汚れた孤島4
隠し部屋の扉は開いたまま閉じることはなかった。
牧草は迷うことなく部屋に入り、アキラに何か指示している。
俺達は恐る恐る、扉の中に足を踏み出した。
そこは、この武器製造工場の根幹といえるような場所のようだった。
たくさんの配線がむき出しになっており、太い導線につながり、その導線の先には貨物列車の一つのコンテナのような大きな箱が、重量感を感じさせながら部屋の半分を占領していた。
大きなコンテナの重く閉ざされた扉の真ん中には、銀行のATMのデジタル式な番号入力すらパソコン並のボタンの羅列と鍵穴があった。
「ここよ。」
牧草は俺のほうをみて指を指した。
俺は恐る恐るちかずき、コンテナの固い扉の真ん中にある鍵穴とパソコンのテンキーのような端末部分を凝視した。
俺はポケットの中にある鍵を握りしめ、ゆっくりとポケットのなかの拳をだした。
鍵穴に鍵をゆっくりと差し込みゆっくりとまわした。
端末は大きな機械音をだしながら全体が赤く点滅し警戒音が響き渡り、室内にいる6人すべて耳を手でふさぎながらも、俺の次の動作を心待ちしているようだ。
そして迷うことなく暗証番号を押した。
警戒音が一段と室内全体に響き渡り、建物の底が大きく崩れたような地響きが建物中を大きく揺らした。
「アキラ。これなんなの?」
牧草はから切り声をだした。
「わからない。建物の底から海水が流れ込んできてる。逃げないとヤバイ。」
アキラはいった。
コンテナな扉は、いとも簡単に口を開いた。
「はやく、ここからでましょう。」
後ろから柿沼の声が響き渡る。
俺と豊島はこの場から逃げ出す態勢をとった。
その瞬間俺の後頭部に鉄のような冷たいものを押し当てるのを感じた。
牧草だった。
銃をかまえた牧草が俺を遮った。
「いいから、はやく、その扉を開けなさい。あなた達はここで死ぬの。」
数秒の沈黙が、建物の揺れをきわただせた。
その時だ。
銃を構えてる牧草が倒れた。
アキラの銃の銃声だった。
「悪い総理。もうエンディングだ。俺と阿久津さんは先いくよ。これから先は正直あなた邪魔だから。村川君達は多分助からないと思うけど幸福を祈るよ。それじゃ。」
アキラ達は螺旋階段を上に向かい登り始めた。