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17話 妹はちょっと大胆に攻めてみます

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 右を見ると、フリフリのついた下着。

 左を見ると、大胆な下着。

 前を見ると……とにかく、下着の山。

 なんで、俺はこんなところにいるんだ……?


「凛ちゃん、コレなんてどうですか?」

「悪くないわね。でも、私はこっちの方が好みかしら」

「なるほど。そのセット、確かに良い感じですね。とてもかわいいです」

「結衣は、コレの方がいいんじゃない? こういうの好きでしょう?」


 少し離れたところで、結衣と凛ちゃんが楽しそうに下着を見ている。

 一方の俺は、顔を赤くしてキョロキョロして、どこからどう見ても不審者だ。


 まさか、下着選びに付き合わされるなんて……

 なんでも言うことを聞こう、なんて思っていたが、今更ながらに後悔した。


 っていうか、妹の下着選びに付き合う兄って、どうなんだ……? 変態じゃないのか? 人として終わってないか?

 そんなことばかり考えてしまい、ものすごく居心地が悪い。

 頼むから、早く選んでくれ!


「先輩」

「お、おうっ。なんだ?」

「コレ、どっちが私に似合うと思います?」


 凛ちゃんが、二つの下着を見せてきた。

 って、お願いだからそんなものを見せないでくれよ! 周囲の女性客の目がとても痛いんです!


「ど、どっちもいいんじゃないか」

「適当言ってません? ちゃんと見てください、ほら」

「そ、そんなこと言われても……」

「ほらほら、見てくださいよ。ふふっ」


 年下の女の子の下着を選ばないといけないなんて、ある意味、拷問じゃないか……?


「むぅ……兄さんが凛ちゃんの下着を……こういう時は、妹を優先するべきでは……」


 ギロリと、結衣に睨まれた。


 やばい。

 妹さまがとても怒っていらっしゃる。大噴火寸前、というような感じだ。

 早いところ、なんとかしないと!


「えっと……こ、こっちの水色のヤツが似合うんじゃないかな?」

「そうですか。先輩は、こういうのが好みなんですね」

「いや、その、好みというわけじゃなくて……」

「つけたところ、見せてあげましょうか?」

「いっ!?」

「冗談ですよ。本気にしないでください、ふふっ」

「た、質の悪い冗談はやめてくれ……」

「さてはて、本当に冗談でしょうか」

「え?」

「では、私は試着してきますね。貴重な意見、ありがとうございました」


 ぺこりと一礼して、凛ちゃんは試着室に消えた。


「ふう」


 色々とからかわれたものの、なんとか切り抜けることができた。心労が半端ない。

 やっぱり、こんなところまで付き合うなんて無理だ。結衣には悪いが、外で待たせてもらおう。


 ……なんて思っていたんだけど、妹さまは、それを許してくれない。




――――――――――


<結衣視点>



「兄さん」

「お、おう。どうした?」


 声をかけると、兄さんがびくりと震えました。

 我知らずのうちに、目と声が鋭くなっていたみたいです。でもでも、仕方ないじゃないですか。兄さんが凛ちゃんの下着を選ぶなんて……そんなところを見せつけられたら、ジェラシーでどうにかなってしまいそうです。


 兄さんのばか!


「一つ、お願いがあるんですが」

「えっと……その前に、俺、外に出たいんだけど……」

「どうしてですか?」

「やっぱり、こういうところはきついっていうか……男なんて、俺一人だし……外で待ってたらダメか?」

「ダメです♪」


 即答しました。


 ここで逃げるなんて、そんなことは許しません。

 凛ちゃんの下着を選んでおいて、私の下着を選ばないなんて……そんな悪逆非道、あってたまるものですか。

 ちゃんと妹の下着を選んでください。私、兄さんの好みに合わせてあげますよ? ちょっとえっちな下着でも、喜んで着ちゃいます。すごくえっちなのは……迷いますけど、でもでも、着ちゃいます。


 だから、逃がしませんよ、兄さん。ふふふ。


「しかしだな、やっぱり他の人の目もあるし……」


 むぅ、そこまで外に出たいんですか? 私と一緒にいたくないんですか? 妹の下着を選びたくないんですか?

 私は選んでほしいですよ? 兄さんの好みが知りたいです。

 家にある下着、全部、兄さんの好みに合わせてあげますからね。上も下も全部揃えて……いつでも兄さんを受け入れられるように……やっ、ダメ、兄さん。そんな、まだ早いです……きゃあきゃあ!


「ど、どうした? なんか、くねくねしてるが……腹でも痛いのか?」

「いえっ、なんでもありません。兄さんのことを考えていたとか、そんなことはありませんからね? というか、女の子に向かってお腹が痛いとか、そういうことを言ってはいけませんよ」

「すまん、確かにデリカシーに欠ける発言だったな……」

「反省してくださいね?」

「本当にすまん。結衣が相手だと、つい口に出るっていうか、気が緩んでしまうというか……」


 ……それって、私には心を許している、っていうことですか? そういう風に聞こえましたけど……私が特別ですか?


 も、もう。本当に仕方のない兄さんですね。

 本来なら説教ものですけれど、今回は特別に許してあげます。


 私が特別、特別、特別……えへ。


「あ、と……それよりも、お願いがあるんですが」

「なんだ?」

「私の下着、選んでくれませんか?」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

次回はさらに大胆に……!?

なるかもしれない、こともないかもしれません。

またお付き合いいただけたらうれしいです。

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