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ミニマムな彼女は生徒会長 ~そんな彼女が大好きな俺~

作者: うらぎった

取り合えず何も考えず、思い切って飛ばしてみます。

ある日の昼休み、男子二人がグラウンドの片隅で、つかみ合いをしていた。

ここは八津浦やつうら高校。

偏差値はまあそこそこ、学校は<生徒の自主性を育てる為>といった体裁を言い分として、学校の様々な事を生徒に一任している...と聞こえは良いが、只の放任主義の学校だ。

 だがこの高校で変わった事が幾つか有る。


 その1つが、運動部が強くなったのがここ1.2年の話だ。

 それまでは、弱小と言える位のの強さだった運動クラブが、ある時を境に常に上位を狙える強さを身に付け始めた。

 何が彼らをそんな強さに引き上げたのかと話題にもなったもんだが、本人達は苦笑いしか出来なかっただろう。


 そしてそんな運動クラブの部員達が今些細な事で口論をしていて、そして今掴み合いに発展した所なのだ。ちなみに原因は、狭い運動場の使用する曜日を決める話だったのだが・・・お互い平行線のままのようだ。

 そんな時、1人の少女が運動場のに出て、何かを目指してその場所に走って行く。


「うんしょ、うんしょ」

  制服を着た(小学校高学年位の)小さな女の子が、よく校長先生とかが立ってスピーチするあの台がある。その台の上によじ登ろうとしている。


 ......登ろうとしないで、備え付けの階段使えよ...

「ほら彩佳さいか、押してやるから早く登れ」

「すっすまん、弥永田瀬(やながたせ)


 高校生なのにいまだに小学生位の身長しかない(多分150cm位)、女の子は高橋彩佳たかはしさいか、髪の毛は切り揃えられて背中の脇下辺りまである。目はぱっちりしており、小さな唇、そしてブレザーに隠れてはいるが、なかなか体つきは良い。

 そして俺の名前は弥永田瀬和敏やながたせかずとし亜麻色あまいろの短髪で体つきはそこそこ、クラブには所属していない。


 その後、台の上に足を広げて胸を張ってデン!と(たたず)み、何かを取り出そうとして......体を必死に手探りして探している。

 ああ、コイツ忘れたな......


 あ、何か涙ぐんでこっちを見てる......仕方無いなぁ...


 俺は懐からいつも持っている(コイツの為に)マイクを取り出すと、ため息をつきながら彩佳に手渡してやる。

「ほら、ミニマム生徒会長、貸してやる」

「み、ミニマム言うな!」

「いいから、早くやりたい事をやれ」

 そう言いながら頭をポンと叩いて 頭を撫でてやる。

「うー...」

 ミニマム生徒会長は不満そうだ。

「ほらほら、可愛い顔が台無しだぞ。今から始めるのに、そんな顔で良いのか?」


 俺が彩佳にそう言うと、彼女はハッ!として、気が付き顔を引き締める。

「そうだった!早くしないと私の楽しみが無くなってしまう」

「さあ、やれ彩佳!」

「ウム!」


 そう言って彼女はマイクにスイッチを入れると、先ずはマイクテスト。

『あー、あー、テステス、ただ今マイクのテスト中・・・よし、大丈夫だな』

 そのマイクの声に掴み合いをしていた二人の動きがピタッと止まる。


『あー、今更動きをとめても無駄だぞ、野球部キャプテンとサッカー部キャプテン、おほん...では、毎度ながらデスマッチを開始する。勿論、負けた部は予算20%カットな、受けなかったら10%カットだ』

