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163話 妹とデートをしよう進展編・5

<宗一視点>



 CDショップを出た後、いい時間なので昼を食べることにした。


 昼は、結衣の希望でラーメン。

 デートでラーメンはどうなのか? と思わないでもないが、本人の希望だ。

 それに、デートの形は人それぞれだから、深く気にしないことにした。


 で、ラーメンを食べたんだけど……


「うぁ……さすがに、きつい……」

「大丈夫ですか、兄さん?」


 腹にずしりと溜まった昼食。

 全身まで重くなったみたいで、色々と厳しい。


 予想以上にラーメンうまく、替え玉も無料ということで、デートということを忘れて食べまくってしまった。

 おかげで、この有様だ。

 心なしか、結衣も呆れているような気がする。


「タダだからって、食べ過ぎるからそんなことになるんですよ」

「面目ない……」

「というか、彼女を放っておくなんて、どういうつもりですか。おこですよ、おこ」

「ごめんなさい……」

「まったくもう、兄さんは」


 ぷりぷりと怒る結衣。

 ただ、迫力というものがまるでない。

 どちらかというと、子供が拗ねているみたいで、かわいらしい。


 ……なんてことを口にしたら、さらに怒らせてしまうので黙っておく。


 まあ、この光景も、イチャイチャしてるうちに入るだろう。

 一応、デートは順調だろう。


「よし……次はどうする?」

「どうする、って……すぐに動けるんですか?」

「ゆっくり歩けば、なんとか」

「無茶しないでください。戻したりしたら、大惨事ですよ」

「大丈夫だ」

「その根拠は?」

「とにかく大丈夫だ」

「無根拠!?」

「諦めたらダメだ、勝負に挑まないと、熱くならないと!」

「修○ですか!」


 がんばってみようと思ったものの、やっぱり、すぐに動けそうにない。


「悪い、ちょっと休憩していいか」

「最初からそう言ってください」


 結衣のジト目が痛い。


「そうですね……どうせ休憩するなら」


 結衣が手頃なベンチに座る。

 それから、顔を赤くしながら、膝をぽんぽんと叩いた。


「ど、どうぞ」

「え?」

「だから、その……どうぞ」


 膝を差し出すような感じで、もう一度、ぽんぽん。


「もしかして……膝枕?」

「わ、わざわざ口にしないでください。恥ずかしいじゃないですか」

「マジなのか」

「ま、マジですよ」


 なんてことを口にしながらも、結衣の顔は、ますます赤くなる。

 心なしか、動きもぎこちない。

 全身で『恥ずかしい』と表現しているみたいだ。


 そりゃそうだ。

 休日のショッピングセンターは人がたくさん。

 そんなところで膝枕なんてすれば、どうなるか?

 じろじろと見られ、リア充爆発しろと呪われて、あの子たち若いわねと生暖かい視線を向けられて……

 大惨事だ。


 そんな状況に、自ら飛び込むなんて……

 このデート、結衣は、絶対に成功させたいらしい。


 そこまでの意気込みがあったなんて……

 俺は、まだまだ甘かったらしい。

 結衣がその気なら、俺も応えないと!


「じゃあ……ちょっと、甘えようかな」

「は、はい。き、ききき、来てください」

「そんなに緊張されると、ちょっとやりづらいんだが……」

「緊張なんてしてませんにょ?」


 おもいきり噛んでるから。


 まずは隣に座る。

 結衣だけに聞こえる声で、そっと話しかける。


「大丈夫か?」

「だ、大丈夫ですよ」

「そうは見えないんだが……無理してるなら、ここまでする必要はないぞ?」

「ここで無理をしないでいつするんですか」


 結衣が熱血してる。

 ネタで俺がした修○が移ってしまったんだろうか?


「わ、私は別に、これくらい、なんてことありませんし? ひ、膝枕なんて日常茶飯事ですし」

「えっ、他のヤツにもしてきたの?」

「そんなことあるわけないじゃないですか! 兄さんはバカなんですか? バカなんですね?」

「ごめんなさい……」

「私の膝は、兄さん専用ですよ……? 兄さんだけのものなんですから」


 その言い方、ちょっとエロい。

 なんてことを考えてしまう俺は、兄として終わってるのかもしれない。


「ほ、ほら、兄さん。早く来てください。いつまでも……妹に恥をかかせないでください」


 ぽんぽん、と催促するように膝を叩く結衣。

 誘われているみたいだ。


 柔らかく、弾力がありそうな太もも。

 その奥にスカート。

 ついつい、視線が寄せられてしまいそうになる。


 このまま膝枕をしてもらったら、どれだけ気持ちいいだろう?

 とんでもなく恥ずかしいかもしれないが、それ以上に、安らげるかもしれない。


 というか、これは見せつけるためのデートなんだ。

 だから、ここで膝枕をすることは問題ない。むしろ必要なことだ。

 そんな言い訳を心の中でしながら、俺はゆっくりと体を傾けた。

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