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初めまして、名をば近衛と申します。
今回はこの様な稚拙な作品をご覧頂き、誠に有り難う御座います。
この作品では、後書きの部分は改稿時の報告等に使わさせて頂きます。
それ以外は、何も書かれていない事が有りますが標準装備なので、指摘などは大丈夫です。
また、今回はクラス転移までの導入ですので、短めです。
では、どうぞ。
俺の一番好きな季節は春だ。
だから冬は嫌いだが少し嬉しくもある。
◆ ◇ ◆
冬。
空気が冷え、外に出るのが億劫になってきた頃。
登校路を一人と歩いていると、後ろからタックルをお見舞いされた。
「よお、健斗!」
「……悠太、危ないからやめてくれと何度も言っているだろう。」
「あはは、すまんすまん。」
「……少しは反省してくれ。」
目の前に居る少年は鞍門 悠太。
俺と同じ崎坂高校に通う二年生で、イケメンだ。
成績も上位十番内に必ず入っており、バスケ部で部長を務めている。
学内だけで無く、市外にもファンが居る程で、ファンサイトが出来ている程だ。
俺?フツメンですが?
まあ、悠太とは保育園からの親友で、家も割りと近く家付き合いも盛んだ。
「やっほい、二人とも。」
「やっほい、雫。」
「……おはよう、雫。」
如何にも元気です。と言った雰囲気のこの少女は和泉 雫。
彼女もまた幼馴染みの一人で、休日に一緒に遊ぶ事もまま有る。
「今日もダサい眼鏡を付けてるねぇ。外せばカッコいいんだから外しなよ。」
「……ダサい言うな。これでも割りと気に入ってんだから。」
今の俺は少し癖の有る肩まで掛かりそうな黒髪、目は殆ど前髪で隠れ、黒渕眼鏡が掛けられている。
まあ、雫は眼鏡を外せば格好いいと言ったが、コンタクトが俺は苦手なのでどうしようもない。
それに眼鏡の有無程度で変わる程、イケメンフェイスじゃ無いんだよ!
言わせんな。悲しくなるだろ。
先程も言った様に、時期は冬。しかも真冬に差し掛かっている事から、皆手袋やらマフラーやらを着けている。
ただ、それでも寒いのか早足で学校に向かっている。
俺達も同じ様に会話をしながらも、歩く足は止まっていない。
「そう言えば、今日は秀麗祭の企画決めが有るんだっけ。」
「……ああ、そう言えば、そんなのも有ったな。」
「いや、昨日谷センが言ってたろ。」
「……そうだっけ?」
悠太が言う谷センとは、谷崎 衡騎先生の事だ。
俺達二年四組の担任で、数学を担当している。
クールと言う言葉がピッタリな人で、男子女子問わず絶大な人気がある。
また、男子バスケ部顧問で、個人に合わせたアドバイスを行い、確実に成果を出させている事から生徒達からの信頼も厚い。
何だかんだで二年俺の担任をしている。
「……何も考えてきてないんだが。」
「残念賞。まあ、諦めて恥を書くことをお奨めします。」
「……いや、助けてくれないのかよ。」
ニヤニヤしている悠太にツッコミをする。
「っと、もうそろそろ時間が無いみたいだな。」
何時の間にか門限十分前になっていたので、一旦喋るのをやめて走る。
教室まで駆け上がり、それぞれ席に着いて朝の準備を行う。
「おはよう、今日もギリギリなのだのな。」
「……幽華か、おはよう。」
暗めの茶髪が目に入る。
幼馴染み最後の一人である、小鳥遊 幽華だ。
髪も瞳も暗い茶色では有るが、別に染めている訳では無い。
実際、生まれたばかりの時の写真や幼い頃の俺の記憶を探ってもやはり、この色であるからな。
「それに眼鏡はやはり外さないのだな。」
「……何故、皆俺に眼鏡を外させたがるんだよ。」
「それは──「ほら、てめぇら、席に着けー!」ね……。また、後で話すよ。」
そんな風に俺等の何気無い日常は進んでいった。
いや、筈だった。
◆ ◇ ◆
「さて、秀麗祭の出し物だが、やりたい物がある奴は手上げろ。後、田中と清水、書記頼んだ。」
「はい。」
「ほーい。」
そんな風に出し物決めが始まった。
「さて、この意見の中から決めるが意義は無いか?……無い様だな。じゃあ、多数決を取るから、顔を伏せろ。」
全員が顔を伏せ、谷崎先生が声を発しようとした時、机と腕の隙間から青い光が見えた。
次の瞬間見えたのは、息を切らす絶世の美少女と複数のローブを来た男女だった。