01話 妹が彼女になりました
直球な話を書いてみました。楽しんでいただけたら幸いです。
俺、七々原宗一は妹が欲しい。
いや、ちょっと待ってほしい。言葉を間違えた。
妹限定としたら、なんか、変態みたいじゃないか。
妹じゃなくて、姉でもいい。ただ、弟や兄はちょっと。ほら、わからないかな? 兄弟よりは姉妹に憧れる、思春期の男の心理っていうやつ。
というか。
姉や妹というよりは、『家族』が欲しいんだ。
なぜか?
俺が小さい頃に、父さんと母さんが離婚した。
それからは、父と子供、二人の生活が続いた。
父さんは仕事に打ち込んで……
俺は、家で一人で過ごして……
なんていうか、なにもない砂漠みたいな『寂しい』生活をしていたような気がする。
そんな生活に変化が起きたのは、小学生高学年の時だ。
父さんが再婚して、妹ができたんだ。
「ほら、宗一。新しい家族を紹介しよう」
「君が宗一くんね? この人から話は聞いているわ。これからよろしくね。さあ、結衣。あなたも挨拶をしなさい」
「はい」
新しい母さんに促されて、小さな女の子がペコリと頭を下げた。
「飯田……じゃなくて、今日から七々原になるんですね。えっと……七々原結衣です。よろしくお願いします」
妹……結衣は、とてもかわいい女の子だった。
にこりと笑う笑顔に、思わず見惚れてしまったことを、今でも覚えている。
「よろしくね」
「はい、兄さん」
この日、待望の妹ができた。
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七々原結衣。
新しい妹は、とてもよくできた子だ。
礼儀正しくて、落ち着いていて、とても優しい。
ついでに言うならば、成績抜群、運動神経抜群、容姿端麗と三拍子揃っている、とんでもない優等生だ。
結衣となら、うまくやっていくことができる。
なにも問題はない。不安に思うこともない。
『家族』になることができる
そう思っていたんだけど……
――――――――――
高校3年生の春……
授業が全て終わり、放課後が訪れた。
教科書やノートを鞄に入れて帰る準備をしていると、クラスメイトに呼ばれる。
「七々原くん、妹さんが来てるわよ」
「兄さん、兄さん。来ちゃいました」
入り口を見ると、結衣が軽く手を振っていた。
髪は腰まで届くほどに長く、絹糸のようにサラサラだ。
百人いたら百人が振り返りそうな、整った顔をしていて、紛れもない『美少女』。『綺麗』というよりは『かわいい』タイプで、どことなく愛嬌があって、親しみやすい印象を受ける。
ついでに言うならば、グラビアアイドルのような、けしからん体をしている。出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいて……そして、スラっと伸びた手足。雑誌のスカウトを何度か受けたことがあるほどだ。
「さあ、兄さん。一緒に帰りましょう? あまり私を待たせてはいけませんよ」
「ちょい待って……よし、終わり」
帰る準備を終えて、席を立つ。
「準備はできました? なら、行きましょうか」
「一緒に帰るなんて、仲が良い兄妹なのね」
「ええ、それはもちろん。兄さんと私の仲が良いのは当然ですよ」
クラスメイトの言葉に、結衣はニッコリと笑い……俺と腕を組む。
「だって、私は兄さんの彼女なんですから」
新しくできた『妹』は、なぜか『彼女』になっていた。
……どうしてこうなった?
まずは、その経緯を語ろうと思う。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
初回はプロローグ、という感じです。
次回から、本格的に話が進んでいきます。
タイトル通りの内容なので、楽しんでいただければと。
これからよろしくお願いします。