 男子二人から「やっちまったぁ!」だの「マジかぁ!」だの言っているが、そんな事は本人の自業自得なのでしょうがない。

『ではここに、部費強奪戦、デスマッチの開催を宣言する』

 そう言いながら、ミニマム生徒会長は非常に楽しそうに宣言した。

 校舎からは歓声と悲鳴と怒号が飛び交っていた。



 この学校で変わった事が幾つか有るが、その1つが彩佳が生徒会長になった事である。

 彼女は入学直後、生徒会長に立候補しその時の自分の選挙活動や学校をどうしたいのか、行動理念宣言発言で<学校を面白く、且つ学校のクラブを強くする>と言ったのだ。

 最初はあまり本気に取られなかった。だが彼女は集会でこう言った。


『この学校のクラブは弱小と言われているがそれは違う、ただクラブに対しての情熱の向け具合が違うのだ。遊び感覚でやっていてはそれでは弱小のままだ、だから私は緊張感を持たせる事にした』

 そこである程度興味を向けさせて言い放った。


『クラブの部費をデスマッチ方式で奪い合う形にする。ちなみにデスマッチの内容は毎回変える、同じやり方でやってはマンネリだからな、だから皆から意見を貰いそれをクジにしてその時のデスマッチを選出する。例えばバスケだ』


 バスケならば普通はバスケ部が有利なのだが......

『この場合バスケ部があまりにも有利なので、手足にパワーリストを着けて試合をしてもらう、いわゆるハンデだな、更にまだ余裕があると判断した場合、試合数を増やさせてもらう』

 そう彩佳が言うと、当然ブーイングが飛んできたが。


『それこそ有利だからのハンデと納得しておけ!それ位のハンデを乗り越えられないようでは、全国など夢の夢だ!やるなら目指せ頂点を!、自分の限界を勝手に決めないで足掻いてみせろ!』


 その後、生徒会長に彩佳が就任し、改革が始まった。

 その後は皆必死だった。なんせ負けたら部費が減っていくのだから・・・

 しかし、効果はてきめんで、あっという間に強豪高にのし上がっていった。

 うん、追い詰められた人は強いと言ったらいいのか、人参をぶら下げられた馬は速い と言えば良いのやら...

 そして今から部費を賭けたサバイバルが始まるわけだ。


 いつの間にか生徒会のメンバーが来ていて、箱を持ってスタンバイしている。

『では、今から発表する』

 そう言いながら生徒会メンバーの持つ箱の中に手を入れて、ガサゴソと探る。

 そして1枚の紙を取り出すと、それを見ながら彩佳は発表する。



『今回のお題は 耐久鬼ごっこ だ』


 生徒の中から疑問と問いかけの声が上がる。


『そうだなぁ...今は昼を少し過ぎた位の時間だから...』

「今の時間はもうすぐ昼の12時45分だ」


『おおすまない、弥永田瀬、先ず放課後部活の始まる時間16:30に耐久鬼ごっこを始める。時間は2時間、鬼は野球部とサッカー部以外の他のクラブの皆、2つの部活の部員は2時間の間逃げ切れ!1人捕まる毎に2%ずつ捕まえた部活に部費が補充されていくからな、捕まった部員は指定場所に行くように、その場所に生徒会の者達を待機させる』


 おーお、2つの部活のキャプテンが部員から非難されまくってるぞ、まあ知らんが

『尚、範囲は学校全体、2時間の間隠れるも逃げるも自由だ。では、今から参加者の受付を開始する!』

 すると、生徒会のやつらに人が波のようになだれ込んでいく、2つの部活は結構部費多いからなぁ...


