代わり始めた日常
私は柿沼舞子の家に頻繁に通うことが多くなった。パズルは私を夢中にし、微妙にちがうパズルの形が私の体の一部に感じ、私自信を形成する。
その頃からだ。
頻繁に私の家にある人から電話がかかってくるようになったのは。
父親の工藤ヒロシである。
私はいつも彼とは、日常のつまらない話をする。そして私はいつも死んだ姉のみゆきと偽って彼と話す。理由は特にない。
彼は月に数度家いる母親がいるときは必ずといっていいほど電話がない。母親がいるとわかってるかのように。
電話があるのは私一人の時だ。そして彼の第一声は必ずこう言う。
「今日はお母さんはいないのか?」
と。
物静かですべてを知っている予言者のような彼の話し方は私の気持ちを開放するような不思議な気持ちになった。
私は学校のこと、柿沼舞子のこと、母親のこと、そして私が望むこと、すべてを包み隠さず 彼に話した。姉のみゆきを私が殺したということを除いては。
彼は私をみゆきといい、私の中にいるみゆきはその時だけ顔をだし、ともみの口をかりて話す。
「お父さんって今どこにいるの?」
「綺麗な海が見える小さな島にいるんだ。そこで毎日せっせと働いてる。」
「お仕事大変?」
「大変だよ。朝から晩まで働いてる。」
「私も手伝いたいなぁー。」
「みゆき。ありがとう。もう少し大きくなったら手伝ってもらおうかな。」
彼は電話口で少し笑ったのがわかった。
そして最後に彼はいつもこう言う。
「何か困ったことがあったらなんでもいいなさい。」
ともみは父親の電話があるたびに、父親と会って話したいという思いがつのっていった。
その頃からだ。私のまわりで何かが代わり始めていったのは。
「ねぇ。ともみちゃん。今日学校終わったら家でハンバーグつくるから一緒に食べない?」
そう笑って声をかけるのは柿沼だった。
私は躊躇せず返した。
「うん。いく。でも今度は一緒につくろうよ。私に作り方教えて。」
彼女は嬉しそうに。
「うん。一緒につくろうよ。」
以前の私は何するにも興味がなく、彼女のことなど無関心だったが、近頃の私は新しいことに取り組む姿勢が強くなったように感じた。それは父親からの電話の影響があったのかもしれない。
彼女と私はいつものように材料を買い付け、彼女の家の台所で並んで挽き肉をこねた。彼女は手際がよく、私に細かい指事をとばす。
彼女と私はフライパンの上で焼かれるハンバーグの香ばしい匂いが食欲を注ぐ以上に丹念に作り上げた達成感に喜びを感じていた。
「今日もお母さんいないの?」
私は彼女の話の間を埋める為に彼女に聞いた。
「ううん。いるけど。」
「えっ。どこに?」
「お風呂場にいる。」
彼女は私をお風呂場にてを引き風呂場のドアを開けた。
そこには腐敗した女性の姿があった。