表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/300

119話 妹とある意味初デート・5

「サメはもういいです。もっとかわいいものを見たいです」

「賛成だ」


 サメエリアを離れて、案内図を見る。


「んー、次はどうしたもんか?」

「兄さん、兄さん。お昼、食べませんか?」


 そういえば、そんな時間か。

 そろそろ腹が減ってきた。

 結衣も……って、そんなことを聞いたら、デリカシーがないと怒られてしまう。


「一階に、アクアリウムレストランがあるらしいですよ。よくわかりませんが、素敵な場所だと思いません?」

「なんだろうな? レストランの中に水槽があって、魚見れるんだろうか?」

「かもしれませんね。とりあえず、行ってみましょう」


 来た道を引き返して、一階へ。

 案内図に従い、レストランに移動した。


「おぉ……」

「うわぁ……」


 中に入り、二人して言葉を失う。


 レストランの壁が、一面、水槽になっていた。

 大小さまざまな魚がゆったりと泳いでいる。

 店内の明かりは暗くされていて、水槽がライトアップされていて……

 雰囲気もあり、とても洒落ていた。


「すごいですね。まさか、壁が丸ごと水槽になっているなんて」

「ここまでとは思ってなかったなあ……さすがに、天井と床は普通か」

「そこまでは無理じゃないですか」

「いや、わからんぞ。そのうち、360度全部水槽、っていうのが出てくるかもしれない」

「楽しそうですけど、ちょっと怖いかもしれませんね。ほら、足元がガラスの展望台みたいな感じがしそうです」


 そんな他愛のないことを話しながら席についた。

 メニューを開くと、パスタ、ピザ、コーヒー……などなど、そこらのカフェとあまり大差ない。

 まあ、水族館で魚介料理とか出されても微妙だから、悪いわけじゃないが。


 値段は……まあ、それ相応の価格だ。

 水族館とかなら、こんなもんだろ。


「結衣は決まったか?」

「はい、大丈夫ですよ」

「すいませーん、注文いいですか?」


 店員を呼び止めて、注文をした。

 ちなみに、俺はカルボナーラとミニピザのランチセット。

 結衣は、ミックスサンドとサラダのランチセット。


 ランチセットは飲み物とデザートがついてきて、お得だ。


「水族館とか久しぶりだけど、楽しいな」

「私は初めてです」

「あれ? そうだっけ」

「そうですよ。今まで、なかなか機会に恵まれなくて……だから、今日はうれしかったです」

「ならよかった」

「……水族館に来れたことだけじゃなくて、兄さんと……で、デートできたことも、うれしいんですけどね……」


 なぜか結衣が赤くなる。

 ボソボソと小さい声でなにか言ってたが、店内に流れる音楽がのせいで聞き取れない。


「それにしても、ちょっと慣れてきたな」

「なんのことですか?」

「あー……ほら、フリとか関係なく、結衣と遊ぶのもすごい久しぶりだろ? 実のところ、最初はちょっと緊張してたんだ」

「そ、それはっ、私のことを、い、いいい……意識、したり?」

「? そりゃ、意識するさ」

「はぅっ!?」


 ますます結衣が赤くなった。


「ま、ままま、まさか、兄さんの口からそんな言葉が飛び出すなんて……兄さんが、私のことを……あうあう、ど、どんな顔をしたらいいんでしょうか? えへ……でも、幸せです♪」

「結衣も楽しんでくれてるみたいだからな。そういう意味で、すごい意識してるよ」

「……ソウデスカ」


 今度は、どんよりした目になった。

 なぜだ?


「まあ、兄さんのことですからね、わかっていましたけどね……」

「えっと……どうしたんだ?」

「いえ、なんでもありません。まあ、こんなことになったのには、私にも原因がありますからね……素直になれれば、妙な誤解をさせることもなかったんですが……ふぅ」

「おっ、来たぞ」


 話をしているうちに、料理ができて、運ばれた。


「「いただきます」」


 まずは、カルボナーラを一口。

 ……うん、うまい!

 濃厚なクリームとチーズがしっかりとからみついていて、厚く切られたベーコンが良いアクセントになってる。

 もう一口食べたところで、今度はサラダを。

 フレンチドレッシングがかかっていて、口の中をさっぱりとしてくれる。

 これもうまいな。交互に食べると、どちらの味も引き立てられて、良い塩梅だ。


「兄さん、とてもおいしそうに食べますね」

「そうか?」

「はい、なんだか、子供みたいですよ。ふふっ」

「子供はひどくないか?」

「鏡、見せましょうか?」

「むぅ」


 結衣が笑いながら手鏡を取り出そうとした。

 子供っぽいとか、そんなつもりはないんだけどな。

 むしろ、俺、大人っぽくないか?


「兄さんが大人っぽいとか、新手の冗談ですか?」


 真顔で切り替えされてしまった……ちくしょう。


「結衣のサンド、うまそうだな」

「はい、おいしいですよ。チェーン店のものと違って、けっこう本格的で……ほら、こんなに具があるんですよ」

「おーっ、パンからはみ出そうだな」

「それに、ソースが独特で……はむっ。んぅ……おいしいです♪」


 両手でサンドを持ち、ちびちびと食べる結衣。

 ニッコリと笑うところはかわいいと思う。

 同時に愛らしくて……


 結衣の方が子供っぽいのでは? なんてことを思う。

 機嫌を損ねてしまいそうだから、口にはしないけどな。


「あっ。結衣、そのまま、ちょっとストップ」

「はい?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ものの新作を始めてみました。
↓のリンクから飛べます。
二度目の賢者は間違えない~最強賢者が転生したら、なぜかモテモテになりました~
よかったらどうぞ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