 俺はその人ごみから離れて、自動販売機に金を入れて、紙コップのコーラを押す。コップにコーラが補充されるとそれを取り出し一口飲む。

「みんな元気だねぇ...」

 紙コップのコーラを飲みながら、壁に寄りかかり集団を見ていると、何かブレザーの腰の辺りを引っ張る感触があった。

 なんだ?と思って見てみると彩佳だった。

 俺は彩佳からマイクを取り戻し、スイッチを切ると懐にしまいこんだ。


「よっ!頑張れよミニマム生徒会長」

 俺がそう言うと、彩佳は。


「だからミニマムと言うでない!」

「じゃあミジンコ」

「余計悪化しとるじゃあないかぁ!!」

「ミジンコをバカにしちゃダメだぞ?」

「バカにしてるのは弥永田瀬じゃないかぁ!!」

「バカにしてほしくなかったら、俺の事をなんて言うんだ?」

「そ...それは...」

 俺は紙コップを傍らに置くと、彩佳に詰め寄る。


「和敏、かーずーとーし、言ってみな」

「か...和敏」

「よし、正解、ご褒美だ」

 俺はそう言いながら彩佳を持ち上げ抱きしめる。

 小さいが、ちゃんと柔らかいし女の子らしい体つきをしている。おれはこの瞬間が大好きだ。


「にゃ...にゃあああああ!だっ...だからいちいち人を抱きしめるなぁぁぁぁぁ!」

 彩佳はジタバタと手足を動かすが、俺は離さない

「お前が悪い、だからこれは罰だ」

 俺はそう言いながら更に彩佳の体を持ち上げ、彩佳の胸が頭に来るように持ち上げる。

 うん、いい感触だ。

「うんうん、いい感触だやっぱり彩佳はいいなぁ」


 だが彩佳は暴れながら、

「何で私がこんな目にあわなければならんのだーー」


「恋人をほおっておくから」


「う”...」

 そう俺とコイツは付き合っている。生徒会を作る前から。

 他のやつが何を言おうが俺には全く気にしていない、コイツ可愛いし、だがその為に2人の時間が減ってしまった。

 それとコイツなかなか和敏と言ってくれないのだ。

 これぐらいはやっても罰は当たるまい。


「まったく...恋人はほっておく、名前は言ってくれない、忘れ物を俺にすがる。手のかかる女の子だ」

「そ...それはすまないと...思っている...」

「だったら...」

 俺は腰を少しだけ降ろして、顔を彼女と同じ位置にする。


「こーいう罰も受けて貰おうか」

 そう言いながら俺は、彩佳の唇に唇を重ねた。

 彩佳は顔を真っ赤にしているが構うもんか、俺はゆっくりと10秒ぐらい楽しんで離さなかった。


「......ぶは!だからそういうのは、家に帰ってからと......」

「家に帰ってからも、何だかんだ忙しいのはどこのどいつだ?」

「う”!...」

 お陰で俺がコイツとイチャイチャする時間が少ないったら......


