第三部 村川ヒロシ偏 心強い味方
「村川さん、佐々木さん怪我はないですか?」
車の助手席から振り返りざまに話すモーセレ柿沼だった。
「大丈夫です。でも僕らを狙った男は中国人のようでしたが、サクラと中国の間で何か目論みがあるように思えます。僕をさらった阿久津という男の部下もそんな話をしていましたが。」
俺は言った。
「わからないわ。ただわかってる事は本州は中国の軍事下に置かれ、無差別におこなわれてる爆破テロから避難してる日本人は北海道と四国に固まっているということ。しかも四国にいる日本人の大半は数々の爆破テロを行っていると思われる組織サクラの構成員。しかもあなたがたは知らないだろうけど、最新の情報だと、四国三ヶ所に軍事基地を作ってる模様よ。しかもこちら側の九州に向けて。武装化している目的はわからないけど国家的におこなわれてるのは明らかだわ。」
佐々木は大きく息を吸い込み口をあけた。
「やはりそうでしたか。日本列島でアメリカ対日本中国連合軍で争いを繰り広げる事がサクラの目論みのようですね。」
「そうかもしれません。数日前。我々のアメリカ大使館も何者かに爆破され跡形もない状態です。とにかく九州以外は危険です。あなたがたは私達の味方のようですので、我々の米軍本部についたらアメリカ本土からの指示に従いつつ作戦を考えましょう。ほら。あそこが我々の本部です。」
モーセレ柿沼は車の窓ガラス越しに指をさした。
指のさきには、福岡ドームが視界に飛び込み、アメリカ軍の車が取り囲んでいた。
近くにある福岡空港はもちろん封鎖してあるものの、アメリカ軍の軍用の飛行機の離発着につかっているようだ。
俺と佐々木はサクラの野望を打ち砕く、強い味方に心底闘志を燃やした。