表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
156/300

156話 妹はシチュエーションを考えます

<結衣視点>



 チラチラと兄さんの顔を見ます。

 相変わらずかっこいい……ではなくて。


 今度、兄さんに告白するんですよね……

 あぅ。

 決意したせいか、妙に恥ずかしくなってしまいます。

 顔を見ているだけで、頬が赤くなってしまいそうです。

 胸がぽかぽかしてきて、妙な熱が体中を駆け巡り……

 とろけるような、甘い痺れが走ります。


「結衣?」

「ひゃい!?」

「なんか変だぞ?」

「そ、そそそ、そんなことありませんよ? ええ、ありませんとも!」

「いや、でも……」

「私は普通です! そうですよね!? ね!?」

「あ、ああ……普通だな」


 力技で押し切りました。

 さすがの兄さんも不審に思っているみたいですが、これ以上の追求はありません。


 よかったです。

 うっかりか何かで、私の本心を漏らしてしまったら……

 とんでもないことになってしまいますからね。


 そんなことになったら、兄さんと一緒に過ごすことができません。

 顔をまともに見ることができません。

 漫画などであるような、不意打ちの告白なんて、私には向いていませんからね。

 できるだけ、じっくりと作戦を練らないといけません。


 先輩のことだったり兄さんのことだったり……

 最近になって、色々とやらないといけないことが増えました。

 なんでしょうね?

 運命?


「兄さん」

「うん?」

「私……絶対に、想いを届けてみせますからね!」




――――――――――




 家に帰り、自室へ。

 制服を脱いで、私服に着替えます。

 椅子に座り、机に向き合い……


「……はぁ」


 ため息を一つ。


 兄さんに告白する決意を固めました。

 そのことを考えると、ドキドキして、落ち着かなくなって、無意味に恥ずかしくなって……

 わーーー、と叫んでしまいたい気分になります。


 でも、やっぱりやめる、という選択肢はありません。

 ただの兄妹という関係は心地よくて、何も問題はありません。

 でも、言い換えれば、何も進展がない。


 私は……彼氏彼女のフリをやめたいです。

 フリではなくて、本物になりたいです。

 ずっと、ずっと願ってきたこと……


 そろそろ、そのために、一歩を踏み出さないといけません。

 色々な人と関わることで、そう思うようになりました。


 なので、その件に関しては迷いはないのですが……


「どんな感じに告白すればいいんでしょう……?」


 相手は兄さんです。

 鈍感に鈍感を極めたような、そんな兄さんです。

 我ながらひどいことを言ってるような気がしますが……

 でも、事実ですからね。しょうがないです。


 そんな兄さんに、どうしたら、私の想いを知ってもらえるか?

 普通に『好きです』と告白しても、『俺も好きだぞ』とか返されるに違いありません。

 ラブをライクと勝手に変換してしまうくらい、兄さんにとって朝飯前のはずです。


 一世一代の告白。

 誤解なんてされたら、立ち直れないかもしれません。


 そんなことにならないように、しっかりと想いを伝えないと!


「やっぱり……告白はデートの最後ですよね」


 できることならば、先輩の問題が片付いた後で。

 一度に二つの問題を抱えるなんてこと、できませんからね。


 デートに関しては、昨日、兄さんとアレコレ話し合ったので、たぶん、大丈夫なはず。

 作戦通りに進めば、デートが終わる頃は、先輩は私たちの関係を認めているでしょう。


 なら、勝負はその後。


「家に帰ってからでは、雰囲気も何もあったものじゃないですし……やっぱり、帰る途中ですね。夕方か夜……雰囲気は悪くないはずです」


 夕暮れの公園とか……夜の光で飾られた街中とか……

 そういうところで兄さんに告白をします。


「……うん、悪くない気がします」


 場所は決まりました。

 あとは、告白のセリフです。


「兄さんは鈍感ですからね……大事なことなので、改めて口にしました。なので、ストレートに言わないと」


 なおかつ、誤解されないようにわかりやすく。

 やっぱり……『愛してます』でしょうか?


 でもでも、まだ学生なのに愛してる、はちょっと重いような……?

 とはいえ、好きです、では気づいてもらえない気がしますし……

 ならいっそのこと、明日香さんが言ってたように、き、ききき……キスをしてしまうとか!!!?


「ひゃあ、ひゃあああ……!!!?」


 その時を想像して、私は赤くなった顔を机にゴンゴンと叩きつけてしまいます。


 そんな感じで、あれこれと妄想……もとい、想像しつつ、告白のシチュエーションを、頭の中で整えていくのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