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152話 妹と一緒に宣戦布告

 あっという間に全ての授業が終わり、放課後。


 掃除を終えた後、結衣と合流。

 そのまま二年の教室に足を運んで、小鳥遊さんを中庭に誘う。


「うむ。こんなところに呼び出したということは、この前の話の続きなのか?」


 こちらの目的は、ある程度察しているらしい。

 突然の呼び出しに慌てることなく、小鳥遊さんは堂々としてた。


 ……出会った時から思ってたが、この子、女の子だけど男らしいよな。

 どっしりと構えているところとか、言葉遣いとか、強気なところとか。

 女の子からモテそうだ。


 なんで、結衣に告白したんだろう?

 不思議に思うが、今はそのことを聞いている場合じゃない。


「この前の続きになるけど……小鳥遊さんは、俺たちの関係に疑問を持っているんだよね?」

「うむ。本当の恋人なのか、ぶっちゃけ、疑っているぞ」

「それ、納得してもらえないかな? 小鳥遊さんがなんて言おうと、俺たちは付き合ってるわけだし、別れることもない。これは間違いないことだ」

「……結衣さんが好きなのか?」

「ああ、好きだ」

「はぅっ」


 隣の結衣が小さな声をこぼした。

 ちらりと見ると、もじもじとしてる。


「……どうした、トイレか?」

「……兄さんのばか」


 小声で問いかけると、ぎろりと睨まれた。

 俺、なにかした……?


「先輩?」

「あ、ごめん。ちょっと、ぼーっとしてた」

「二人の言いたいことは理解したぞ。が、やはり納得できないな。私の中で、何かがおかしいと告げているんだ」

「そっか……」

「私も、二人が付き合っているのならば、そこに無理矢理割って入るようなことはしたくない。が、どうにもこうにも納得できなくてな……キスでもしてもらえば、わかりやすいのだが」


 やはり、話はそこに戻るか。

 でも、その対策ならきちんと考えてきた。


「あの……先輩は、それで納得できるんですか?」

「む?」

「私と兄さんが、き、キスをして……それを見れば、私たちが付き合っていると納得するんですか? 何も疑問に思うことなく、すぐに気持ちを切り替えることができるんですか?」

「ふむ……そう言われると、自信がなくなってくるな」


 小鳥遊さんは迷うように視線を揺らした。


 人の心はそんな単純にできていない。

 恋心となると、より複雑なものになる。

 キスをするところを見たから諦めます、なんて簡単に気持ちを切り替えられるようなら、それは恋じゃない。

 簡単に諦められないからこそ、恋だと思うんだよな。


 まあ、まともに恋人ができたことのない俺が語っても滑稽かもしれないが。


 小鳥遊さんを諦めさせるには、キスじゃダメだ。

 もっと強烈なインパクトを与えないといけない。

 俺たち二人の間に割り込む隙間は一ミリもないんだ、と思わせるような、ガツンと来る衝撃を与えないといけない。


 そのための作戦は……すでに考えてある。


「今度の日曜日、小鳥遊さんは時間ある?」

「問題ないが……?」

「その日、俺たちはデートをするから、小鳥遊さんはそれを見て判断してくれないか?」

「私たちが付き合っているか、いないか……デートするところを見れば、キスするよりも、もっとわかりやすいと思うんです」

「そこで納得してくれたら、素直に諦めてほしい。ダメなら……まあ、その時は何度でも勝負を挑んできてもいいよ。結衣を手放すつもりはないけどな」

「むう……」


 小鳥遊さんが難しい顔をした。

 俺たちのデートについて感がているんだろう。


 この誘いに乗ってもらわないと困る。

 とある作戦が決行できないからだ。

 俺たちが考えた作戦は、学校でも家でもできない。

 デート中でないと意味がないんだ。


「……うむ。わかった、それで構わない」


 しばらくして、小鳥遊さんはコクリと頷いた。

 よし、釣れた!

 内心で喜びつつ、それを表に出さないで、話を進める。


「よかった。受け入れてくれて、ありがと」

「いや、私のためでもあるからな。むしろ、ここまで気をつかってもらい、私の方が礼を言わないといけない。ありがとう」

「デートについては、まだ細かいことを決めてないから、後で詳細を伝えるよ。連絡先、教えてもらってもいいかな?」

「うむ、かまわないぞ。あ、それなら結衣さんの連絡先を……」

「それはダメ。勝手にアプローチされても困る」

「むぅ……お見通しというわけか」


 適当に言ったことだったんだけど、本当にアプローチするつもりだったのか。

 その時を想像したのか、隣で結衣が苦笑してた。


 小鳥遊さんと連絡先を交換して、ついでにメッセージのIDも教えた。

 これで準備は整った。

 あとは本番を迎えるだけだ。


「じゃあ、次は日曜日に」

「私たちの話に付き合ってもらい、ありがとうございました」

「あっ、ちょっとまってくれないか?」


 これでお別れ、というところで呼び止められた。

 結衣と話がしたいんだろうか?

 まあ、ちょっとくらいなら……


 と思っていると、なぜか、小鳥遊さんの視線が俺を向く。


「宗一先輩。二人で話したいことがあるのだが、かまわないか?」

「え? 俺?」

「うむ。時間はとらせない」

「えっと……」


 なんで俺?

 疑問に思うが……

 明確な理由はないが、ここで話を聞いておかないと、という気になる。


「わかった。結衣、悪いけど……」

「はい。私は席を外しますね」


 気になる様子で、結衣はこちらをちらちらと見ながらも、この場を後にした。

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