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143話 妹のための妹による作戦

 真白ちゃんが自信たっぷりな顔を作る。


 これは期待できるかもしれない。

 何しろ、真白ちゃんは結衣にまともな料理を作らせたという実績があるからな。

 一見すると、無邪気でのほほんとしてるものの、実は意外と思慮深いことが判明してる。


 そんな真白ちゃんの案なら、期待できる。


「はい、真白ちゃん。どうぞ」

「えっと、小鳥遊さんだっけ? 結衣お姉ちゃんに告白した人」

「うん、そうだよ」

「小鳥遊さんの前で、お兄ちゃんと結衣お姉ちゃんがキスすればいいと思うよ!」

「ごほっ!?」


 結衣がむせた」


「ディープなキスね!」

「けほっ!?」

「えっちで、ねっとりとした甘いキスだよ!」

「こほっ、こほっ、こほっ!!!?」


 真白ちゃん、その辺でやめてあげて。

 結衣が大変なことになってるから。


 というか、俺も大変なことになりそう。

 結衣とキス、って……

 ついつい想像してしまい、妹相手のこととはいえ、赤くなってしまう。


「あ、あのぉ……真白ちゃん? どうして、その……き……キス、なんていう発想に……?」

「え、ダメなの?」


 心底意外というような顔をする真白ちゃん。

 この子、たまにとんでもないことを思いつくよな。

 中学生にしてこの発想……将来は、とんでもない子に成長するかもしれない。


「真白なら、目の前でえっちなキスを見せつけられたら、諦めるしかないけどなあ」

「そ、それはそうかもしれませんが……さすがに、兄さんと、き、ききき、キス……はぅ、あうあう」

「結衣、落ち着いて。日本語を忘れているわよ」

「うぅ、凛ちゃん……私には刺激の強い話でした」

「ほら、息を吸って吐いて」

「すーはー」

「ひっひっふー」

「ひっひ……って、これは違いますよね!?」

「あら、気がついた?」

「気が付かないわけないでしょう! もうっ」


 結衣も顔が赤い。

 俺とキスするところを想像したんだろうか……?

 なんだろう、妙にそわそわしてしまう。


「というか、そんなに恥ずかしがるっていうことは、二人はまだキスをしていないの?」

「えっ!? そ、それは、そのぉ……」

「先輩、どうなんですか?」

「してないぞ」


 俺は堂々と言い切った。

 こういうことは、下手に慌てると怪しまれるもんだ。

 なので、余計な疑いを持たれないように、キッパリと言う。


 ただでさえ、小鳥遊さんから怪しまれているのに、他のみんなからも怪しまれたらやばいからな。


「はー、プラトニックな関係なんですね」

「まあな」

「キスくらい、普通にしてると思いました」

「人には人のペースがあるだろ? 付き合ったらキスしなきゃいけない、って法律があるわけでもないし」

「まあ、そうですね。実のところ、とっくにヤッてると思ってましたが」

「ごほっ!?」


 結衣がまたむせた。

 俺も、咳込みそうになった。


「あ、あのな……」

「今度はかわいい反応ですね」


 凛ちゃんが笑う。

 この子、やっぱり小悪魔だ。


「うーん」


 明日香が唸る。


「どうした?」

「いやー、二人がキスしてないってわかって安心したというか、まだそんなこともしていないヘタレ宗一に呆れたというか」

「ヘタレ言うなや」

「結衣ちゃんから宗一を寝取るの、大変そう……って、悩んでたところ」


 お願いだから、そういうことは人前で言わないでほしい。

 実のところ、俺たちの関係は複雑なんだから。

 ほら、真白ちゃんは不思議そうにしてるし。


「ねーねー、お兄ちゃん。今の、どういう意味なの?」

「はい、この話はおしまい」

「ねえねえ、どういう……」

「おしまい!」


 強引に話を断ち切る。

 真白ちゃんが不満そうにしてたものの、これ以上は続けられない。

 というか、俺たちの関係暴露大会じゃないんだから、本題に戻ってほしい。


「とにかく、真白ちゃんの案は難しいかな」

「えー、そうなの? キスするだけなのに?」

「というか、まだキスもしていないのならば、この機会にしてしまえばいいんじゃないですか?」

「そ、それは兄さん次第といいますか……ちらっ」


 真白ちゃんと凛ちゃんに煽られる形で、結衣がこちらを見る。

 おい、やめろ。

 どうして、期待に満ちた眼差しを送ってくるんだよ。


「相手を諦めさせるためにキスするとか、なんか違うだろ? 女々しいかもしれないが、ファーストキスってのは、やっぱシチュエーションが大事だと思うし……するならするで、小鳥遊さんを諦めさせるためにするんじゃなくて、結衣のためだけを想ってしたい」

「はぅ……に、兄さん、そんな風に想ってくれていたなんて……あの、その……わ、私は、別にいつでも……い、いえっ、なんでもありませんにょ!?」


 結衣がテンパって噛んでいた。

 そこまで照れないでほしい。

 俺が恥ずかしくなるだろ。


「むーん、そういうことなら仕方ないかー」

「悪いね。せっかく考えてくれたのに」

「ううん、真白こそごめんね。お兄ちゃんと結衣お姉ちゃんの気持ち、考えてなかったかも」

「謝ることないって。突然の呼び出しに応じてくれて、しかも色々考えてくれて、助かるよ。ありがと」

「ふにゃ~♪」


 真白ちゃんの頭を撫でると、猫みたいな声がこぼれた。

 かわいい。


「むぅ……せっかくうれしいことを言ってくれたのに、真白ちゃんにそんなことをするなんて……兄さんのばか」

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二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
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