汚れた孤島2
太陽は島全体を照らし、建物から遠くに見える海は光に反射しきらびやかに光り輝いていた。
俺達は対峙していた。
目の前にいるのは、サクラの幹部の阿久津、工藤アキラそしてリーダーの牧草総理こと牧草友加里。ともみの姿はなかった。
「こんにちは、村川君。柿沼舞子ちゃんね。娘のともみから聞いてるわ。あの時は高校生だったのに、大きくなったのね。時間がたつのは早いわ。この島に眠ってるお母さん迎えに来たのかしら。そして豊島さん。あなた元気?元気そうでなによりだわ。行く宛もないなら戻ってきてもいいのよ。あは。」
牧草は俺達を見下したかのような笑みを浮かべ話した。
「牧草さん。あなたの欲しがってるカギは持ってきました。そして暗証番号も。場所に案内していただけますか。」
豊島は煙草を地面に押し潰しながら言った。
「そうね。お互い敵同士長居は無用ね。早く済ませましょう。ついてらっしゃい。」
俺達は牧草の後についていった。
建物の正面入口から内部にはいると数メートルいったところで、コンクリートの壁が俺達を遮った。右も左も扉もなく、ただの行き止まり。牧草は片手にリモコンのようなものを持ち壁に向かって差し示した。リモコンのボタンを押すと同時にリモコンは赤く点滅し、堅く頑丈なコンクリートの壁が反転し道ができた。
道は木造でただ地べたに引き詰めただけというような雑な作りになっており、一歩踏み出すとギシギシとうねり声を出し、侵入者を脅かすかのようだった。
「こっちよ。」
道は人一人やっと通れる道で、それが一直線に続いている。
その一直線に続く道の果てには上りの階段が上に行けと言わんばかりの存在感で俺達の足を止めた。
牧草は階段にはのぼらず、前で立ち止まった。そしてまたリモコンのボタンを押した。
上りの階段は音もなく、天井に持ち上がり上部部分の入口をふさぐように収納すると同時に階段に隠れてたように地下の階段が現れた。
牧草は怯えることなく、建物の構造を知り尽くしてるかように地下の階段に足を踏み入れた。そして俺達も続いていった。




