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想造世界  作者: sight
1/5

起きたら異世界?

不定期更新

初投稿

『レコード』って知ってるか?


ほら、古い映画に出てくるだろ?

黒くて、丸くて、なんだっけ…あぁ、『蓄音器』にセットしたら回って音が……いやそんなことはどうでもいいんだ。

とりあえず『レコード』がどんなものかはわかってくれたはずだ、あ?俺は別にレコード会社の販売員で、商売文句を言ってるわけじゃないぞ?今時スマホで簡単に音楽も聴ける時代だしな……

…また脱線しちまった、その『レコード』だが、俺は子供の頃に音を流す以外の使い方を思いついた、当然間違った使い方だし、そんな使い方をしたら怒られる。

……だが…まさか本当にそんな使い方をするとは、しかも俺に向かってそれが行われるなんて、考えたこともなかった…




俺の名前は九十八 和馬(にたらず かずま)。

九十九(つくも)じゃねぇぞ?

かなり珍しい苗字らしく、家族以外に見たことがない。

つい1週間前に誕生日を迎え、17歳だ。

好きな食べ物はカレー、好きなスポーツはサッカー、好きな色は黒、見るテレビ番組はアニメ、映画、ドラマ、etc...まあ普通だ。普通の高校生だ。

…おい、お前今こいつつまんねーって思ったろ。

そんなことはないぞ!俺には誇れるものが一つあるんだぞ!

それは『細かい作業』。

これはかなり得意だ。なんと3歳の時にゲームボーイ(昔のゲーム機)を分解、組み立てるという神業を披露している。

小学校の図工は“良くできる”、中学校の美術もずっと“5”だ。高1の工芸でも“5”を取っている。県の美術コンクールにも出展した。

まあ確かにそれ以外は普通だが…

他の成績もそこそこに楽しく暮らしていた。


そんである日…たしか高校の帰り道だ。

俺は高校に入ってから自転車通学をしている。

中学の時の俺にとって、自転車通学というのは青春という感じがして憧れていた(まあ実際はかなりしんどいが)。今日も何時も通り友達と別れ住宅地の合間を縫って疾走していた。

学校に行く時は上り坂でとてつもなくしんどいが帰りは下りだから楽だ。

……しかし今日はいつもとなにかが違った。

「ん?なんか速い…?……あ!?ブ、ブレーキが効かねぇ!?」

そう、なぜかブレーキがかからなかったのだ。

下り坂+ブレーキの効かない自転車=…どうなる?

まあ当然のように事故が起こる。


極限まで緊張した俺の脳は、あっさりと意識を手放した。



…朝か、、、?頭が痛ぇ、、、


…いや、、、俺は、、、事故って、、、


!!

【起きる→周りを見る→自分を見る】という型にはまった動作をした俺は、とりあえず目立った怪我のないことに安堵した。

「いやぁ〜、あんだけスピード出てて怪我なしか……俺めっちゃ運いいな…」

落ち着いたところでもう一度周りを見る。

気付いたことは2つ。

1.辺りが暗いのでもう夜になっている。(今夏だし8時くらいか?)

2.、、、自転車がない。


・・・あっれぇ〜!?

俺が今倒れてたのは比較的広い大通りだ。

見落とすなんてことはあり得ない。

じゃあ誰かが持っていった?

それこそあり得ない。まさか一緒に倒れてる人間を放って置いて自転車だけ盗っていくなんてひどい輩はいないだろう。…いないと願いたい。

いや、おかしいところはまだある。

俺が倒れていたのは“広い大通り”だ。いつもなら車が大量に走っているだろう。

…しかし、今俺が起きてから、通った車は一台もない。いや、事故ってから起きるまでの一〜二時間のあいだも通っていないだろう。

「なんでだ……?」

当然の疑問が口から出る。

俺は普通の脳で考える。


1.今日は“偶然”誰一人、車一台通らなかった。

2.人も車も通ったが俺は放っとかれた。

(ついでに自転車も盗られた。)

3.実はまだ意識が戻ってなくて今のこれは白昼夢的なもの。


「まあ、3が自然かなぁ……」

そっかー、夢かー、だから怪我がないのかー

じゃあ起きたらほんとは大怪我かもなー…


この時、俺のテレビ脳はもう一つの仮説を立てていた。だが、それこそありえない……と思っていた。


しかし、俺はこの後起こる事件?によって、

最後の仮説が正しかったことを嫌でも理解することになる


「え〜っと〜?」

どうやら持ち物は帰ってるときと変わっていないようだ、一応確認する。

「えー、スマホ…あぁだめだ!電波がねぇ!」

「今日の宿題……こんなのまであんのかよ…」

「あとは財布と、筆箱…弁当箱(俺は毎朝自分で弁当を作っている)……体操服まである……ん?なんだこれ?」

見覚えのないものがあった。

ぱっと見た感じの印象は、

「、、、クレヨン?」

クレヨンのようなのだ。

それもかなり大きめの。

地面にこすってみるが、色はでない。

長さ:目測20cm。

重さ:そんなに重くない。懐中電灯と同じくらい。

色:黒い

形:先の尖った筒?

何に使うのか全くわからない。

「うーん……スイッチとかないよなー……ないなー…」

夢の中にも関わらず、現実とほとんど同じ物が揃っていた。クレヨンみたいなの以外は…

「俺も結構記憶力いいなー…自分でも驚くわー…」

そのとき、これまで変化のなかった景色の片隅が、少し動いた。

動いたのは、坂の上……

よく見ると坂の上に人影が見える。

「あ?誰だ?」この“夢”で出会う最初の人物だ。

俺はこういう時、誰もがとるであろう行動をとった。

「おーい!」

返事はない

「おーーい!!」

もう一度呼びかける。

すると、相手が動いた。


右手を振り、前に、、、

黒い物体が目の前に迫る。

「うぉあ!?」

俺は避け(こけ)る。

ズンッ!!

鈍い音が背後に聞こえる。

坂の上の人影はまた右手を振る。

今度は何が飛んできたか視えた。

黒い円盤だ。

円盤は俺の横を抜け、背後のコンクリートの塀に突き刺さる。動くのを止めたそれは、俺もはるか昔に一度だけ見た、本来音を記録するもの、人類の偉大な発明、『レコード』だった。

だが、俺の知るレコードに塀を壊すような破壊力はないし、ぶつけても割れるだけだろう。

だが人影の投げるこれは、いともたやすく塀に穴を空けている。俺に当たったらどうなるかなんて考えたくもない。

こういう時、お前ならどうする?

俺は、、、



逃げた。


「ぎぃゃぁぁぁぁああああ!!!」

なんなんだあいつは!?あんなのありえねぇよ!

俺はたぶん人生最高の走りをみせた。

止まったら死ぬ止まったら死ぬ止まったら死ぬ止まったら、、、!!

たしかこっちに行けば細い路地が入り組んでたはずだ、そこに逃げ込んだらあいつも襲ってこれないだろう!

しかし、現実はまたしても俺を裏切った。


違う。

おれの目の前に広がる光景は、俺の知っていた街ではない。

大小様々な家のあった場所は、積み木を組み合わせたような建物が並び、俺たちの遊び場だった小さな山の上には、真っ黒な箱のようなものが置かれていた。

俺はここが最後の選択肢、即ち、

『自分の知らない別の世界』であることを、

あまりに遅く、理解した。

誤字、脱字等ありましたらご指摘ください。

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