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元恋人に死亡フラグが立ったなら、俺はどうすれば良いのだろうか  作者: 嚇嚇 鹿鹿
第1話                                  Prologue~Grieve chapter~
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 さて、話は戻り━━昔から仲の良かった幼馴染みがもうすぐ死ぬ。俺の予見は100%の確率で実現する。それも1週間以内だ。

 この言い方は正しくない。5、6日前から立っていたとすれば、今日死ぬ可能性も無いことはない。

 言っても仕方の無いことなのだろうが、このことを茜に知らせるべきだろうか━━と考えている内に、昼休みとなった。

 ………とそこで、隣で教科書をしまった茜が喋りかけてきた。


 「桐ちゃん、一緒にお弁当食べよ?」

 「いや、いいよ。お前、そこら辺の女子と食べれば?」

 「お願いだよ~♪」

 

 昔と変わらぬ、実にしつこい奴である。でも、こういうのは休み時間今までボッチ状態だった俺には悪くない。それでも、俺のツンデレ思考は否定的な発言をしてしまう。


 「嫌って言ったら嫌だ。変な風に思われるから早くどっか行け」

 「だって、だって」

 「うるせぇなぁ」

 

 俺だって別に嫌なわけではないのだ。それよりむしろ周りの反応が気になるのだが………。

 そろそろこの口論を止めてしまわなければ、と思い、顔を赤らめながら声を振り絞って許可を下す。


 「分かった、10分だ、10分以内に食ってどっか行け」

 「有難う、桐ちゃん!」

 

 というわけで、今日は俺と茜は机を向き合わせて昼飯を食うことになった。

 しばらく、近況を教えあったりとしていたのだが、突然俯き出した茜に「どうしたんだ」と問う。彼女は泣き言を言うように、ポツリと呟いた。



 「私ね、病気なの。何年持つか分からないってお医者さんが言ってた」


 「そ、そうなのか」


 胸が絞まるように傷んだ。まさか俺の悩んでいたことをあちらから言って来るとは━━。そう、やはり俺の死の予見は間違っていなかった。茜はその病気で亡くなるのだ。『何年持つか分からない』━━何年も持たないだろう。お前は1週間も経たないうちに━━。

 どう返事したら良いのか本当に迷った。言うか言うまいか━━『お前は1週間以内に死ぬんだ━━』と。


 つい一粒の涙が零れ落ちた。そして次々に涙が目に溢れ出した。それは、乾燥した大地を悲で潤す黒き魔のオアシスのようだ。


 「き、桐ちゃん?」

 「いや、何でもない、大丈夫」

 

 俺は胸いっぱいに深呼吸し、心を落ち着かせた。そして決心する。


 「あのな、俺………実は」

 「どうしたの?改まっちゃって………」


 こいつは………茜は俺の発言を拒んでいる。そんな気がした。だが、そこで止めるわけにはいかない。


 「今から言うことは、とても大切なことなんだ」

 「だから、どうし」


 俺の言うことを悟ったのだろうか。茜の頬を一筋の汗がつたう。

 

 「俺は人の死を………」

 その時点で茜は俺が何を言おうとしているのかを、確実に理解したようだ。「止めて!もうこの話は終わり………!」という声が聞こえた。

 「100%の確率で予見することが出来る。お前は」


 彼女の瞳が涙で滲んでしたが一息に言った。



 「お前はもうすぐ、死ぬ」


 

 俺の震える微かな声は、茜の胸を貫き、絶句した。一年、ではなく、もうすぐ。ものすごい時間の違いだろう。その違いに、流石の彼女も驚いたのだ。

 


 「あ………え………?でも………」


 「だからもう後悔しないために………残り少ない時間仲良くするよ。今日からよろしく、な?」


 ツンデレな俺様がよもやこんなことを言うとは━━。


 結果、茜は音を立てて勢いよく立ち上がり、教室から飛び出して行ってしまった。


 言って良かったと思う。もし言っていなかったら………あいつが死ぬまで後悔しただろう。

 教室内がやけに騒がしかったが、そんなことはもうどうでも良い。

 ちゃんとあいつの死と向き合って、ちゃんとお別れをしたかった。俺は自分のやりたいことをやってのけたのだ。

 ホッと溜息をついて、幼馴染みを探すべく━━特に当ては無いが━━、颯爽と教室を抜け出た。


 

 何故か、何時もとは違う自分がそこにあった。

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