しませんからね。
覚悟してください♪
「それで、ですね……いつも自分で選んでいるので、たまには第三者の新鮮な意見が聞きたいんです。なので、兄さんに選んでほしいんです。わかりましたか? 決して、兄さんの好みが知りたいとか、そういうわけではありませんからね? 兄さんの好みの下着を身に着けて、兄さんの想いを感じる……なんてことは思ったりしませんからね? 勘違いしないでくださいね?」
「わかってるよ。そんなこと、思うわけないだろ」
こういう時だけ、兄さんは、ハッキリと答えるんですよね。
少しは勘違いしてもいいんですよ?
……少しではなくて、盛大に勘違いをしてもいいんですが。
そのまま、勘違いをこじらせてこじらせて、一気にゴールに……きゃあきゃあ!
「ええい、もうヤケだ! とことん付き合ってやる……それで、意見が欲しいのはどの、し、下着なんだ?」
「はい。コレなんですが」
そう言って、私は服の上からブラを当てて見せた。
「えっ!? ちょ、結衣っ、それは……!?」
「な、なんですか? どうして慌てているんですか、兄さん」
「いや、だって、それは……そ、そんな風にしたら、なんか、エロいというか……」
狙い通りです。兄さんは顔を真っ赤にして、あたふたしています。
これが、私の作戦です。
ただ下着を見せて、選んでもらうだけでは効果は薄いです。
直接、下着を身につけているところを見せることができたら、それはもう、効果は抜群だと思いますが……
さすがに、それは私も恥ずかしいです。兄さんに下着姿を、み、見られるなんて……恥ずかしすぎて、どうにかなってしまいます。無理無理、絶対にダメです。
いつかは見てほしいと思いますが……さすがに、今は無理です。
なので、その手前として、服を着た状態で下着を当てる、という作戦にしました。
服を身につけていながらも、あたかも、下着が見えているように錯覚をしてしまうという、素晴らしい作戦です。
これなら、兄さんを悩殺できます!
妹の色気、存分に味わってくださいね♪
「ほら、兄さん。どちらの下着がいいですか? 早く教えてください」
「そ、そんなこと言われても……あの、普通に見るだけじゃ……」
「ダメですよ。こうした方がわかりやすいというか……そ、想像しやすいでしょう? ほら、私がこの下着を身につけているところを思い描いて、その上で感想を……」
そこまで言って、ふと、気が付きました。
これ、下着姿を見られているのと大差ないのでは?
「あぅっ……!?」
ダメですダメですダメです!
急に恥ずかしくなってきました! 顔が赤くなってしまいますっ、言葉を出せなくなってしまいますっ。
わ、私、今……兄さんに下着姿を……
あううう!?
兄さんになら構いませんが、むしろ望むところではありますが、やはりまだ早いというか、もうちょっと段階を踏んで、ムードを作ってからの方がより良いといいますか、でもでも、こんな機会は滅多にないからもうちょっと堪能しておきたいというか、兄さんをドキドキさせたいというか、いやしかし、先に私の方がドキドキしてしまい限界に達してしまいそうな、この激しい動悸がもうとんでもないことになってしまいそうで、ああもうっ、兄さんは私をキュンキュンさせすぎて、殺す気ですか!?
――――――――――
<宗一視点>
「うっ……あううう……ひゃあ」
「結衣?」
なんか、結衣がいきなり赤くなって、じたばたと悶え始めた。
恥ずかしがっている……のか?
でも、自分で始めたことなんだけどな……ど、どういうことだ?
「あ、あのあの……兄さん」
「な、なんだ?」
「今の私……どう、思いますか?」
「どう……って、言われても……」
かわいい……としか思えない。
『フリ』ということを忘れて、ただただ純粋に、そう思う。
「……結衣……」
「……兄さん……」
結衣の瞳がしっとりと潤んでいる。
そんな目を向けられたら、俺は……
「あの……先輩? 結衣?」
「「っ!!!?」」
唐突にかけられた第三者の声で、魔法が解けるように、俺は我に返った。
「なにをしているんですか?」
「え? いや、あの、これは……」
「し、下着を選んでもらっているだけですよ? やましいことは何もしてませんからね? わ、私と兄さんは、プラトニックな関係で……ですが、それ以上のこともしたくて……いえ、そうではなくてですね。とにかく、なんでもありませんっ」
「そんな格好で、なんでもないって言われても」
「あっ」
結衣は慌てた様子で、体に当てていた下着を離した。やっぱり、恥ずかしかったらしい。
「二人のことにあまり口出しするつもりはないけど、でも、そういうことは家でした方がいいと思うわ」
「そ、そういうこととは!?」
「カップル以上の壮絶なイチャイチャ?」
「壮絶な……!?」
なんか、とんでもない誤解をされてしまったような……?
「凛ちゃんからは、そう見えたんですか? 私と兄さんが、い、イチャイチャしていると……?」
「それ以外の何者でもないでしょ」
「そ、そうですか……私と兄さんが……えへ」
「ゆ、結衣? おい、どうした?」
「あっ!? い、いえ。その……いつまで見ているんですかっ、兄さんのえっち!」
「えええぇっ!?」
結衣から見せてきたんじゃないの!?
「ま、まったく。兄さんはいやらしいですね。とてもえっちです。妹の下着姿に、こ、興奮してしまうなんて……素晴らしい……ではなくて、いけないことですよ。もっと欲情して……は、反省してくださいねっ」
「す、すまん……悪かったよ」
「もう、兄さんは……本当にもう」
怒っているのに、なぜか機嫌が良さそうに見えたのは気のせいだろうか……?
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
タイトルだけ見ると、やばい内容ですね。
ですが、中身は健全です。健全な……はず。