「決めた」

「な・・・なにをだ?」

「俺、お前に遠慮しないわ、してたらお前に触る時間が減る。暇を見てお前とイチャイチャしまくる」

「い...いや、だからな私にだって仕事というものが...」

「俺の事、嫌いなのか?」

「...嫌いだったら...告白などせん...」

「よし、だったらこれは決定な、拒否権はもう無い」

「そこに私の意見はないのかぁぁぁぁぁ?」

「ない」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁ...」

 ああ、猫みたいに言ってる。この姿も可愛いなぁ、でもまだ離してやらない、この1分1秒が俺には惜しい!。

 横目で人の群れを見るが、まだ少しかかりそうだ。

 俺はその間彩佳をしっかりと抱きしめ、感触を楽しんだ。



「ま...全くもう...何でこんな時にいきなり......もうちょっと雰囲気のある場所とか...」

 あの後しっかりと堪能して、今離した所である。

 ブツブツと何か言っているが、嫌がってはいないようだ。


 俺はそんな彼女の顔を上に向かせて、言葉を紡ぐわざとらしい仕草で。

「だったら...そういう雰囲気のある場所なら...もっと先も...いいのか?」


 俺がそう言うと彼女は顔を真っ赤にしながら、

「なっなっなななななななな......ばっばばばばば馬鹿者!冗談で言って良い事と、悪い事があるではないかぁ!」

 彼女がそう言うと俺はそのまま。


「言い方はわざとらしかったが......本気で言ってないと思ったか?」

「え?」

「俺はお前に、憎まれ口や意地悪や、わざとらしい事はするが、嘘は言わないお前にはな」

 真面目な顔をして彩佳の顔を見る。


「俺がお前といつも一緒に居たい...これも本心だ嘘偽り無いな...だったらその先も考えているとは...思わないのか?」

 俺は彩佳に真面目な顔をして、彼女にゆっくり詰め寄った。彼女は固まっているので、そのまま優しく抱きしめる。


「今はまだ学生だ。だけどな、俺はお前と真面目に将来一緒になりたいと思ってる。将来の家族構成ももう考えて有る。今襲い掛からないのは...」

 胸の中の彩佳の体温が、高く感じるのは気のせいではないだろう。


「お前を思っての事だ......お前が大事だからこそ......お前の好きな事もさせたいんだ......」

「和敏......」

 そう言いながら、彩佳は俺を見上げてくる。


「頼むから...あんまり俺を欲求不満にさせないでくれ...」

 そう言いながら、今度はお互いに唇を重ねた。

 すこーーし長めに。


「ぷは!はぁはぁはぁはぁ!...か...和敏...そ...その...あまりにも...情熱的すぎないか...」

「何言ってるんだ。これでもかなり抑えているんだぞ、もし本当ならこのままお持ち帰りしたいくらいだ!」

「ちょ!和敏!そっそれはかなり困るのでやめて欲しい!」

 ああ、真っ赤になったその顔も可愛いなぁ...

 俺はそんな彼女を再度、優しく抱きしめつつ彩佳の香りを堪能する


「今は遠慮しておいてやるよ...お前に嫌われたくないからな......さっ行って来い」

 俺はそう言いながら、両手を離し広げた。


「うん、和敏......行ってくる」

 そう言って輝く笑顔を俺に向けた後、とてててて と走っていった。


 ...チクショウ!反則だろうあんな顔!離した手が惜しくなってくるじゃないか!

 だが、あんな事を言った手前、アイツの邪魔をするわけにはいかない...くそ!格好つけるもんじゃないなぁ...


『それでは16:30分まで授業だ!各員撤退!』

 彼女のそのアナウンスで集まっていた生徒達が校舎へと帰っていく、俺もこんな所に居ないで戻るか...



ーーーそして放課後ーーー


 始まった耐久鬼ごっこ、野球部やサッカー部の部員はユニホームを着て必死に逃げている。余程部費を減らされたくないのか、目が血走っている。

 後、学校の所々に腕章を付けた生徒がいるが、アレは生徒会のメンバーだ。不正が無いように監視しているのだ。


「まてやあああああ!俺ら剣道部の部費になれええええええ!!」

「そんな事言われてまつかあああああぁぁあ!!」

「そっちに行ったぞ!回り込め!」

「あっぶねえええええ!お前ら!それ反則だろう!」

「別に共同戦線を組んではいけないとは言われてない!」

 等とクラブの人々が言い合っているかと思えば、


「えー、おせんにキャラメル、ポップコーン、お菓子はいかがッスかー?」

「こっちは家からもってきたパンを売るよ~」

「こっちはおにぎりだよ~、梅、おかか、シャケ、明太子、色々あるよ~」


 等と出店のように販売してる奴や、<観客席>と書かれた場所で、走り回っている連中を観戦している奴らもいる。

 まあ、要するにお祭りみたいになってる訳だ。


 バカみたいな事やっているようだが、これで成果が上がっているのだから凄いと思う、しかし・・・流石運動部、なかなかいい勝負をするじゃないか、他の文系のクラブは流石にヘトヘトでもう動けないようで一休みしている。


「なめんなぁぁぁぁぁ!日頃から鬼のように足腰鍛えてきてんだ俺らわああああ!」


 ...いや、自慢するのはいいんだが、そんな事してたら息が上がりやすくなるぞ?大丈夫か?。


そんなこんなで俺らの学校の名物は繰り広げられて、その筆頭の俺の彼女も今日もキラキラしながら元気である。


『どうしたどうした文系クラブ、部費は欲しくないのかー?』


......本当に元気である。

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